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2013年06月29日15:38

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『あまちゃん』の宮藤官九郎

 宮藤官九郎といえばトリッキーな作風という印象があったのですけれど、『あまちゃん』では堂々の正攻法で地肩の強さを見せつけてくれています。説明が多めの似たシーンになりがちな場合でも、いろんなパターンを駆使して、視聴者を飽きさせなような工夫が凝らされており、いつも感心しながら録画を見ています。
 ちょっと前には母親とのいざこざを抱えたヒロインが、ちっとも相手の話を聞いていなかったというていにして、次々に「なんでそうするんだっけ?」と遡って質問させることで、逆方向に説明させるテクニックを用い、平板さを回避していました。前作、『純と愛』の遊川和彦とは大違いです。……まあ、このあたりはここに書いても仕方がありませんが。

 あえて噛み合わない会話をさせることで、シーンにリアルさを加えたり、キャラクターの個性を引き出したりするのも特徴だと思います。このあたり、凝縮して洗練された表現を重んじる映画なんかとは明らかに異なり、即興性を積極的にとりこんでいくお芝居の影響が大きいのではないでしょうか。テレビでいえば、ドラマというより、バラエティに近いといいますか。もちろん、脚本に書いてあるわけですけれど。実はこの手法、毎朝、少しずつ放送する連ドラというジャンルとはきわめて親和性が高いんじゃないかと思ったりもします。

 劇団『大人計画』の俳優が大挙して脇を固めているのもこのドラマの特徴で、この前は主宰の松尾スズキまで喫茶店のマスターとして出演してました。ここらへんは基本的に当て書きだと思われるのですが、そういう劇団ノリをあえて主演の能年玲奈やサブヒロインの橋本愛に振ることがあり、これが意外とうまくこなしたり、さすがに無理だったりすることもあって、そのあたりも見所のひとつというか、無茶ぶりしてできたりできなかったりを鑑賞するという、正統派アイドルドラマ・バラエティっぽい見方もできなくはありません。

「あまちゃん」能年玲奈率いる「GMT47」のオリジナル曲完成
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=137&from=diary&id=2483932

 上のリンクにある楽曲ですが、曲も振り付けもけっこう作りこんであって、アメ横女学院のステージのシーンはそれなりに迫力があります。いい大人がわりと本気で遊んでいる様子が伝わってきます。それもこれも土台となる脚本がきちんとしていることありきなわけで、それなしでスタッフが遊んでも視聴者にしてみれば延々と悪ふざけを見せられていることにしかなりません。ほぼ毎日放送する連ドラの脚本をあれだけの密度で書き連ねながら、ついでに遊んでしまえる宮藤官九郎はすごいなと、あらためて思うのでした。

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