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2013年07月12日23:50

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柑橘類の文化誌

ピエール・ラスロ 『柑橘類の文化誌』 一灯舎、2010年
(原書 Pierre Laszlo "Citrus: A History" Chicago UP, 2007)

先月から騒いでいたこの本、原書が1600円位であったので注文したら届くのに時間がかかってしまい、結局図書館で借りた翻訳でほとんど読んでしまいました。でも訳注も丁寧だったし翻訳にあたって日本語読者向けに著者がメッセージまでつけたので、これはこれで良かったです。

いちいち長く語る程のことでもないけれど、著者は退職した化学者なのに、当時の生活習慣や詩や散文での描かれ方など文化的背景にまで細かく目配りした叙述は読んでいてとても楽しかったです。ところどころにレシピがいろいろ紹介されているのも読みものとしての楽しさへの配慮が感じられました。

ちなみに先日の「貴婦人と一角獣」のタペストリーにオレンジの木が描かれていたことから、この頃にはオレンジ栽培がポピュラーになっていたのだろうと私は思い込んでいましたが、この著者はこの絵のオレンジが見聞に基づいて描かれていると指摘していました。でも別の本にはメディチ家(カトリーヌ・メディチ)との結婚によりフランスに柑橘類がもたらされたともあり(結婚は1533年)、またこの直後にオラニエ公(=オレンジ公)をウィルヘルムが相続していることから、遅くともこの頃から栽培され始めていたのではないかとも想像されます(タペストリー制作は1500年頃)。ちなみにもうちょっと後にヴェルサイユ宮殿にも大きなオレンジ園が作られています。


ちなみに”別の本”というのはコチラ: http://amzn.to/1b6VyXb
この Global History シリーズ、歴史自体は軽く触れられている程度なのですが、食べものに注目した読みものという感じで、カラー写真や絵も盛りだくさんで絵本のようで良いです。レモンの他、既にアイスクリーム版とオレンジ版をゲットしました。プディング版やチョコ版も興味深いし、モツ版(Offel)なんてのも。グレープフルーツ版も出して欲しいな〜。ちなみにハンバーガー版とチーズ版はP-Vineから翻訳が出ています。
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