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2010年05月02日12:42

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半藤一利『昭和史 1926-1945』

昭和史に詳しくない自分にとって大変読みやすく勉強になった。とても面白かった。

121〜122ページ
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昨今、小泉内閣で有事法制が問題になっていますが、敵が攻撃してきた時に民衆をいかにして守るかという議論を今時やっているわけです。(中略)これは昭和8年の関東地方防空大演習と同じようなことじゃないでしょうか。歴史は繰り返すと言いますが、相変わらず懲りずにやっているなという感じです。敵がやって来る前に撃退しなければならない、その前にまず外交的な努力によってそういう事態が起きないようにすることが大事なのに、どうも国会ではいちばん肝腎の国家的政略や戦略が議論されていないようです。桐生悠々がいみじくも言ったとおり、だいたい日本の上空に敵機が来て爆弾を落とすようなことになれば、日本は勝てるはずないじゃないかというのは、非常に妥当な意見だと思わざるを得ません。現実に昭和19年暮れから20年にかけて日本本土上空にアメリカのB29がやって来てぼかぼかと爆弾や焼夷弾を落として日本全土がほとんど廃墟になったことを私たちは記憶しているわけです。
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有事法制 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%89%E4%BA%8B%E6%B3%95%E5%88%B6

桐生悠々 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A1%90%E7%94%9F%E6%82%A0%E3%80%85

東京大空襲・戦災資料センター[2010年03月22日]
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1443097009&owner_id=7106525



267〜268ページ
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それにしても、政府や軍部の「見れども見えず」は情けないかぎりです。が、こうやって昭和史を見ていくと、万事に情けなくなるばかりなんですね。どうも昭和の日本人は、とくに、10年代の日本人は、世界そして日本の動きがシカと見えていなかったのじゃないか。そう思わざるをえない。つまり時代の渦中にいる人間というものは、まったく時代の実像を理解できないのではないか、という嘆きでもあるのです。とくに一市民としては、疾風怒濤の時代にあっては、現実に適応して一所懸命に生きていくだけで、国家が戦争へ戦争へと坂道を転げ落ちているなんて、ほとんどの人は思ってもいなかった。

これは何もあの時代にかぎらないのかもしれません。今だってそうなんじゃないか。(中略)豊富すぎる情報で、われわれは日本の現在をきちんと把握している、国家が今や猛烈な力とスピードによって変わろうとしていることをリアルタイムで実感している、とそう思っている。でも、それはそうと思い込んでいるだけで、実は何もわかっていない、何も見えていないのではないですか。時代の裏側には、何かもっと恐ろしげな大きなものが動いている、が、今は「見れども見えず」で、あと数十年もしたら、それがはっきりする。歴史とはそういう不気味さを秘めていると、私には考えられてならないんです。ですから、歴史を学んで歴史を見る目を磨け、というわけなんですな。いや、これは駄弁に過ぎたようであります。
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歴史・人間社会を動かしているもの。権力。恐ろしいなぁ。


362ページ
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すべての説明を聞き、統帥部の発言も終わった後、天皇は突然、懐から明治天皇の御製(和歌)を出して朗々と詠みあげたのです。

  よもの海みなはらからと思う世に
    など波風の立ちさわぐらむ
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「昭和天皇 よもの海みなはらからと思う世に など波風の立ちさわぐらむ」でぐぐれ
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=%E6%98%AD%E5%92%8C%E5%A4%A9%E7%9A%87+%E3%82%88%E3%82%82%E3%81%AE%E6%B5%B7%E3%81%BF%E3%81%AA%E3%81%AF%E3%82%89%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%A8%E6%80%9D%E3%81%86%E4%B8%96%E3%81%AB+%E3%81%AA%E3%81%A9%E6%B3%A2%E9%A2%A8%E3%81%AE%E7%AB%8B%E3%81%A1%E3%81%95%E3%82%8F%E3%81%90%E3%82%89%E3%82%80


昭和天皇 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%AD%E5%92%8C%E5%A4%A9%E7%9A%87
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昭和16年(1941年)9月6日の御前会議で、対英米蘭戦は避けられないものとして決定された。御前会議では発言しないことが通例となっていた昭和天皇はこの席で敢えて発言をし、明治天皇御製の

「四方の海 みなはらからと 思ふ世に など波風の 立ちさわぐらん」
(四方の海にある国々は皆兄弟姉妹と思う世に なぜ波風が騒ぎ立てるのであろう)

という短歌を詠み上げた。
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498ページ
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それにしても何とアホな戦争をしたものか。この長い授業の最後には、この一語のみがあるというほかはないのです。ほかの結論はありません。
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同意。まったく、戦争なんてアホらしい。戦争へ突入せざるを得なかった状況であったとしても、「ミッドウェー海戦」とか「ガダルカナル島の争奪戦」とか「インパール作戦」とか、まったくもって「阿呆臭い」としか言いようがない。こんな間抜けな作戦で戦地に放り込まれ命を落とさなければならなかった人達のことを思うと残念でならない。

歴史に「もし(if)」はないと言うが、どうすれば戦争を回避できたのうだろうか?どうしようもなかったのだろうか?どうしようもなかったとしても、三百万人もの人が命を落とさずに済む道はなかったのだろうか?何故もっと早く戦争を終結できなかったのだろうか?この辺りの事情から日本人の特性を歴史から学ぶ必要があるのだろう。



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