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2014年06月04日16:24

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オランダ・ハーグ派展

もう、1週間以上前なのですが。損保ジャパン東郷青児美術館で開催中の『オランダ・ハーグ派展』に行きました。
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土曜日だったし、オランダ絵画は日本人には人気があるから混んでいるかなぁ〜と思って行ったら、吃驚するくらいガラ空きで、拍子抜け。あれぇ?ゴッホもモンドリアンも来てるんだケド・・・。コローもミレーもあったんだケド・・・。でも、2時半過ぎたら人が増えました。時間帯によるんだな。早目に行っておいて良かった。
チケットは、毎度お馴染み、新聞屋さんからの貰い物。新聞屋さん、いつもいつも有難う。

オランダ・ハーグ派。ハーグは場所の名前。でも、このハーグ派良く知りませんでした(^_^;)。ゴッホがハーグ時代に絵を描いていた・・・ってのは知ってるのだが。あと、私、ヨーゼフ・イスラエルの絵が好きで、この人もハーグ派らしい。この程度しか知らない。で、要約すると、ハーグ派とは、屋外で直接の自然観察を元に、風景と田園生活を描く、バルビゾン派の影響も受けた画家たち・・ってコトみたい。ゴッホやモンドリアンは、このハーグ派の影響を受けている。

で、見て思ったのは、確かにバルビゾン派の影響は受けていたけれど、ハーグ派は、間違いなくオランダ絵画だったってコト。風景画の、あの、土地の低そうな感じね(^_^;)。あの、真っ平ら感。流石、ネーデルランド(低い土地)である。そして、曇天具合。「あぁ、コレ、間違いなくオランダだぁ〜・・・」と見てて思った。
あと、ゴッホはハーグ時代からやはりゴッホだし、モンドリアンも妙にカラフルな色彩がモンドっていて(笑)、やっぱりモンドリアンだった。

冒頭には、ハーグ派に影響を与えたバルビゾン派の絵の展示があった。
バルビゾン派とは、1830年〜1870年、バルビゾン村やフォンティーヌブローの森など、森や川や身近な森の動物や家畜などを主題として描いた絵描きたちのコトを言う。今まで宗教画や歴史画を描くのが一般的だったのに、何でもない風景を描く・・というのは、かなり革新的なコトだったらしい。
因みに、私は、バルビゾン派の絵は好きなんである。

シャルル=エミール・ジャック 『森はずれの羊飼いの女』。私が好きなジャックの絵。1849年。ジャックはミレーとともにバルビゾンに移動。この人、とにかく、羊を描くのが上手くて有名なんだ。この絵もそう。森の中に羊が沢山。後ろ向きで寝そべる羊飼いの女性がいて、傍らには犬もいる。羊は、モグモグ草を食ってて、とにかく和む。何故か2匹だけ、鑑賞者の方を向いている羊がいるのも可愛い。

ミレーは、版画が沢山来ていた。ミレーって、ドラロッシュが師匠なのね!へぇ〜。知らなかった(^_^;)。ドラロッシュの絵は好きなんだ。アカデミズム出身なのか。
ミレーの『母の心遣い』。母が子供におしっこさせてる絵。可愛かった。クリッシュ・ヴェールという聞き慣れない技法で描かれていたのだが、ガラス版画のことらしい。光を通さないようにコーティングしたガラス板に針で絵を描く。引っ掻くと光を通すようになり、感光紙を敷き、光を当て、焼きつけるんだって。それって、ようは写真じゃん!へぇ〜。面白い〜。写真と同じような技法で、絵を描くんだね。

ジュール=デュブレ。『森の中_夏の朝』 私、この人の絵も好きなのだが、コンスタブルやターナーの絵の影響を受ける・・と解説にあり、だからかな・・・と思う。デュプレはテオドール・ルソーと親しかったんだって。なので、この絵は、ちょっとルソーっぽいかも。絵具の空色のままの空。深い緑色の森の中。牛が5頭いる。牧歌的だが、しっかりした奥行も感じる。ルソーと仲良しだったのに、レジオン・ド・ヌール勲章を巡ってルソーと不仲になっちゃったんだってサ。

ルイ=アドルフ・エルヴィエ 『モンマルトルのムーランド・ラ・ギャレット』 エルヴィエは、父から絵を習い、後に、コニエなどに師事したそうな。コローと同時代の画家らしい。批評家には称賛されるも、結果、経済的成功はしなかったそうな。
この絵。思い浮かぶ、ムーランド・ラ・ギャレットとは違う。廃墟みたいなの。空は灰色だし、画面は暗く重いし、赤い服の人物がアクセントにはなってるけれど、どうにも廃墟のような建物のギャレットが不安感を増す。でも、暗い絵好きだから、好きだった。

で、ここからハーグ派になった。ハーグ派は、パリに出て、バルビゾン派を知ったらしいのだが、オランダ国内の美術展でバルビゾン派を知った人も多いんだそうな。メスダッハは画家で、資産家なのだが、この人が1887年にハーグやバルビゾン派の作品を集め、自宅の隣に美術館を開き、それによって、広まったりしたそうな。金持ち、やること違うな(^_^;)。

最初は、オランダのバルビゾンはオーステルベークというところだったらしいのだが、1870年から、ハーグへ画家たちが集まり出したそうな。何で?そっちの方が地の利が良いとか?
バルビゾン派との違いは、大地のクローズアップではなく、オランダらしい、広大さを表現しようとするのがハーグ派。あと、風車。まぁ、これは、オランダのトレードマークだしな。

ヴィレム・ルーロフス 『アプカウデ近く、風車のある干拓地の風景』。干拓地の風景。風車も回ってる。画面の3分の1は雲である。そして、曇天。遠くに牛も見える。川には水鳥の姿も。曇天で風車なのがオランダ!

ヘラルド・ビステルス 『山のある風景(フランス サヴォワ)』 父のヨハンネスが画家で、父から絵を習ったんだそうな。ヘラルドは、オーステルベークの画家たちのリーダーだったらしい。トロワイヨの影響を受けるとあったが、確かに牛がいっぱい集まってるところはトロワイヨの絵の構図っぽかった。
山岳風景。水辺に牛沢山。牛飼いも遠くに見える。岩のごろごろした感じも良い。フランスの風景なので、やはり、オランダとは違うかな。

ヤコブ・マリス 『ハーグ近郊の菜園』。農村風景。遠方に風車が見える。画面の4分の1は雲なのだが・・・やっぱり曇天なんだなっ!(^_^;) 空には鳥も飛んでおり、運河・・というか、水路も見える。マリス3兄弟は全員画家なんだそうな。1864年、フォンティーヌブローやンバルビゾンに、実際に彼は訪れたらしい。

ハーグ派が農民を描くのはミレーの影響らしい。又、17Cのオランダ画家の影響もあるそうな。あぁ、確かに、17Cのオランダの風俗画を見てる気分にもちょっとなったなぁ。私、17Cのオランダ絵画は、ヒズホップの絵とか好きなんだケド。

ヨーゼフ・イスラエル 『日曜の朝』。私、この画家さんの絵が好きなのです。窓辺で縫い物をしている女性。窓から光が入り、上半身を照らしている。この陽光の入れ方は、フェルメールっぽいな・・・とも思ったし、全体の落ち着いた茶のトーンは、ヒズホップの絵にも似てると思った。
でも、この人は、オランダのレンブラントと言われているらしい。レンブラント・・・かなぁ・・・?

よく牛が描かれるのだが、牛は単なるモティーフではなく、19Cオランダにおいて、伝統的な田園地帯の平穏な生活の象徴なんだそうな。牛=平和な田園なんだね。

ヘラルド・ビルデルス 『干拓地の風景の中の牝牛(オーステルベーク)』 牧場(だと思う)。牛が4頭いる。座ったり歩いたりしている。座ってる牛がやる気なさげでね(^_^;)。まぁ、平和だなぁ〜とは思う。後ろ向きの牛もいて、画面の3分の1は空なのだが、やはり雲。曇天。この辺り、動物画コーナーなのだが、和むので、私は、暫く座って、この牛の絵を見ていた。

ヴィレム・マリス 『泳ぎの練習』 これ、可愛かった。川で泳ぐあひる。子あひるが、親あひるの後ろをついていく。あひるが水面をきって泳ぐ描写も見事でした。

室内の絵も。
ヴィレム・デ・ズヴァルト 『版画集を見る』 室内に子供が2人いる。1人は椅子に座り本を読み、もう1人は立ってそれを覗いている。足元には猫の姿も。床には、玩具のラッパや、鞠も転がる。全体的に茶色で落ち着いた雰囲気。全体的に静謐さがある。ザクっとしたマチエールで描かれてるのは、ベラスケスをちょっと思い起こしたり。彼は、ヤコブ・マリスに師事したそうな。ズヴァルトは人気のある画家だったのだが、1905年から精神を病み、そのまま亡くなってしまったのだそうな。

ベルナルデュス・ヨハネス・プロンメルス 『室内』 食卓の風景。お茶を淹れるお母さん。子供を抱き、子供にカップを渡し、飲み物を飲ませようとしているお父さん。窓があり、窓からは陽光が差し込んでいる。糸まきや、毛糸玉も見える。
プロンメルスは、ヴィレム・マリスと親交があった画家らしい。イスラエルと出会い影響を受ける。私、イスラエルさんの絵、好きなのだが、ゴッホも影響受けてるし、やっぱり、上手い画家ってコトなんだろうね。

海の絵も。海は17Cオランダ絵画においても主要なものの1つ。ストルフハルトなどロマン主義世代により海の絵が復興するも、どちらかと言えば、ドラマ性はなく、清明なのが、ハーグ派の海の特徴なんだって。ロマン主義ならドラマチックになるのにね。

ヘンドリック・ヴィレム・メスダッハ あ、さっき解説にあった、自宅横を美術館にしたお金持ち画家の絵だ!絵、上手い!デカイ絵だったのだが。画面の7分の1が空。帆船が海を渡る。ダイナミックさもあった。
この人。360°パノラマ景観を楽しむ施設を作ったんだそうな。どうやら、リゾート地にする計画があって、それに対する抗議の意味があったらしい。「自然そのものが、こんなに綺麗なんだよ!」ってコトなのかな。でも、結果リゾート地になってしまったそうな。でも、この施設は残っていて、観光の名所になってるんだって。メスダッハの意図とは違う形で、有名になったんだね(^_^;)。

ヨーゼフ・イスラエル 『エビをとる人』 ちょっとミレーっぽいかな?と思った。籠を背負った女。これがエビ捕りなんだろう。さすまたのようなモノで、海老を捕っている。後ろには海。

ハーグ派は、19Cの終わりに下火になり、運動を終える。しかし、ゴッホやモンドリアンが影響を受け、ゴッホは81年から、83年秋までハーグに滞在した。ゴッホさんて、アントン・マウフェという画家がゴッホの従姉妹と結婚していて、ゴッホは、このマウフェから絵の指導を受けたんだってサ。
モンドリアンは、1890年にハーグ派の模写をしていたり。特に風車は重要モティーフで、単純化し、抽象画への道はここから開いたんだそうな。

そして、ゴッホとモンドリアンのコーナーになった。ハーグ派ではないけど、ハーグ派と関係した人コーナー。
ゴッホの絵に有名な『ジャガイモを食べる人たち』ってのがあるが、ここには『じゃがいもを掘る2人の農夫』という絵があった。ゴッホは、69年〜73年まで、ハーグの美術商で働いた。1882年から前述したが、マルフェに絵の手ほどきを受けた。じゃがいもの絵。何でも、農民にとってじゃがいもは、御馳走なんだそうな。そして『じゃがいもを食べる人たち』は、私の好きな画家、イスラエルの影響を受けて描いたのだそうな。
フィンセント・ファン・ゴッホ 『紡ぎ車を操る農婦』。これもちょっとイスラエルっぽいかな。灰色の室内。紡ぎ車を回す女性。女性は、少しつらそうな表情にも見える。顔に赤を入れちゃう辺りがゴッホだよなぁ〜って思う。
『雪原で薪を集める人びと』も、灰色の空に朱色・・・真っ朱色の太陽を描いちゃう色彩感覚は、やはりゴッホだと思うし。損保ジャパンは、常設で、ゴッホの『ひまわり』が展示してあるのだが。ハーグ時代の絵を見ると、この絵を描く人が、やがて、この『ひまわり』を描くようになるのかぁ〜と、感慨深くもあり、納得もする。

モンドリアンは、ヴィレム・マリスから教えを受けたハーグ派の風景画家が叔父さんなんだそうな。
ピート・モンドリアン 『ダイフェンドレヒトの農場』 夕暮れ。家が建つ水辺。木立ちがあるのだが、シルエットになっており、それが、アミガサダケっぽくて、妙に気持ち悪い。何か不安にさせるんだよなぁ。
『夕暮れの風車』は、オランダらしく、風車の絵なのだが、曇天の空に、手前にシルエットででっかく風車。ベタっとしたマチエールもちょっと妙だ。でも、ポイントにピンクが使われていたり、そんな色味は、やはり何処かモンドっていて、モンドリアンだな・・・と思う。

こんな感じの美術展でした。
お土産は、絵葉書を6枚くらい買ったのだが、何故か105円だった。消費税は8%になったのだが、この5円は何なのだろう?(^_^;)。牛の絵葉書がなかったのが、ちょっと不満・・・・。

オランダ絵画が好きな方、風景画が好きな方は、行ってみると良いと思います。6月29日までやっています。動物画コーナーは和む。

おまけ。損保ジャパン美術館から望む風景。
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天気が良いと、本当に眺め良い。しかし、美術館。リニューアルしていて、美術館内にトイレがなくなっていたのは、ちょっと不便〜。1度、美術館の外に出ないと、トイレないんだよね(^_^;)。
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