礫川浮世絵美術館で開催中の『似顔絵本家三代歌川豊国展＜写楽ばかりが役者絵じゃない＞前期』に行きました。そういえば、今、どこかで、写楽展をやってましたね。なるほど。だから、このタイトルなのか。
因みに。展示作品は、全て、歌川国貞になってます。その辺り、ご留意のほどを。
役者絵はやっぱり楽しいですね。お芝居のワンシーンも多いので、見ていて、本当に面白い。
『団十郎尽くし〔１，２，３代目；７，８代目；４，５，６代目〕』。各種団十郎さん・・と言うのだろうか？（笑）
右上の団十郎さん・・４代目かな？が、黒人のように肌が黒くなってしまっているのだが、コレは、すみやけと言うらしい。本来は、赤だったのだが、酸化して黒く変色してしまったそうな。赤って、鉄分入ってる絵の具・・よね？
『東海道五十三次之内（役者東海道） 白須賀猫塚〔菊五郎�掘諭戞２修映�・・なんだろうな。人間に耳が生えている。手が思いっきり猫手なのが面白い。コレ、菊五郎さんが演じてるってコトよね。
『梓元の好まかせ北窓翁か古図の雨やちるニなろふて』。雨宿りの図です。走る男。猿回しの人。獅子舞やるひと、三味線持ってる人（旅芸人なのでしょう）。お侍。町娘。皆、雨宿りしております。ちょっとスナップ写真のようですな。
『見立て雨宿り』。こちら前述の雨宿り図と並んで展示してあったのですが、こちらは、見立て。やじきたの喜多八や弥治郎兵衛、『桜姫東文章』の清玄和尚。お初に、白井権八まで。色んな物語の登場人物が雨宿りしてます。役者さんが、それを演じてるテイになっているよ。
『当見立五行相克〔アテテミタテゴニンノハリアイ〕（火） 寝津美幸蔵〔小団次〕』。コレ、ここから、5枚れんちゃんで、この『当見立五行相克』が続きます。
因みに。五行相克って、中国の『陰陽五行説』ね。火は水に負けるケド（火は水をかけると消えちゃうから）、木は火に負ける（木は火で燃えちゃうから）・・とか、そういう関係を、陰陽五行説で、五行相克って言うの。
続くのは、『木』が『大工六三〔市蔵〕』。『水』が『牛若伝冶〔権十郎〕』。『金』が『土手のお六〔粂三郎〕』。『土』が『八重桜の此三〔羽左衛門〕』。
〔 〕内は、役者さんの名前で、その前に書いてあるのが、物語の登場人物ね。寝津美幸蔵は、ねずみ小僧よね。縞の粋な着物に、豆絞りの手ぬぐいを、頭（てか顔）にキュッと巻いて恰好良い。
牛若は、藍色の着物で、口に大きな出刃包丁を咥えて、袖をギュっと絞ってます(着物が濡れているのね）。決めポーズですな。土手のお六は、頭に被った手ぬぐいを口に咥えて、体を捻ってポーズ。ちょっと憎らしいね。
で・・・。私、ハッキリ分からないのだが。相克ってあるんだから、やはり、火は水に負ける・・みたいな意味合いがあるんだと思うんだ。じゃないと、こんなタイトル付けないと思うから。コレ、どういう関係性になってるか、分かる人います？？
寝津美は、牛若に負けるってコト？それとも、俳優の方に何か関係があるのかなぁ〜・・・。訊いてくれば良かった・・・・(-_-;)。
このシリーズ。薄墨の地に、背景を濃い墨で摺り出してるのね。それが闇に浮かぶシルエットのようで、凄く恰好良いの！
『今様三十二相 気がせき相Ａ』 口に懐紙を咥えて帯を急いで締めている色っぽい美女。美女の深緑の帯も美しいです。受付の方が、ルーペを貸して下さったのだが、ルーペで見たら、睫毛までちゃんと彫ってあった・・・。スゲエ。
『豊國漫画図絵 おぼう吉三』。三人吉三の、お坊吉三ですね。こも・・だと思う・・を被ったお坊吉三。コレ、正面刷りってのをしてるらしく、光を当てると、細かい模様が浮き出るの。何でも、紗を引いて摺ったりしてるらしい。
『豊國揮毫奇術競 鳴神上人（河原崎権十郎）』。『豊國揮毫奇術競 若菜姫』。コレは並べて見ないとね。方や、激しい稲妻をバックに、火炎に乗る鳴神上人！方や、巻物を手に、蜘蛛の妖術を使う、美しくも妖しい若菜姫！！
奇術を競ってるワケですからね。コレも、空刷りしてるみたいで、光あてたら、模様が浮き出たりしたよ。凄く綺麗だった。若菜ちゃんの、赤から、浅黄色になる、着物のグラデも美しい。
『白縫大尽 実ハ若菜姫 花野村の千種 実ハ鳥山秋作』。こちらも、バックに大きな蜘蛛。光を当てると、やはり空刷りしてある、蜘蛛の糸が浮き出てくる。スゲエ〜。
若菜ちゃんは、白縫大尽に化けてるのね。若菜ちゃん、印を結んでた。
『江戸の花名勝會 か（加）〔外神田〕 瀧夜叉姫 尾上菊五郎〔将門の飛首、神田明神〕』。花名勝ってあるから、江戸の花の名勝地なんだろうな。４つ枠が作ってあって、上から、将門さんの生首がビロ〜ンと下がってます。てか、飛んでるんだろうな。下には妖術使いの瀧夜叉姫。面白い構図だね。
『江戸廼花 名勝會 ね〔巣鴨〕 氷川下・猫又 市の川市蔵の犬村大角Ｂ』。猫又だぁ〜。構図は、前述の瀧夜叉ちゃんと同じなのだが、こちらは猫又がデロ〜ンと下がっています。猫又さん、下にいる、大角に向かって「ウナ〜！」と鳴いてるようですな。
『豊國漫画図絵 石川五右衛門（片岡仁左衛門�次法戞�仁左衛門が石川五右衛門を演じております。臙脂のバックに、キリっと見得を切る石川五右衛門。コレ、上に飛んでるのトンビなのかな？何か意味があるんだと思うんだケド・・・。コレも訊いてくれば良かった・・・(-_-;)。
『正写相生源氏 上、中、下３冊揃』。コレは本です。本が、結構展示してあって、私は嬉しかったです。相生源氏の道行きと絡みの場面が出ていた。絡みがなかなかに色っぽい。当時は、源氏ブームで色んな源氏があったんだよねぇ〜。
役者絵が好きな方は、楽しめる展示だと思いますので、行ってみると良いと思います。
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