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2013年07月12日16:31

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世界報道写真展

東京都写真美術館で開催中の世界報道写真展に行きました。
フォト

↓以下、世界報道写真展のHP
https://syabi.com/contents/exhibition/index-1862.html

2012年に起こった出来事。世界各国から送られてきた写真、10万点の中から、アムステルダムで入選作品を決めたそうです。

報道写真なので、遺体が写っている写真も沢山あるのですが、その中に“美”を見つける自分もいて、自分の感情は複雑なのだな・・・と思いました。美って何でしょうね?人って何でしょうね?
そして、報道写真に、大賞とか、優秀賞とか、そういう評価を付ける意味って何なのだろう?とも思いました。

名前の後の( )は、撮影者の国籍。

世界報道写真展大賞2012だったのは、ポール・ハンセン(スウェーデン)の『幼い兄弟、ムハンマド(3)とスハイプ・ヒジャジ(2)の遺体を抱きかかえ、葬儀のためのガザ地区のモスクに向かう遺族たち』でした。いまも、混乱しているガザ地区。イスラエルの空爆で4歳と2歳の兄弟が死亡。子供の死体を抱えて、泣きわめいている・・のだろう父親と、布にくるまれて、血は見られるものの、眠るように死んでいる幼い兄弟。後ろには葬儀に参列する人々なのだろうが、怒っているようにも見える。
これ、ネット上では、写真が加工されているというコトで、議論されたりもしていたらしい。(捏造という意味ではなく、おそらく、フォトショか何かで、写真を加工したのだろう) 
イスラエル軍は、最初は、軍事的施設のみ狙ってたんですケドね。結果、最終的には、民衆の為の病院などを攻撃するようになった。戦争って、だいたいそうだよな・・・・。

アデル・ハナ(パレスチナ自治区)の『ガザ市の通りを引きずり回されるイスラエル協力者と疑われる男性の遺体』
この男は、見せしめの為に、遺体を引きまわされているのだろう。頭に銃弾を撃ち込んで殺してから、バイクの後ろに遺体を結び付け引きずり回したらしい。ハマスの軍事部門が犯行声明を出したらしいんだケド。引きずられる遺体は、ズボンも下げられ、遺体に対する尊厳なんてありゃしない。イスラエル軍に協力したから、そんな奴はぶっ殺して見せしめ・・この一点。バイクの後ろからついてくる民衆は、祭りでもやっているかのように、楽しそうにも見えた。
ユダヤ教徒とイスラム教徒。いつ、平和が訪れるんだろう?約束の地、イスラエル。

エミン・オズメン(トルコ) 『自由シリア軍が占拠するアレッポの学校で拷問される男性』
こちらは、シリアだ。新政府派の民兵組織シャビハのメンバーが拷問を受けている様子。政府の情報提供者に金を渡した疑いにより、拷問されているらしい。48時間ほど拷問されていたようだ。
両足にライフル・・だろうか?を縛り付けてその足を高く持ち上げている2人の男。拷問されている男は苦悶の表情だ。シルエットで、おそらく、鞭を持っている男であろう・・が見える。シリア北部のアレッポでの撮影。拷問って、世界戦争では禁止されてる事項だケド、そんなの守ってる奴いないよね。

今回私が1番衝撃を受けた写真がコレ。
ドミニク・ナール(スイス)の『スーダン軍と南スーダン軍の武力衝突で死亡した兵士の遺体』。
南スーダンは2011年に独立を宣言したのだが、まだ、国境的にはあやふやなところがあるらしい。スーダン軍と南スーダン軍が衝突。石油タンクが破壊されて、石油が漏れ出した。その漏れ出した石油が堪り、池になった。その池に、うつ伏せになった兵士の遺体が浮いている。
何が衝撃だったかって。石油池に写った青空の美しさに。そして、それを「美しい」と思った自分の心情に。
石油池に浮いている油まみれの兵士の遺体と、池に写る美しい青空。このコントラストで、まるで、シュルレアリズムの絵のようにも見えてしまった。
そして、思ったコト。戦争をやってる国の青空も、変わらず美しいし、きっと月も美しい。そして、咲く花も美しいんだろうな・・・と。美って何?美しいって何?と考えてしまった。
撮影者の意図もそこにあったのかも知れない。悲惨な状況下にある美。

ここからは、日常生活の部に入る。ここでのお気に入りは、マイカ・エラン(ベトナム)の『ベトナムの同性愛者たち』。ベトナムに住む、同性愛者のカップルを撮影した写真。ベトナムは2012年に同性婚を認めたのだが、それでも、まだ、国民の反応は、同性結婚に否定的なんだそうな。
女の子同士のカップルがじゃれていたり、ちょっと壮年の男性と青年のカップルが、肩を抱いて、TVを見て(るのかな?)たり。1番のお気に入りは、男性2人でお風呂に入ってる写真。お風呂って言っても、たらいなんだケド(^_^;)。1人の男性が、彼氏の男性の髪の毛を梳いている。愛おしそうだ。皆、幸せそうだ。彼ら彼女らに、幸せが訪れますように・・と、ちょっと願った。

アーロン・ヒューイ(アメリカ)の『米サウスダコタ州のパインリッジ居留地に暮すオグラダ・ラコタ族の人々』。米サウスダコタ州のパインリッジ居留地では、1980年に、ラコタ・スー族が250人虐殺される・・と言う事件があったそうな。ここに写っているラコタ族は、流しで身体を洗う子供や、その横で、携帯見てるお母さん(かな?)が写っていたり、日常がある。
今は、多少安定している区域らしい。

パオロ・パトリーツィ(イタリア)の『ローマ近くで売春婦をしている、ナイジェリア出身のアンナ、ほか』。イタリアの道路脇で売春に従事する女性達。本当に、路肩。屋根もないの。草原にマットレスが置いてあるだけ。それが彼女たちの仕事場。
木々の間に申し訳程度にカーテンを引いて、マットの上に座っているアンナさん。お客を待っているのだろう。
ここで売春に従事する女性たちは、大抵は、人身売買の犠牲者か、ブローカーに高額の借金をして入国したものの、その借金を返すので精一杯になってしまった女性達。自分達で売春組織の運営もしているそうで、その場合は、一応、年期があけたら帰れるらしいのだが、それでも、性産業から完全に足を洗うコトは難しいらしい。

小麦畑の中のマットの横の膨大の紙屑が妙に生々しい。
売春は、古来からある職業の一つだと言う。でも、この実情を見て、そんなコト言ってる場合なのか?と思った。

アンナ・ペティンスカ(ポーランド)の『ワルシャワに住む色素欠乏症の少女シジャ』。所謂“しらこ”だ。白い肌、白い髪の毛。髪が靡いて目を覆い、目は見えない。何でも、色素欠乏症の場合は、目の色素が欠けるため、重大な目の病気を引き起こすことが多いらしい。太陽の下も歩けないそうだ(メラニンがないからだろう)。
でも、白い髪が靡くこの少女は、まるで妖精のようで、とても幻想的で美しかった。

因みに。こういう写真を“演出肖像”というそうな。初めて知った。

動物の写真もあった。ポール・ニックレン(カナダ)の『羽毛に蓄えた空気によって加速して陸地に飛び乗るペンギン』。ペンギンの大ジャーンプ!何でも、ペンギンは、体形的に上手く陸に上がれないらしく、上がる場合は、水中で物凄い勢いで泳ぎ、その勢いのまま大ジャンプをして陸に上がるんだそうな。沢山のペンギンは見てるだけで可愛い。
ただ、さっきまで見ていた写真とのギャップが・・・。

トマス・P・ペシャク(ドイツ/南アフリカ)。この人、2つ国籍を持ってるのかな?『熱帯・温帯の海洋に生息し、個体数の減少が危惧されるジンベイザメ』。でかい口を開けてるジンベイザメ。ジンベイザメ自体はとてものどかなのに、その横に、ビニール袋が浮いている。何でも、プラスチックなどを飲みこみ、害になっている場合が多いそうな。海洋へのごみ投棄問題だね。

“スポーツ・アクションの部”って言うのもあった。
ヤン・グラルップ(デンマーク)の『命がけでバスケットボールをするソマリアの女性たち』。ソマリアのイスラム法廷連合が、2006年に女性のスポーツ全面禁止命令を下した。つまり、ソマリアでは、女性はスポーツが出来ない。イスラム過激派は、女性がスポーツをするコトを反イスラムとみなす。そんな状況下で、バスケットボールをする女性達。銃弾の痕だらけのアリーナで、バスケの練習をしていた。マシンガンを持つ警備員もいる。この警備員は、バスケットボール協会が、配備した人らしい。おそらく、スポーツをしてるというコトで、彼女たちはイスラム過激派から狙われるのだろう。
もう、日本人からすると、「女性がスポーツすると反イスラムって何だよ?」と思えるが、昔は日本だって、女性は富士山登れなかったり、そんな時代もあったんだもんな・・・と思った。
いつか、ソマリアでも、女性が堂々とスポーツが出来る日来れば良いと思う。

他にも、麻薬潜入捜査で、逃げてる人達は皆、黒人だったり(今でも、白人優位社会なのが良く分かる)、麻薬漬けで泣いてる少女の写真があったり、空爆でボロボロの建物の写真があったり。3・11の津波の写真もあった。

美術って、考えると言うのも1つの目的のはず。なので、この写真展も立派に美術なのだろうな・・・と思いました。

東京都写真美術館外観。
フォト

近くにガーデンプレイスがある。サッポロのお店を後ろから撮影してみた。
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