というわけで、4月9日に『真・バルバロッサ作戦』から続けて『凍結戦線』をプレイしました。
このゲーム、なにがいいかといえば、とにかくタイトルが素晴らしいです。凍結と戦線、なんだかかっこいい言葉がふたつ並んでますし、英語タイトルの "FROZEN FRONT" はきちんと韻を踏んでいます。欧米のゲームもふくめてこれ以上に趣のあるタイトルはないでしょう。
テーマも渋く、41年のソ連軍による冬季反攻からつながるデミヤンスク攻防戦を扱っています。ソ連の攻撃に対してヒトラーは死守を命令、包囲下におかれるも空輸による補給で耐えしのぎ、反撃で救出が成功して、結果として戦線の崩壊をも防いだという戦いです。もっとも、これがなまじうまくいってしまったせいで翌年のスターリングラードの顛末になるわけでして、まさに禍福はあざなえる縄のごとし。
タイトルとテーマがゲーマーを惹きつけてやまないのか、タクテクスの付録ゲームでありながら、プレイされたり語られる機会の多いゲームですが、評価は高くありません。
曰く、デミヤンスクにならない。
実際にそうなのか、自分で体験するためにドイツ軍を担当してプレイしてみたのですが、たしかにその通りでした。
ドイツ軍の防衛線が頑強で突破が生じないため、そもそもデミヤンスクで包囲されるという事態になりません。ドイツ軍は終始劣勢ではありますが、秩序を保ちつつ後退し、ソ連軍につけいる隙をみせません。なんとかデミヤンスクっぽくするための改善案がいくつかプレイヤーから提示されていますが、うまくいっていないようです。
ルールはオーバーランや突破・予備など、東部戦線ものとしてはいたってオーソドックスにまとめられています。しかし、個人的にはそうしたルールを採用したこと自体、ゲームの展開を史実に沿わせることについてデザイナーの興味のうすさを表しているように思います。デミヤンスクの展開はたしかに手に汗握るものですが、そうした特殊な状況を再現するための特別な仕掛けはありません。
戦闘序列はドイツの図書館で当時の軍事資料のマイクロフィルムをチェックしてリサーチしたものだそうですが、「汎用性の高いシステムへ綿密にリサーチした戦闘序列をのせてみた。史実のような展開にはならないそうだが、それは知らん」というのが、デザイナーの立ち位置のような気がします。せっかく盛り上がる題材を扱っているのだから、そうなるような展開をみせてほしいというプレイヤーの要求もわからないではないですが、別にそうならなくてもいいと思う自分からすれば、改善案はどれも徒労に見えます。
派手な史実の展開を忘れれば、地味ながら雰囲気のあるゲームといえます。機会があれば、プレイしてみるのもよろしいかと。
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