mixiユーザー(id:809122)

2011年07月19日10:14

27 view

節電

「節電」という言葉は多分に誤解しやすい言葉だと思います。

多くの人が単純に、電気の使用を控えて電気量を減らすことが、電気の節約、「節電」だと勘違いしているのではないでしょうか。
寝苦しい夜にクーラーを回すのを我慢したり、夜中しか点けない電灯をLEDに替えたりするのは、確かに電気料金は節約になるかもしれませんが、全然「節電」にはなっていないのです。ご存知でしたか?

今求められている」「節電」とは、電気の使用を「効率化」することであって、使用量を「減らす」ことではないのです。もしそうなら、ガソリン車をハイブリッド車に替えるなんて、もってのほかとなってしまいます。
効率化とは大雑把に言ってしまえば、需要・供給のロスを減らすことを指します。もう少し突っ込んで言うと、供給側の「電力量」を減らすことが「節電」なのです。(なので、より正確に言うのなら「節電」ではなく「省電力」と言うべきでしょうね)

「電力量」は「電気量」ではありません。普段10kwhしか必要なくても、需要側が一瞬でも1万kw使う時があれば、その1万kwが供給側の電力量の基準となるのです。ですので、私たちがピーク時以外の普段の使用をいくら抑えても、電力量には全く影響ありません。逆にピークの1万kwを5千kwに抑えられれば、たとえ普段100kwh使うようになっても、実質電力量は抑えられ、節電となるのです。(電気代は上がるかもしれませんが)

夏の節電対策として、一部企業でサマータイムを導入したり、工場で土日勤務シフトを敷いたりするところがありましたが、時間をずらしても使う電気の総需要量は変わりません。ですが供給側のピークを抑えることができるので「節電」になるわけです。また、モバイルパソコンの電源コンセントを抜いて、電力使用量のピークである昼時の数時間だけバッテリーを使うのも、電気は同じだけ使っていても「節電」になります。

操業を中止したり、パソコンを使用しなかったりするのが「節電」ではないのです。しかし、そう説明しても一般庶民は理解しないだろう。それより全体の使用量を抑えれば、それに連れてピークも落ちるから、そうやって誘導しよう。というのが国や電力会社の考えのようで、そんなふうに彼らが説明責任を果たしていないことが、「節電」という言葉に対する世間の誤解を招いているのだと思います。
そこには「由らしむべし。知らしむべからず。」という論理があるわけです。

電力会社が運営する小回りの効かない巨大な発電所にとっては、電力が定格平準化するほど効率的といえます。これは「電気は貯めておくことができない」という特性からくるものです。

「電池やバッテリーに電気は貯められるじゃないか」と言う人がいるかと思いますが、これもまた誤解です。電池やバッテリーは電気を貯めているのではなく、化学変化で別のものに置き換え、使うときに再度「発電」させているのです。言うなれば、電池やバッテリーは小回りの効く小型の発電機なのです。なのでモバイルパソコンのバッテリー使用で節電するというのは、止まっていた発電所をピーク時に稼動させるようなものといえます。

そう見ていくと、電気使用者が各自自前の発電所を持って、使う時に使うだけ発電するのが一番効率的、つまり節電になるとわかります。とはいえ、孤立化するとグロスによる安定的な効果が望めず、また停電などのアクシデントに対応できません。そこで電力ユニットを並列にネットワーク化することで、マスメリットを増しリスクヘッジを図る。それが近頃話題の「スマートグリッド」というものになるわけです。

つまりスマートグリッド化こそ真の「節電」と言えるのですが、何故かそれを提唱しているのは民間のメーカーなどばかりで、電力会社は(もしかしたら政府も)あまり乗り気ではないようです。
その理由は、独占している電気利権を手放すのが嫌だからなのでしょう。また、中央集権的な体制でないとコントロールするのが難しいというのも理由でしょう。無知な一般庶民が勝手にやっては、混乱するばかりで収拾がつかなくなると危惧しているのです。
そこにも「由らしむべし。知らしむべからず。」の論理が働いているようです。

しかし、もうそんなことを言っている時代ではないでしょう。高度に複雑化した現代社会においては、みんなが電気に限らずエネルギー全体の仕組みや影響を知り、国民全体の意識を高めていかない限り、本当の意味での「節電」は達成し得ないと思うのです。
2 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する