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2014年11月17日13:41

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イタリア旅行記その8 (写真追加有り)

前回書き落としたあれこれ。
ウフィツィ美術館で一番無気味だった彫刻☆

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……猫の兵隊さん? エイリアン?

で、イタリアのあちこちでとても気になったこと。
たまに道端にうつ伏せに人が倒れている!

たいていはスカーフをかぶった年配の女性か、貧しい身なりの年配の男性で、
病気? 発作? と思わず覗き込むと……
その右手には空き缶か空き瓶のようなものが握られ、ぷるぷると頭の上に掲げられているのです。
……ああ、 物乞いさんだ。
今の日本ではめったに目にしないけれど、わたしの幼少期には見た覚えがあるのです。
「戦傷」と書いた札を前に、手や足のない男性が空き缶を前に物乞いしている姿を。
両手がある人はアコーディオンを奏でていたりしました。(大抵曲目は「天然の美」)
はるか昔の記憶だったあの風景が、今ここに…… いや、みな倒れているだけだからちょっと違うか。

わたしたちはまがりなりにも三食満足に食べ、飛行機に乗って旅行し、快適な宿に泊まれる生活をしているわけです。運命のいたずらで食い詰めているならば、持てる者が持たざる者に施すのも人としての情? と迷ってしまったけれど、道行く人々は見事にだれ一人目もくれません。
郷に入れば郷に従え…… ここは無視、がこちらの常識なのかしら。
上から小銭を投げ入れるのも失礼な気がして、立ち止まって逡巡することすらできず、何人も何人もの倒れている人の前を、心をチクチク針で刺されながら黙って通過しました。
ロマ(ジプシー)の方たちかもしれないけれど、どういう身の上なんだろう……
フィレンツェで一番びっくりした物乞いさんは、真っ白な修道服を着た若い女性でした。
何と顔や手足まで真っ白に塗っていて、唇だけが赤く、志村けんのバカ殿レベルの目立ち方です。10月の末に東京にいたら間違いなくハロウィーンの仮装と思われる。
なにかのパーティに行く途中? と最初は思ったんだけど、次に見たとき、彼女は交差点に止まった車に手を差し込んで、しきりにお金をねだっていました。
さすがフィレンツェ、物乞いさんもアーティスティック。ていうか、結構美人だったんだけど、やはり思ったのは、どういう身の上なんだろうと……

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さて、今日でフィレンツェともさよなら。ということは、この宿ともさよならなんです。
たったの二泊三日だけれど、その間、フィレンツェの空気を実に濃厚に呼吸させてくれました。
三連の鍵を持って外のドアから順にあけて入るたび、ああ愛しきフィレンツェの我が家よ、と思ったものです。

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     (この写真はWEBより)

それにしても、ここのオーナー、いたりいなかったりで留守の時も多く、鍵を持ったわたしたちはこの家のどこでも、居間でもキッチンでもはいれてどこでも開けられるようになっていたわけです。
しかもお客は世界中いろんな国から来る知らない人間なわけでしょ? よくこんな度胸のいい商売ができるな、と思わずにいられません。
相当高価そうな美術品も無造作にそこらじゅうにぽんぽん置かれているし。
チェックアウトの前日も、もし出て行くとき僕がいなかったら鍵は居間のテーブルにおいていってくれていいから、と気軽に言われました。まあドアを閉めれば鍵は自動でかかるわけだけど。
よく高級ホテルの備品を勝手に持ち出すお客がいて困る、と聞きますよね。
こんな年代物のお宝だらけのお部屋を鍵ごと他人に預けて、今まで大した損害がないのなら、人というものもなかなか捨てたものではない、と思ってしまいました。

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   便器もタイルで綺麗!

荷物を部屋に置いて、まずお昼。裏路地のすすけたトラットリアで、パッパ・アル・ポモドーロと、きのこのリゾットとミックスサラダをいただきました。
パッパとは、トスカーナのありふれた家庭料理で、オリーブオイルとニンニクで風味をつけたトマトソースにパンを砕いたものを入れておかゆ状にして食べる料理。固くなったパンを食べるために生み出された料理だそうです。

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こちらの人が毎日の生活で食べる料理が食べたくて、いつも気楽そうなトラットリアを探していたんだけど、とにかくこちらの日常食をまねしていると毎日トマトまみれになるので、とってもヘルシーに過ごせました!パッパ、すごくおいしかったです。
次はお土産の柘榴石鹸を買いにサンタマリアノヴェッラ薬局へ。
ここは現存する世界最古の薬局なんです。
サンタマリアノヴェッラの名のもととなる教会は、もともとは13世紀、フィレンツェに移住してきたドミニコ会の修道院でした。修道僧たちは薬草を栽培して独自に薬剤を調合し、1612年には薬局として一般営業を始めたのです。そしてのちに、トスカーナ大公メディチ家から王家御用達製錬所の称号を受けました。
今では自然素材を基にしたスキンケア商品や香水で世界中にその名をはせ、特に絹のような泡立ちと素晴らしい香りの石鹸は世界中にファンを持つといわれています。
愛想のない建物で、目立つ看板もなくわかりにくいんですが、入口を通過するとき、何とも言えない香りがするのですぐわかります。
一歩中に入ると……

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そしてさらに奥に進むと、店はこんな風。

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流石に風格があります。天井が高くて美術館みたい。

無事石鹸をゲットして、宿にとって返し、ちゃんと在宅していたオーナーと別れの握手をしました。
いい宿だった。ほんとにありがとう。

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次に向かうのは、フィレンツェから車で15分ほどの、小高い丘の上の町、フィエーゾレ。
フィレンツェの市街が一望できる絶景が売りののどかな町です。
そして、フィエーゾレへの道の途中にある、ダンナがここだけはと切望した五つ星ホテル、ベルモントヴィラ・サン・ミケーレが今夜の宿なのです。

ホテルからは高級車のお出迎えが来るとかで、落ち着かない気分でレトレスタンツェの前で待ちます。この旅一番敷居の高いホテル……ダンナはできればこういうホテルを泊まり歩きたかったようだけど、わたしがNOを連発して今までは民宿風の宿をとってきたのです。でも、最終地だけは妥協しました。なんたってスポンサーだしね。
約束の時間きっかりに、なんだかえらく立派な車がすっと目の前に止まったと思ったら品のいい運転手が出てきて
「Iサンデスカ? ヴィラサンミケーレカラオムカエニマイリマシタ」
おお、日本語だ!
そこからはフィレンツェの街を通り抜け、やがてひたすら丘を登ること10分余り。
糸杉の連なる緑深い道を行き、やがて目の前に開けたのは、こんな風景。

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うーん……豪華。なんというか、別世界。

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なんでも世界で最もロマンチックなホテルともいわれている(らしい)ここは、元々は15世紀にたてられた修道院で、ファサード(正面玄関)をミケランジェロが設計したとか。
建物が丸ごと、国の重要文化財に指定されているそうです。まさに、あちこちの町で見た歴史的建造物の中に泊まる贅沢がこのホテルにはあるのです。

オーナーのご夫人は植物学者で、敷地内は蔓性の植物やバラやレモンの木で美しく飾り立てられています。
フロントにつくと、陽気で気さくなオーナーがにこやかに現れて、自己紹介とともに熱く握手。

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フロント脇は祭壇で

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レストランは礼拝堂。

「ようこそ当ホテルへ。二泊のご滞在の間快適にお過ごしください。まずは当ホテルの内部と自慢の庭園を私がぐるりとご案内しましょう」と、広い広い敷地内をオーナー自ら丁寧に案内してくれました。

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フィレンツェの街を見下ろす、ホテル全景。右側に傾斜に沿って段々に宿泊棟が並びます。

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迷路のような階段から階段へ、棟から棟へ、中庭から外庭へ、段々状になっている敷地のてっぺんのプールへ。自分がどこにいるのかわからなくなる、ややこしい建物です。これはベニスに次いで難物かも!

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「プールサイドでランチもお召し上がりいただけます。古い建物なので迷いやすい作りになっていますが、何度もお散歩していただければじきに慣れるでしょう」
おいくらですか、そのランチ……

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いやもう、何もかもが美しくて、ため息。
次にお部屋に入ります。

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今までと比べて流石に何もかもがぴかぴかと高級感あふれてます。テーブルの上の果物も、カラバッジオの絵みたいに美しい。
「このお部屋にはサプライズがありまして」とオーナー氏がリモコンのスイッチを押すと、
ベッドの足元にあるサイドが鏡張りのテーブルがみょーんと上に伸びてきて、なんとテレビ出現!
「ベッドでおやすみになりながらテレビがご覧になれます」

これでも実はこのホテルで一番安いお部屋なんです……

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バスルームも、バスタブ、トイレ、洗面所、シャワールームと全部ブースが分かれていて
足元には、何ともアンティークな体重計が!

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乗りませんとも、ええ。

オーナーがにこやかに出て行ったあと、迷子にならずにホテル内を歩けるように、ダンナとお散歩しました。

どこもかしこも、優雅でただただ、美しい。
溜息ものです。
パラソルの下で一休みして、エスプレッソを二つ注文。

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蓋付きのカップに、可愛い焼き菓子がついてきました。部屋番号も聞かれない。これ、サービス?

さて、夕食をとりに、フィエーソレの町へ、徒歩で向かいます。
ここに滞在するセレブさんたちは、昼間はフィレンツェの街で過ごし、(みんな自家用高級車で訪れてるらしい。町へのシャトルサービスもあるんですけどね)寝るときはホテルに帰ってくる、というパターンのようですが、わたしたちはフィレンツェはもう通過してきたので、丘のてっぺんの田舎町のほうに興味をひかれたのでした。
でも、「歩いて10分足らず」とダンナが言っていた道が、まーそっけのない薄暗い車道で、急な坂を歩けども歩けどもあるけども町につかない。
やっとフィエーゾレの教会の塔が見えてきたのは、かれこれ30分ほど歩いたころでした。

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帰りはとにかくタクシーにしよう、ときめて、フィエーゾレの町をそぞろ歩きます。
イタリアの田舎町ならどこにでもある風景が広がりますが、他と違うのはやはりこの眺めですね。

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児童公園のフェンスの向こうににゃんこの姿を見つけ、
おいでおいでーと呼んでみたら、なあに?って感じでしずしず寄ってきました。

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もふもふなすりすりに感激!
こちらに来てであったにゃんこたちは、数は多くないものの、呼べばたいていは寄ってきてすりすりしてくれるのです。いい子たちだなー。
で、にゃんこがトコトコついてきて座り込んだのは、この旅で一番無気味な彫像の隣。

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なにこれ。現代芸術?

ここ児童遊園のすぐ近くなんだけど、子どもが見たら泣くレベルじゃない?
意図が分からん。

夕食は、通りに面したオープンエアのレストランでとりました。
どこにでもある平均的な店構えです。歩道にパラソルだしてイスとテーブルがポンポン。
ピザもパスタも、どれも及第点の味で、普通においしかった。
タクシーをお願い、というと、店のお姉さんが電話で呼んでくれ、近くまで来たタクシーを高くいなせに口笛を吹いて招いてくれました。

こういう、街の風景の中でとる夕食も、これが最後。明日はダンナの希望で、ホテルのメインレストランでの夕食を予約してあるのです。
楽しみなような、気が重いような……

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(ホテルのソファのエスカルゴ風肘掛け)


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