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2013年10月04日16:06

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シャーロック・ホームズの素敵な挑戦

WOWOWのシャーロック・ホームズ祭。そのうちの1本が、この『シャーロック・ホームズの素敵な挑戦』でした。久々に見たよ、この映画。1976年の制作だったんだね。アメリカ&英国が制作。ちゃんと19世紀の街並みを再現していて「ほわ〜」となる。ロンドンは、あまり出て来ないんだケドね(^_^;)。

監督はハーバード・ロス。ホームズ役にニコル・ウィリアムソン、ワトスン役にロバード・デュバル、この映画の本当の主役と言えなくもないジグムント・フロイト役にアラン・アーキン。

メアリも出て来るし、モリアーティ教授も出て来るし、THE WOMANを想像させるローラというソプラノ歌手は出て来るし、サービス精神の高い映画ですよね。面白い。うん、面白いよ、この映画。

原作は、ニコラス・メイヤーが書いたパスティーシュ『7%溶液』。映画の原題も『The Seven-Per-Cent Solution』と言う。恰好良くね?この原題恰好良くね?セブン パーセント ソリューション。元は、勿論、ホームズが使ってるコカインの濃度なのだが。薄い本は沢山読むのに、パスティーシュを殆ど読まない私が、読んだコトある、数少ないパスティーシュの1冊でもある。因みに、この映画の脚本も、ニコラス・メイヤーが担当している。

ここで、ミニ情報〜。
ニコラス・メイヤーは、『スタートレック』の脚本も書いているし、監督もしている。というか、監督&脚本が本業。『カーンの逆襲』は、メイヤーの脚本らしいよ。スポックはホームズがモデルだしな(スポックは、ホームズより良い奴だケド。情の部分じゃ、バルカン人に負けてるぞ、ホームズ!と言いたい)。

で、この物語が発端で、2次創作を作る際、ホームズの過去話を、ここから引っ張る人が、多数いるワケですね。(後ほど書くが、この小説は面白いんだが、この過去話だけ、私ゃ納得出来ねえだ(^_^;))
でも、面白い。ホームズのパスティーシュで、どれが1番面白い?と訊いたら、この小説を上げる人も多かろう。それだけ良く出来ているってコトだな。

映画のあらずじをざっくりと。

この映画は、ホームズ失踪の3年間は「本当は、こんな事情があったんだよ。」と言うテイでの物語。
1891年。ロンドンでのホームズは、薬物依存に陥って、精神も肉体もボロボロになっていた。しかも、ホームズは妄想から、数学者のモリアーティを犯罪組織のボスだと思い込んでしまう。モリアーティは、ホームズが子供の頃の家庭教師だった。困ったワトスンは、マイクロフトの要請もあり、彼を、ウィーンにいる精神医学者フロイトに診せるコトにする。
しかし、そんなコト正直に言っても、従うホームズではないので、ある作戦を立てる。モリアーティに頼み、あたかも彼が、ウィーンに逃亡したように装ったのだ。このトラップに見事に引っかかったホームズは、ウィーンへ。しかし、行った先には、フロイトが待ち構えていた。

ここで、ホームズは、死ぬほど辛いコカイン依存から抜け出す為の治療をする。ワトスンは「暇つぶしでホームズはコカインをやっている。」と言うも、フロイトは「そんな理由で人はコカインをやらない。きっと彼は、過去に何か精神的に逃避したい出来事があったのだ。」と言う。

フロイトはワトスンとスポーツクラブに行く。そこには横柄な態度でフロイトを「ユダヤ人」と蔑み、揶揄するラインスドルフ男爵がいた。ワトスンは、ラインスドルフ男爵に勝負を申し込むも、フロイトは「バカにされたのは自分だから。」と、自分がテニス勝負を行う。男爵に勝つフロイト。

ホームズの症状も改善が見られたある日。一つの事件が発生する。有名なソプラノ歌手ローラ・デブローが橋から投身自殺未遂をしたというのだ。ローラもまたコカイン中毒になっていたが、フロイトの尽力により、克服していた。どうやら、彼女は、何者かに連れ去られ、再びコカインを打たれ、中毒を発症。その辛さにより、投身自殺を図ったらしいのだ。フロイトは、ホームズに「彼女を誘拐監禁し、コカインを打った犯人を見つけてくれ。」と頼む。ホームズは、自分も治療中だと断るも、フロイトの真剣な頼みに断りきれず、捜査に乗り出す。
捜査上で、ローラは、ラインスドルフ男爵の愛人であると分かる。そして、ラインスドルフ男爵は大変なギャンブル好きで、借金があり、トルコの総理大臣(だったよね?)から、多額の借金をしているコトが判明。

そんな中、ローラが病院から誘拐されたと知る。どうやら、ラインスドルフ男爵は、自分の借金のカタに、トルコの総理大臣に、自分の愛人のローラを渡す約束をしていたらしい。ローラを薬で昏倒させ、病院にいたシスターを殺害し、ローラを特別列車に乗せ、連れ去ろうとする一味。一味の後を追う、ホームズ一行!ホームズ一行も特別列車をしたて、追いかけるが・・・さぁ、ホームズは無事、ローラを救い出すコトが出来るのか?そして、ホームズがコカインを始めた本当の理由とは?

そんな話。

コレ、推理劇+冒険活劇になっているのね。
で、この映画、今見ると、ガイ版のホームズ映画みたいなのね。いや、あそこまで爆発しないけど(^_^;)、終盤の列車の追走劇とか、まさに、ガイ版の派手さみたいのがあってね。
ホームズの乗ってる特別列車の方の石炭がなくなって、もう、燃やす物がねえぞ、ってなった時、ホームズ先生、後ろについてる貨物車両を、斧で粉砕して、燃やしていく(笑)。このむっちゃくちゃさも、ガイ版っぽくない?あれ、本当に列車走ってたよなぁ〜。どうやって、撮影したんだろう?走りながら、貨物車粉砕してたんだよ。

で、まぁ、コレは、どのホームズ物語のワトスン君にも言えるコトだろうが・・・。「ワトスン、オマエ、ホームズのこと、好き過ぎ!」 この医者のホームズ大好きっぷりは何なんだろうね?
ヤク中で、ボッロボロになってるホームズを激烈に心配する。まぁ、コレは良い。でも、フロイトに会わせる為に、ウィーンまでついて行くのは、スゲエと思うぞ(^_^;)。しかも、メアリもそれに賛同。「アナタもホームズさんと一緒にいらっしゃいな。」みたいに、自ら進めちゃう。そして、案の定、代診を頼んでいた。だ〜か〜ら〜、代診を頼まれる身にもなれよ、何だよ、ワトスン夫妻。

しかし、メアリは、良く出来た嫁だなぁ。でも、冷静に考えるとオカシイぞメアリ。メアリにとって、自分の旦那(ワトスン君)とホームズの関係って何なんでしょう?自分より、ホームズと一緒にいた方が良いやって思っちゃえるメアリが、いっそオカシく、そして、面白く、そして「原作がそうなんだから、仕方ねえ。」とも言える。

あと、この映画見た人、もしくは、このパスティーシュを読んだ人が大抵好きって言うシーン。私も好きなんだが。
ヤク中で、精神状態が普通じゃなかったとは言え、騙して、フロイトのところに連れて来たワトスン君にホームズが「裏切り者!」と罵詈雑言を言う。小説の方だと、「このイスカリオテ」って言うんだが。(ユダですね。キリストを裏切った、イスカリオテのユダ)
ワトスンは、かなり傷つくんだケド、ホームズが正気に戻って、「僕は、君に酷いことを言ったような気がする。でも、信じてくれ。それは、本心じゃないんだよ。本心じゃないんだ。」と言うと、ワトスン君、「酷いことなんて、言われてないよ。」って言うのです。
オマエ、良い奴な〜。ホント、良い奴!親友に「裏切り者」呼ばわりされてんですよ?でも、許してあげるの。何て良い友達を持ったんだ、ホームズ。てか、オマエには勿体ない奴よな!と本気で思う。

そして、コカイン中毒病み上がりの割には、元気に捜査してるホームズ先生。そして、ホームズ以上に無駄に恰好良いフロイトさん。フロイトが恰好良過ぎだろう?と思う。

フロイトのコトを侮辱したラインスドルフ男爵に、水ぶっかけて勝負を挑むワトスン君も恰好良い!超恰好良い!ワトスン君、ファイティングポーズを取る。流石、元軍人。でも、「侮辱されたのは私だから。」と、フロイトが勝負を受けて立つ。テニスをするんだケドね。ここがちゃんと伏線になってたんだな。男爵は賭け事好き。

ホームズが捜査の途中、「催眠療法かけてくれ。」って言うのも、何か可笑しかったな。辛くなって来ちゃったからだろうけど、追撃してる最中に言う。しかも、結構、危機一髪の時に。フロイトに「ここでか?」と驚かれる。唯我独尊探偵。

そして、この唯我独尊探偵、犯人一味の罠にかかって、「本調子じゃない僕に頼むから、こうなるんだ!」と逆ギレる(^_^;)。あぁ〜、ホームズだなぁ〜って思う。

ローラちゃん。犯人一味にコカイン打たれてしまって、また1から治療し治しで、フロイトが「怖いですか?」と訊くと、ローラちゃん「怖い?いいえ。美しい女は17歳までに全ての恐怖を味わいます。私は、ただ疲れただけ。」って言う台詞が恰好良い。あと、美女じゃないと言えん(^_^;)。

でね。最後の最後で、ホームズの過去が分かるんだが。フロイトは催眠療法で、ヤク中を治すのだが。その際に語られるホームズの過去ってのが。

母親が浮気をした。それが父親にバレた。その浮気相手は逃げ、父親は、母親を拳銃で撃ち殺した。そして、逃げた浮気相手・・・それが、当時、ホームズの家庭教師だったモリアーティ教授。
これを子供(12歳くらい?)のホームズは一部始終見てた上、撃たれた母親の血をホームズ浴びちゃうんだな。で、コレがトラウマとなって、悪夢を見るようになって、20歳からコカインを始めた。それを語りながら、無意識とはいえ、ホームズは涙を流す。(本人気づいてないが)
目覚めたあと、ホームズは「僕は何か語ったかい?」と言うも、フロイトもワトスンも「大したコトは話してないよ。」と言ってあげる。

これ、シーンとしては、凄く良いシーンなんだ。述懐しながら、ホームズが泣くのも、凄く好き。フロイトやワトスン君が、しらばっくれてくれるのも、凄く好き。

でもね。私、ホームズママが浮気して、それをホームズパパが撃っちゃったって言う設定だけ納得いかないんだ。
これだと、ホームズの女性に対しての気持ちが『憎悪』になっちゃうと思うの。ホームズ違うんだよ。この人、あくまで女性に対して持ってる感情って『嫌悪』なんだ。ただただ女嫌いなの。で、女を信用していない。信用してない部分は、前述のメイヤーの説で納得は出来るケドね。
ただ、あまりにこの説が有名になってしまったので、他の方が2次創作を作る際も、この設定を借りるコトは多いです。

でも、私は、どうしても、ホームズは女性に対して嫌悪持ってるって点から、自分が女で大失敗説を押したい。で、きっと、若い頃、それこそ、14歳とか15歳とか、そんな多感な少年期に、家庭教師なりメイドなり、そんな女性と関係を持って、きっと、シャーロック少年は、その女性のコトが本気で好きだったのですよ。でも、その女性は、ホームズ父とも関係を持っていて、それにぶちギレて文句言ったシャーロック少年に、その家庭教師なりメイドなりは「はぁ?アンタみたいな子供に本気になるワケないじゃない。バカじゃないの?これだから、良いとこのお坊ちゃんは。」とか言われたんだ。で、シャーロック少年は痛く傷つき、「もう、絶対、金輪際、女信じねえ!女嫌い!」ってなった・・・と思いたい。まぁ、その設定の方が、私が面白いから・・なんだが(^_^;)。
ただ、この設定だと、じゃあなんで、ホームズ一家が、一家離散ぽくなっちゃったのかの説明はつかない。前述のメイヤー説なら、説明つきますね。母死亡、おそらく、パパは殺人の罪で牢屋です。お屋敷(ひょっとすると、爵位持ちだったかもね、ホームズ家)もおとり潰しになったかも知れない。

まぁ、色んな説があるのは楽しいじゃないというコトで・・・。

終盤。ローラを助けたのに、お礼にも来ないローラに文句を言うホームズ。でも、ホームズが3年間ヤク中克服の為、姿をくらますコトにして、船に乗ると、そこにローラがいる。「長い船旅ですは。」と言うローラ。結構良い雰囲気のローラとホームズ先生。そうか!このローラとの間に子供が出来て、それが、後に、ゴスロリになって、悪と戦うと言う・・・(違う、違う、後半それ、大槻ケンヂのホームズのパスティーシュ!) でも、示唆的にな〜んかありそうな、なさそうな、そうなそうな、よいよい♪

で、ここのワトスン君は、ホームズの本当の失踪の理由も知っていて、ホームズが生きているコトも知ってます。ホームズがワトスン君に「僕が死んだって書いてくれない?」と頼む。

思うに。ニコラス・メイヤーは、原作で、ホームズの失踪の事情をワトスン君が知らなかったのが納得いかなかったんでしょうね。「親友なんだから言ってくだろう?」と。で、この物語を作ったのかなぁ〜とも思う。
ホームズに「君は何をするの?」と訊くワトスン君。ホームズ「大道芸人でもなって、ヴァイオリンでも弾くさ、芸名でね。」字幕は、こうなっていた。英語だと、芸名ではなく、ちゃんと「シーゲルソン」って言ってた。シーゲルソンは、ホームズが大陸に逃亡してた時に出したチベット滞在記の本のホームズのペンネームな。まぁ、偽名か。この辺り、遊びが楽しいね。

原作だと、コレに、第一次世界大戦の話が絡ませてあって、その戦争回避をホームズがやる・・って設定もあるのだが、それをやると話が煩雑になるのと、予算がなかったのかで(^_^;)、それは映画だとカットされている。原作と映画の違いを見比べてみても楽しいかもね。

ニコル・ウィリアムソンのホームズは、黒髪じゃないんだよね。金髪・碧眼なの。金髪ホームズ先生。
ロバート・デュパルのワトスン君は、パジェットの挿絵と良く似ています。
あと、マイクロフト役のチャールズ・グレイは、後にやる、英国グラナダTV版の『シャーロック・ホームズの冒険』でも、マイクロフト役をやります。ちょうど、BSプレミアムで、グラナダ版を再放送するので、見比べてみても面白いかと。これ、完全版でやってくれるかなぁ〜。完全版じゃないと、ホームズとワトスン君の可愛いシーン切られちゃうのよね(-"-)。切られた部分に、萌えシーンが多いのよぅ。

この映画はDVDになってますので、気になった方は見て下さい。
てか、最近DVD化された。ホームズブームに便乗してDVD化したのだろか?てか、おそらく、DVDにする人も「コレ、ガイ・リッチー版のホームズに似てねえ?」って思ったのかも知れん。

ヤク中で、人間的にちょっと弱い面もあるホームズと、それを愛する(と、もう言っていいと思う)ワトスン君と、無駄に恰好良いフロイトに出会えます。あと、ちょっとしか出ないけど、美人のメアリも良い。

コレが予告編。


在来線を無理矢理オリエント急行にしちゃうは、メチャクチャやな、君たち(^_^;)。しかも、ワトスン君が、拳銃で脅している。ホームズの為なら、正義も曲げちゃうのが、ワトスン君なんだよな。
そして、「僕に従え」は、ホームズっぽいね。
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