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2013年06月17日15:01

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なぜ、「田」の中の「土」の書き順は「丨一一」なのか。

毎度、「書き順」、「筆順」を批判している “にれのや” でありますが、「正しい筆順」の話であります。

　　　…………………………

誤解を解くために申し上げますが、

　　　世間一般の人が、すべての漢字には
　　　唯一絶対の正しい筆順がある、と信じ込んでいるから
　　　「筆順」など無くしてしまえ、と申し上げている

のでありますヨ。

筆順というのは、

　　　筆で文字を書くうちに、
　　　自然と生まれてきた書きやすい順序

なんでありますよ。それを

　　　記憶しなければならない

という

　　　本末転倒

をするくらいなら、みんな自由に書いたらよかろう、と言いたいわけであります。

　　　…………………………

そもそも、文部省も、文科省も、

　　　唯一正しい筆順を示して、そのとおりに書くように指導せよ

とは言っていない。

　　　「テレビのクイズ番組」や「受験産業」

が、

　　　自分たちの存在意義を主張するため、
　　　さも、唯一絶対の筆順があるかのように
　　　ふるまっている

んでありますよ。

　　　…………………………

先日のTBS 「プレッシャーバトル」で【馬】の筆順を問うていました。

　　　【馬】の書き出しは、
　　　(1)　丨＞一＞丨
　　　(2)　一＞丨＞丨
　　　のいずれの慣用もある

のでありますが、この番組は (1) だけが正しい、としておりました。

　　　なぜ、そんなウソを強弁できるのか
　　　まったく理解できまへん

できまへんが、これが通ってしまっているし、お茶の間の人たちは、「ああ、そうなんだ」と、自分の過ちを反省しているにちがいない。ご愁傷さまであります。

　　　複数の筆順がある漢字は少なくない

のでありますよ。自分の書きやすい順序でよろしい。

　　　…………………………

だが、古代から、１通りの筆順しかない漢字もあります。

その１つを申し上げましょう。

　　　【田】【王】【生】

のタイプであります。

【十】【土】の書き順はどうですかな。

　　　【十】　一＞丨
　　　【土・士】　一＞丨＞一

でありますね。これは漢字の書き順の基本

　　　(a)　上から下へ
　　　(b)　左から右へ
　　　(c)　交差する【十】は、「一＞丨」

から導き出されます。

　　　…………………………

ところが、この筆順の習慣から、【田】の書き順を

　　　【田】　冂＞土

とする人がいますナ。残念ながら、漢字の歴史の中で、このような筆順は使われて来ませなんだ。

これは、

　　　右利きのニンゲンの手クセ

と関係があります。右利きの人が筆で文字を書くときには、

　　　時計回りの運動は、すばやく容易に、スムーズにできますが、
　　　反時計回りの運動は、運筆のさまたげになる

のであります。

　　　【土・士・十】のような独立した文字では、
　　　左回りの運筆に目をつぶって、
　　　【一＞丨】の法則を堅持する

のでありますが、

　　　【田・角・由】のように、【冂】に似た囲みの中に、
　　　【土】を書き加える場合には、
　　　筆順の大原則を破って、
　　　書きやすい時計回りの運筆を行うのが習慣

なのでありますネ。

　　　隠れたトコロなら、原則を破って、コチョコチョッと書いてしまおう

という魂胆であります。

　　　…………………………

毎度、申し上げるように、漢字の書体は、

　　　篆書 → 行書・草書 → 楷書

の順に発達しました。

　　　コスモス → カオス → コスモス

と変化してきました。行書や草書から楷書が生まれた、というと、奇異に思えますが、学校で言う「楷書モドキ」（正しくは、「康煕字典体」）ではなく、実際に使われてきた「ホントウの楷書」を見ますと、

　　　渾沌とした字画の中から、字体を整えていった

ということがわかる特徴がいくつもあります。

行書や草書は、日常の用に足りるよう、筆ですばやく書くための書体ですから、運筆は時計回りが主になります。

　　　【土・士・十】などが裸で出てくる場合のみ、
　　　ムリして反時計回りに筆を運びますが、
　　　そうでない、チマチマッとしたところは、
　　　時計回りのほうが都合がよかった

んですね。細かい字画に手間をかけてはいられない。

つまり、【土】の部分が、

　　　