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2009年09月23日14:43

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まずは土壌整備

“アニメの殿堂”建設見送りを決定〜文科相
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=968318&media_id=88

この裁定に一般の人は概ね賛成している感じだ。
一部その必要性を訴えている人もコメントを見ているといるようだが、その意見は文化を大事にしろとか保存展示施設は必要とかのタテマエ論ばかりで現実性に欠けるものばかりだ。
ハコ物を作ることが文化の振興になると考えるのはあまりに想像力が貧困だ。施設を作ればその維持管理にまたコストがかかる。内容について何も決まっていない現段階で、それに見合ったものになると信じるのは、楽観的というより詐術的と言えるだろう。
その点教育に対する投資は効率が高いと言えるので、「人材育成などソフト面での予算」という大臣の発言は当を得ていると言えるかも知れないが、僕はそれもどうかと思う。
今必要なのは優れた人材などでなく、その才能が発揮できる場の方だと思うからだ。


アニメやマンガを日本の世界に誇れる文化だと言っている人たちは、そういう意見をいつ頃から持つようになったのか尋ねたい。
それらが日本のコアコンピタンスだなんて言われ出したのはほんの5〜6年前のことで、ほとんど宮崎駿や鳥山明といったごく一部の個人的活動への欧米からの評価によってではないのか。
少なくとも10年ほど前まではそうしたサブカルチャーに対する世間の蔑視は確実に存在していた。

そうした蔑視は、実は今でも存在する。
マンガやアニメは下世話なもの、文化などとは呼べないくだらない娯楽だという思いが世間一般にあるからこそ、そこにたずさわる者の困窮の現実が説明できるのではないだろうか。

それらが例えばアメリカにおける映画産業のように世界に誇れる文化だったなら、産業として健全に成立していなければおかしいではないか。

歌舞伎が日本の文化だと言えるのは、それが既に社会的に認められ尊敬を受けているからであって(あるいは過去に一世を風靡したからであって)、河原乞食の身銭稼ぎの状態のままだったら、それを日本の伝統文化などと誇ったりはしないだろう。

世の大人たちはジブリ以外のアニメを本当に素晴らしいと思って見ているのか。オタク以外の一般人がマンガを誇りを持って外国人に説明したいと本当に思うのか。

本当にそうだとしたら、大人も子供もアニメを見、漫画を買いにいくのが普通になっており、国が金を出してハコ物なんか作らなくても、そこには人材も金も自然と流れていくのではないだろうか。


(寡聞にして知らないが、アメリカはもともと被差別人種のユダヤ人のしのぎとして始まったハリウッド映画を世界的にするために、国立フィルムセンターのようなものを作って外国人に宣伝していたりしたのだろうか。そしてそれが成功したりしたのだろうか。
そういうものがなかったら文化は振興できないのだろうか。)


思うに、確かに日本はアニメやマンガが発達したが、今のところそれが世界に誇れるような立派な文化になどはなっていない。逆にいまや風前の灯火となっている観がある。
若者が夢や憧れを持ってその世界に向かうような土壌が出来て、そうしたシステムを含めて、初めてそれが日本の世界に誇れる文化となるのではないか。

であれば、今必要なのはハコ物作りでも人材育成でもなく、システム整備ではなかろうか。

最低賃金以下の労働環境の改善や、著作権法による作品の流通頒布の疎外をなくすことといった(利益を確保するために著作権保護の方向に進もうとしている現状は、文化政策としてまったく逆の方向と思う。なぜなら著作権法は権利の囲い込みに作用し、文化にもっとも大切な伝播をせき止めてしまうから)体制作りで、産業としての自立が促されれば自ずとハコも人材も集まってくるだろう。

アニメがテレビから、マンガが雑誌から自由になって、新たなフィールドを持つことが出来たらずいぶん変わるんではないだろうか。
そしてテレビ・雑誌の衰退する今、その過渡期にあると言える。

今こそシステム作りの格好のチャンスであり、それがうまくいって初めてアニメ・マンガは(システムを含めて)世界に誇れる文化となりうるのだろう。


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 川端文科相は22日、今年度補正予算に盛り込まれた事業を精査するため、文科省幹部らからヒアリングを行い、民主党が「アニメの殿堂」と批判してきた「国立メディア芸術総合センター」の建設見送りを決めた。
 ヒアリングは8時間半かけて行われた。川端文科相は「『建物でなく』というのが我々の立場で、再検討してほしいという指示ですから」と述べ、アニメなどメディア芸術の重要性は認めた上で、人材育成などソフト面での予算を早急に検討するよう指示した。
 これを受け、合田文化庁次長は「感想と言われても、難しいですね。今日は私共として、ご説明することはご説明したと」と話した。
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