「生活保護バッシング」批判(3)−労働意欲

以前の日記

　人の痛みを知ら内閣
　　http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1886302430&owner_id=5416651

ここでもリンクした自民党の生活保護政策
　　http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/recapture/pdf/062.pdf
ここには、「個々人が国に支えてもらうのではなく、額に汗して働く人が報われる社会を目指しています。」
と書かれています。
明らかに、ネットなどで「働くのがバカらしくなった」と批判されていることを念頭に置いています。

では、生活保護の記事が出た時に「働くのがバカらしくなった」と言った人は、
実際に仕事をやめているのでしょうか？
ほとんどの人は「バカらしくなった」ということで、
生活保護制度を批判し、生活保護受給者を侮辱することが目的です。
実際には仕事をやめてないでしょう。

働くことがバカらしくなったのなら辞めればいいのです。
それをしないのはバカらしくないからです。
金銭的なメリットもあるでしょう。
仕事を辞めて生活保護を受けるとすれば、
マイホームを持っている人は、ローンが残っていれば、手放さなければならなくなるとか、
生命保険も解約させられるとか、自動車も原則として売却させられるとか・・・

上のリンクでは家族３人の生活保護費が約２４万円と書かれています。
おそらく「３０代の夫婦に小学生」ということを想定してるのでしょう。
それ以上の給与を貰っている人も少なくないでしょう。
最低賃金でも月額が１３万円ならば、この夫婦が働けば２６万円になります。
先の「人の痛みを知ら内閣」で批判したように、
家族全員の生活を考える「生活保護」と、
一人の労働者しか考えない最低賃金を比較すること自体が間違ってますし、
最低賃金は「主たる生計者がいて、補助的に働く人」を想定していると考えた方が良いでしょう。
特に経営側委員は「生活」という観点を無視していますから・・・・

金銭的なメリットのほかに、
働いて生活保護を受給せずにいれば、
受給者を侮辱することで日頃の鬱憤を晴らすことができたり・・・
そんな精神的なメリットもあるでしょう。


むしろ労働意欲が削がれているのは受給者の方なのです。
「選ばなければ仕事があるだろう」と言われますが、短期的な仕事をしても、
その給与はほとんどすべて過去の生活保護費の返還分として返上しなければならず、
それこそ「働くだけ損」になってしまいます。
半年以上に亘って生活保護水準（最低生活費）以上の金額を得られる仕事につき、
生活保護から脱却できる状況にならなければ、
労働する意味がないのです。

勘違いしやすい部分なのですが、生活保護は
　　　　　　「今月は収入が最低生活費以上だから、支給しません」
　　　　　　「来月は収入が最低生活費以下だから、差額を支給します」
というものではありません。（制度的にはそのような解説がなされるのですが）
　　　　　　「収入があったら、過去に支給した分を返して頂きます。
　　　　　　　今月の生活保護費（最低生活費）は支給します」
というものなのです。
過去には、「消えた年金」問題で、
再調査されて一時金としてに支給された「不足分の年金」を全額「返還要求」された例もあるようです。
この「不足分」として受け取った年金額が百万単位くらいであれば、
生活保護を「辞退」することで、いったん生活保護の対象から外れて、
資金が底をついたら再度「保護申請」するということも考えられますが、
どちらにしても、そのような制度になっていることを知っておかないと、
生活保護という制度の「罠」にかかってしまうことになります。


なので、この自民党の政策のうち
　　　　「同時に、自立時資金のための『凍結貯蓄』を制度化し、働く意慾を高め、
　　　　　国や自治体等も単純事務作業、清掃等の働く場を生活保護者に提供します。」
という部分は歓迎すべきものです。
受給者に収入があったら「福祉事務所が預かって貯蓄をする」、
自立した（生活保護から脱却した）ときに、その貯蓄分を返還する、
という制度は受給者の労働意欲を、少なくとも今よりは高めてくれるでしょう。


かつて『ハリー・ポッター』作者ももらっていた「生活保護」
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=140&from=diary&id=2278488