“伝承折紙とその発展について”というテーマで、10作品ばかりを選んで見た。これはつまり、折り紙・おりがみ 【3】
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1121604306&owner_id=9724239 と同様のテーマに基づくものである。まあ本当は、単に施設のレクリエーションで扱った作品というに過ぎないのだが。尚、選択の基準については、以下の三点を重視している。
一、シンプルな造形
二、明解な折り手順
三、所要時間、5分以内
千野利雄 「兎」
今年は卯年という事で、昭和の名作とされる千野利雄氏の「兎」には随分とお世話になった。鶴の基本形から折り出されるという安定感。素朴なインサイド・アウト。月を見上げているかの様な造形の妙。シンプル・イズ・ベスト。氏の「蛙」と共に、新たに伝承される事を切に望む。
15cm×15cm
薗部光伸 「蟹」
【1】より再録。伝承折紙のカニと同じく、あやめの基本形から折り出されるという安定感。勿論こちらは一切の切り込み(ハサミ)を必要としない。お腹にある三角の蓋(通称ふんどし)で自立する所が秀逸である。兎に角、幼少期の思い出と共に、新たに伝承される事を切に望む。
15cm×15cm
丹羽兌子 「亀」
兎といえば亀。或いは鶴といえば亀。しかし伝承折紙を含めて、なかなか良い造形には巡り会えなかった。漸く出会えた丹羽兌子氏の「亀」は絶品かも。風船の基本形から折り出されるという安定感。丸で浦島太郎に出て来る亀みたい。これも新たに伝承される事を切に望む。
15cm×15cm
興正柿からの発展、「イチゴ」と「トマト」
これは元々は【3】において、内山興正氏の「柿」のバリエーションとして紹介したかったものである。「柿」との違いは、緑の部分(へた)を細く折る工程が加えられているだけである。それを普通に膨らませると「トマト」になるが、形を整えながら慎重に膨らますと「イチゴ」にもなる。
15cm×15cm(表裏が赤と緑、もしくは二枚重ねで)
長谷川太市郎 「吹きごま」
これも元々は【3】において、氏の名作、「三段組みの花のコマ」と共に紹介したかったものである。こちらも同様に伝承折紙の風車からの発展であって、そのシンプルな折り手順と共に、機能性においても群を抜いている。“死ぬほど回るので、死なないように”との但し書き有り。
15cm×15cm
アクロバット・ホース
これも元々は【3】において、“遊べる伝承折紙”として紹介したかったものである。中国原産。そのしょぼい外見とは裏腹に、一度尾を振り上げると、見事なアクロバットを披露してくれる。尚、【3】の折り雛と同様、これも鶴の基本形に切り込みが入る。ヅルの基本形と言うべきか。
15cm×15cm
ゆり
この伝承折紙のゆりも、元々は【3】において、あやめのバリエーションとして紹介したかったものである。花弁を円筒形の筒(ペン)等を用いてカールさせると、その美しさは一層際立つ。尚、【3】のあやめと同様、本来の花弁数としたいならば、正多角形の用紙を用いれば良い。
15cm×15cm
しゅりけん、或いは「表裏同等一枚折り手裏剣」
この伝承折紙のしゅりけんは、めんこと共に、ユニット折紙の原点。その強固な組み上がり、実用性、装飾性は秀逸だと思われる。そしてこれを“不切正方形一枚折り”で、しかも“表裏同等”というマニアックな概念で以って折り上げてしまうのが、現代の折紙作家なのである。
(15cm×15cm)×2
『秘伝千羽鶴折形』より、妹背山
これは所謂、連鶴の中の一作品である。当時は当然の事ながら(そして連鶴を折る時には今でも大概)和紙が使用されているので、インサイド・アウトが意識される事はない。しかし表裏がある時、半ば必然的に生み出される事になるのが、このモダンな造形(色彩)感覚である。
24cm×12cm
薗部光伸 「カラーボックス」
現代のユニット折紙の隆盛はここから始まった、正にその古典となった作品である。そして又このシンプルな形状は、私の施設のレクリエーションでも重宝するのである。勿論それだけには止まらず、組む枚数が異なれば、次第にマニアックな様相を帯びて来る所も素晴らしい。
(15cm×15cm)×6
【おまけ】
「カラーボックス」は通称、「薗部式ユニット」とも呼ばれている。左の画像は12枚、右の画像は30枚で組まれたものである。因みに多面体として組めるのは、3枚から数百枚に及ぶ
(7.5cm×7.5cm)×12、(7.5cm×7.5cm)×30
左の画像は2枚、右の画像は3枚で組まれたものである。
(7.5cm×7.5cm)×2、(7.5cm×7.5cm)×3
左の画像は18枚、右の画像は36枚で組まれたものである。
(7.5cm×7.5cm)×18、(7.5cm×7.5cm)×36
左の画像は48枚、右の画像は90枚で組まれたものである。
(7.5cm×7.5cm)×48、(7.5cm×7.5cm)×90
バリエーションとして。左の画像は12枚、右の画像は30枚で組まれたものである。
(7.5cm×7.5cm)×12、(7.5cm×7.5cm)×30
折り紙・おりがみ 【7】
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1662036451&owner_id=9724239
ログインしてコメントを確認・投稿する