【ドラマ】　『オリンピックの身代金』（後編）

やはり「前編」を書いたら「後編」も書かねばならんであろう（笑）。

犯人は松山ケンイチでＯＫです。
彼は秋田に帰る列車の中で知り合った笹野高史と相棒になります。
（笹野高史は戦争の終わる前日の空襲で松山ケンイチと同い年の息子を亡くしているので、松山ケンイチを息子のように感じていたのかもしれません。その証拠に、どんなに松山ケンイチが追い詰められても決して彼を裏切りません。死の間際まで。もー、このおっちゃん、好きやわー）

そして、オリンピックの開会式が近づくにつれて、警告の意味をかねてあちこちで爆発事件を起こしていきます。

彼の本当の目的が何であったのか、正直なところワタシにはわかりませんでした。
表面上は「政府から８０００万円を奪う。言うことを聞かなければ、オリンピックを開けないようにする。」というものではあるけれど、お金が目的なわけではない。

（本当か創作かは知りませんが、ドラマの中では）東京オリンピックを開催するために、新幹線やモノレール、国立競技場、その他オリンピックで使用するさまざまな建造物を作るために、東北地方から出稼ぎに出てきた人々は数え切れない。
そして、元請けに納期をせかされるために、彼らの労働時間は一日１６時間にもなっていった。疲労をごまかすために安物のヒロポンに手を出して体を壊すもの、ヤクザの賭場に行って手持ちのお金を巻き上げられてしまうもの、それらのことがかさなって死んでいってしまうもの。ドラマの中では３００人以上いる、ということになっていました。
でも、彼らの死は新聞にもテレビにも報道されない。
死んでも遺族には何万円かの見舞金が渡されるだけ（最初に松山ケンイチが捺印を求められたのは「後で文句はいいません」という誓約書のようなものだったのでしょう）

松山ケンイチは何回目かの警告のときにそれらのことについて書いた原稿を、夕方のニュースで読み上げるように指示します。
でも、警察（政府）はお金の用意はしても、その放送はしません。

松山ケンイチは、８０００万円を手に入れることができたら、出稼ぎに出てなくなった人たちの遺族にそのお金を配って歩くつもりだったフシがあります。
自分のためのお金ではない。笹野高史と二人で成功する確率がどれほど低いものか、頭のいい彼には分かっていたと思います。
それでも、使い捨てにされた人たちの代わりに怒り、行動することを抑えることができなかったのだと。

松山ケンイチを慕う黒木メイサは、黒木メイサに惚れている速水もこみち（警察の偉いさん・岸部一徳の三男坊）から逃走資金とパスポートを手配してもらって（悪いやっちゃ）松山ケンイチを海外に逃亡しようと企てます。

この速水もこみちというのも、もひとつわからん役なのですが・・・おそらく警察の偉いさんの親父を持って、そんな親父に反発して、東大には入ったけど学生活動をしてはいたけども、松山ケンイチほど志のしっかりて腹の据わったことができないので、黒木メイサに惚れてるだけではなくて、松山ケンイチにあこがれというか「自分のできないことをやってるやつ」と思ってたのかもしれません。

結局、オリンピック開催当日に、松山ケンイチが聖火台にしかけた時限爆弾は竹ノ内豊（刑事ね）によって、阻止されます。
刑事たちに取り囲まれた松山ケンイチは、最後のダイナマイトに火をつけて逃げようとして（逃げられるとは思ってなかっただろうけど）、竹ノ内豊に撃たれます。

竹ノ内豊は松山ケンイチに対して「キミのような人には生きていてほしい」と思っていたのですが、まぁ、仕方ありません。。

松山ケンイチは即死ではなく、救急車が車では意識がありました。
竹ノ内豊は松山ケンイチに「生きろ！」と叫んで救急車の扉は閉まります。

でも「松山ケンイチの事件をなかったことにしたい」岸部一徳に、犯人確保の報告が行った時の様子を見ていると、多分殺されてしまうでしょう。

　＊　＊　＊　＊　＊

ドラマの中で繰り返し出てきた台詞が「東京だけがよければいいのか？」「秋田には水道も電気もない家がたくさんあるのに、それはいつまでたってもそのままなのか？」「同じ国民なのに、なんで東京だけこんなにうかれているんだ？」というような言葉の数々で、それは、最近ワタシが感じていることでもあるので、２時間ドラマを２日連続で、途中で寝ることもなく最後まで見てしまったのだと思います。

１９６４年の東京オリンピックは問題なく実施されているのだから、松山ケンイチのテロ行為が成功するわけはないのに、ドラマを見ているワタシは「テロが成功するように」祈るように思っていたのです。

あぁ、こんなことを書いてると、近々引っぱられるかもしれません（笑）。