会ったことのない「オットのお父さん」に夢で逢った話

最近、
一日一回か二回のお昼寝がもう習慣になってます。

夜の眠りの質が良くなくてしょっちゅう目が覚めるし、しかも時々「甘えたい発作」を起こす猫に明け方顔を舐めまわされたりするので持続して安眠が得られず
（足くじいたのと眩暈とで二階の寝室に行けないので一階の居間のソファで寝てます）
昼寝で、睡眠負債を補ってる感じ。

昼寝はなぜかとても深く眠れて悪夢もみません。
もう昼寝八時間して昼夜逆転してもいいぐらい。

で、先日、その昼寝で、不思議な夢を見ました。
逢ったことのない舅が夢に出てきたんです。
オットのお父様は私たちが結婚する二年前に既に亡くなっているので
わたしはお父様の顔を見たことがありません。
あまり写真を撮らない家庭らしく、オットが中学生のころ一緒に山登りをした時の写真をちらっと見たぐらい。なのでお顔の記憶はほとんどないし、
彼に言わせると「とにかくおとなしくて口数が少なくて、何でも気の強い母親の言いなり」になっている「存在感のないタイプ」だというので
これと言ってエピソードも聞いたことがないのです。

なので、結婚してからこれまで、本来「舅」であるそのかたを頭に思い浮かべる事すらありませんでした。
ほぼ「何も知らない」状態なので、考えようもないし。
もちろん夢になんかでてきたこともないし。

それがですね。昨日のお昼寝で、はっきりと夢に出てきたのです。舅が。
どんな夢かというと、
ここ最近私がオットに対してイライラしていることを、本人相手にぶちまけているその隣に、お父様が黙って苦笑しながら座っているのです。
イライラの内容はほんとどうでもいいもので、
人の話を最後まで聞かないでどこかに行く。
というか、私が話しかけ始めて一分ぐらいすると、「ちょっとトイレ」と言ってなかなか帰ってこない。
話の内容が悪いのかというと多分そうじゃないと思うんだけど……
（近所に咲いている花とか猫のこととか、ホント些細な話題です）
でも必ずと言っていいほどトイレに行くんです。
あるいは聞きながら立ち上がって何故か隣の部屋に行く。
「わたしたち会話の最中だけど？」
「だから聞いてるよ」
そんなこと隣の部屋から言われても納得できない。何で目の前でじっと話を聞くことができないの？
東京湾の夜景を見たいと言ったら私の好きな埠頭に連れて行ってくれたけど、いきなり海に向かって立ちションしたのもものすごく嫌。
「だってトイレが近いんだもん」
「それでよく山岳部に入れたわね！　山ではどうしてたのよ？」
こんな本当にどーでもいい喧嘩を、夢の中でしてました。ほぼ、日常の延長線上にある
夢として見る価値もない夢。

でも、夢の中で、彼に紹介されたわけでもないのに、何だかにこにこしているその初老の人を、私は舅であると最初から「知って」いました。
そして私のイライラが怒鳴り声にかわりかけたその時、その人は口をはさんできたんです。
「○○さん、この子は小さいころからこうなんです。トイレが近くて、ウロウロ癖もあって。
　でもこんな息子と結婚してくれたあなたには感謝していますよ。どうか勘弁してやってくれませんか」
私はあわてて、
「お義父様の目の前ですみません。私も至らないことはいっぱいあるのに、ついついかっとなって……」
「いやいや、お気持ちわかりますよ。どうか、いろいろと目をつぶって、末永く仲良くやってください」
「はい、いつも文句つけるのは私のほうで、彼から非難されたことはないんです。優しい人で、ありがたく思っています。お見苦しいところを見せて、すみませんでした」
「いえいえ。とにかく、仲良くね。それだけでいいんです」
そして立ち上がってどこかへ行かれたところで、ぱちりと目が覚めました。
お顔も、口調も、鮮明に覚えています。が、顔は表現のしようがなく
彼に「こんな夢を見た」と話しても
「珍しいね、会ったこともない人間の夢を見るなんて」というばかりで。

でも自分では思ってます。
あれは、義父本人だと。
幽霊という形でなく、夢の中の登場人物として、私を怖がらせないように現れて、言うべきことを言ってくれたのだと。
おとなしい義父の目に余るぐらい私がけんつくかましてたので、ちょっと一言言おうかと夢の中に出てきてくれたのだと。そう信じてます。

夢の印象があまりに生々しく、そうかいつでも空から見られていたんだな、と感じることで
これからはあまりみっともない喧嘩（私のほうが一方的に吹っ掛けてるんですが）はやめよう、と思いました。

キミとの結婚式を見られたら、父はどんなに感激しただろう、とオットは繰り返していたっけ。

姿は消えても魂はどこかの次元にある。私たちは見守られている。
そう再確認した、初夏のお昼寝でした。