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先月函館競馬観戦に行った際に昼飯を食べに寄った老舗の中華料理店「汪さん」のあんかけチャーハンの日記をアップしたら、あるマイミクさんから「次は天丼ですか?」というコメントがついた。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1752526984&owner_id=18367645
函館で天丼なんて知らなかったが、調べてみると一部の人に人気のディープな天ぷら屋らしい。
先週土曜日6日は函館競馬観戦に行っており、競馬が終わってから函館18:24発の特急に乗ることにしたから、1時間半ほど時間があった。
市電を松風町電停で降りて、とりあえず様子を見に行ってみた。
目指す天ぷら屋「まつ本」はすぐ分かった。
それは、昭和レトロとか、そういうレベルを通り越した異彩を放つともかくすごい建物だからである(写真)。
「この建物、現役?」と心配な感じだが、のれんが下がっているから、夕方5時前だというのに営業はしているんだろう。
恐る恐る入ってみる。
店内には誰も見当たらない。
壁に掛けられた柱時計がいい味を出している。
「いいですかぁ」と声を掛けると割烹着を着た親父さんが出てきて「どうぞどうぞ」と招き入れてくれ、カウンターに座る。
それにしてもすごいお店である。
壁は塗りものがなくなってしっくい丸出しである。
そして、目の前にはとんでもなく古い冷蔵庫らしきでっかい物体が。
こりゃ年代物だ。
蒸し暑い日だったが、もちろんエアコンなどなく、暑いから「馬ハイボール(400円)」を注文。
函館競馬開催記念のハイボールで、ホワイトホースの炭酸割りである。
冷凍庫から氷をジョッキに入れると、親父さんはさっきの冷蔵庫を開け、中から冷やしていた瓶詰めハイボールを取り出した。
こいつはすごい、この冷蔵庫、お店の雰囲気づくりのアンティークではなく現役だったのである。
聞けば昭和28年、三菱電機製だそうで、博物館級のものが今でも現役バリバリで使われているのだ。
気を取り直して、まずはつまみを注文しよう。
白貝甘たれ(600円)というのを食べてみよう。
白貝なんて聞き慣れない貝だが、身がハマグリくらいの大きさの非常においしい貝だった。
甘い「ツメ」とわさびがよく合う。
夕方5時を過ぎ、親父さんが電気をつけたが、照明は白熱灯だった。
何から何まで徹底して古い。
よくぞこんな店が今も変わらずやっているもんだな。
そして次は、夏の函館に来たらやっぱり名物のイカだろう。
メニューには刺身もあったが、せっかく老舗の天ぷら屋に来たんだから、今回はいかの天ぷら(700円)を注文。
塩と天つゆの両方出てきたが、今風の花が咲いたような天かすが付いた衣ではなく、薄くまんべんなくついた衣の天ぷらで、柔らかくて旨い。
列車の時間まで1時間ちょっとしかなく、ゆっくりはしていられない。
早くも最後の締めに、評判の天丼を食べよう。
普通の天丼は1000円だが、100円しか違わないので上天丼(1100円)を注文。
フタを開けると、これもさっきのいか天と同様の衣の天ぷらが乗っている。
内容は、甘えび何匹かと、なす、ししとう、サーモン、そして何だか分からなかったが白身ではない魚の天ぷらが乗っていた。
甘いタレに揚げ油のコクもあって旨い。
そして、写真は2つ食べちゃってから撮ったが、天丼に付いてきたお漬物、これが手作りでちょっと酸味が出ており爽やかでつまみにはぴったりでいける。
そんなわけで、短時間だったがハイボール3杯飲んで完食。
会計を済ますと3600円だった。
とても60歳には見えない気さくな親父さんとの話も、それに絡む馴染みの客との会話も弾み、ただものではないお店のただずまい、冷蔵庫など、非常に印象深い天ぷら屋だった。
お店は不定休で日曜も営業、午後2時半から2時間の休みをはさんで10時過ぎまで営業しているそうだ。
雪の季節にも寄ってみたいと思う。
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