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2009年06月01日13:20

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需要の掘り起こし

ジャスコで買った液晶テレビが壊れた。
格安に飛びついて買ってしまった韓国の無名メーカー製。
買ってすぐに音がしなくなり、その時は交換して貰ったのだが、2年を過ぎて今度はデジタル放送が映らなくなった。
保証が何年あったのか保証書を調べようと思ったら、見あたらない。
どうも前回の交換の時に渡して、それから返して貰ってないような気がする。

いずれ1年保証だろうからと、有償修理を覚悟してサービスセンターに電話したのだが、「お客様の都合でこの電話は現在使われていません」とのアナウス。
既にそのメーカーは倒産していたのだ。

ネットで調べたら同じ目に遭っている人が大勢いるようで、ジャスコはその後もやはり韓国メーカーのテレビの安売りをして、同じようなリコールを繰り返しているらしい。
購入したジャスコの店には既に電化製品売り場はなくなっていた。

騙された。
率直にそう思った。

クレームをねじ込むことは出来るかもしれないが、それで事態がよくなる見通しは全くないので泣き寝入りすることにした。

とりあえずアナログ放送は映るので、デジタル移行ぎりぎりまで使って買い換えようと思う。



よく製造業の国内空洞化の議論がされる。
東アジア諸国の安い労働力に吸い取られて、国内の労働市場が縮小するというという見方だ。
その見方の延長で、東アジアの後発メーカーによる安売りで、日本のメーカーが駆逐されるのではと恐れる向きもある。
しかしそれは正しくない。
経済活動とはそれほど単純なものではないのだ。

絶対的に買い手のパイが決まっていて、それを売り手が取り合うという構図を想像しがちだが、実際にはちょっと違うのではないかと思う。

例えば僕は絶対にテレビを購入することを決めていて、それで日本のメーカーのものをさしおいてジャスコのテレビを選んだわけではない。
そのテレビが安いから、それなら買ってもいいかと思って購入したのだ。(それが間違いだったわけだが)だから日本メーカーの首を絞めたわけではない。(むしろ、反面教師の作用でこの次は絶対日本メーカーにしようと思ったわけで、その意味では最終的には信頼性などを含む「質」が購買意欲に大きく関わることがわかる。)

台湾のASUSが送り出したEeePCから始まった格安モバイルパソコンは、他のパソコンを買おうと思っていた人たちを奪って一人勝ちしたのではなく、それまでパソコンを買わなかった人たちを掘り起こし新たな市場を開拓して業界全体のブームとなった。むしろ他国のメーカーの売り上げに貢献したと言える。

アフリカが貧しいのは、先進国が彼らを搾取しているからではない。彼ら自身の労働力や生産性が低いからで、搾取があるとすれば彼ら内部で行われていることだ。
石油や鉱物を先進国が横取りしている事実はある。しかし、それを有効活用する生産力をもっていない彼らは、結局それらをもって自らのGDPを上げることは出来ないのだ。

つまりパイが決まっていて、それを誰かに掠め取られているのだと考えるのは正しくないと言うことだ。


経済活動を考えるとき、そのパイは需要と生産性(労働力)が決定する。全体の量が決まっていてその中で需要が振り分けられるのではなく、需要が全体の量を(生産可能な範囲で)決定するのだ。
そしてその需要を左右するのは、技術革新やそれに対する質の評価と、通貨流通性にある(のだと思う)。



我々一般労働者は、ともすると需要者側に立った狭い視点で事を捉えがちだ。
全体のパイは変わらないもの、需要は常に一定なんだと思いこんでしまう。
そういう考えにとらわれると、業界が冷え込んだときにすぐに、利益の配分の問題に拘泥するようになる。
経営側が不当に利益を得ていて、労働者が搾取されているんだと思うようになるのだ。

実際経営の責任の部分ではある。
経営方針が間違っているから、需要と生産がマッチしないで、不当な労働対価しか得られない事になるのだから。
しかし、経営者側の金をこっちによこせと言ったところで問題解決にはならないのは明白だ。

需要を掘り起こし、全体として底上げしていく事こそ重要なのだ。

そのために労働者側が出来るのは質の向上だ。
先に書いたように質が購買意欲に大きく影響する。質は必ずしも製作物の高級化・高価格化に向かうわけではない。むしろ低価格化の印象を与えるのが質の向上と言える。
技術革新も質の向上の一環だ。

僕の場合も、安い(値段に対し質が高い)と思ったからテレビを買おうと思い、そのテレビの質が実際は低かったものだから、当分テレビは買わないと思ったのだ。
質に対する意識が需要喚起のポイントと言えるだろう。

質の意識はその価格設定と相関関係にある。無論ニーズとも密接に関係する。
その点から言えば、市場調査の上的確に資源分配していく経営計画も「質のコントロール」と見ることが出来るかもしれない。



景気が悪くなってみんなが財布の紐を締め出すと、さらに景気は悪化する。
実際給料が減って財布にお金がないというミクロな視点は切実なものなのだが、その問題を解決するのは、実際は「金は天下の回りもの」と考えるマクロ経済の視点だ。


出版不況やテレビ局の軒並みの経営悪化、あるいはアニメ業界の極端な低空飛行状態など、どれも構造のもたらす問題なのだが、それを解決するのは「貰いすぎている奴」の金を奪うようなミクロな事象ではない。
新たな需要を掘り起こすべく、質の向上を図るマクロな活動ではないか。

その意味でこの記事は低レベルな意見と言えるだろう。


「制作費大幅カットより給与削減が効果的なのは明らか!」
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=853885&media_id=10


対症療法としては必要だが、それは問題の先送りにしかならない。いやむしろ先細りの引き金になるだろう。

削減した分をすべて制作現場に向けて、インセンティブを与えることで質の向上を図るというのならわかるのだが。

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●半減なら400億円は削減できる



 民放キー局の経営陣が頭を抱えている。6月下旬に予定されている株主総会が刻一刻と迫っているからだ。



 民放各社の09年3月期の連結決算が今月中旬に出そろい、いずれも惨憺(さんたん)たる結果だった。テレビ朝日とテレビ東京は赤字に転落。TBSホールディングスも単体では開局以来初めての赤字。日本テレビとフジ・メディア・ホールディングスは赤字を免れたものの、それぞれ営業利益が前年同期比47%、19%のマイナスとなった。不況でスポットCM収入が激減した影響が大きい。



 問題はこれに対するテレビ局の無策だ。来期に向けて右に倣えで制作費の大幅カットに乗り出し、タクシー代やロケ弁の節約に励んでいるが、株主が納得するような抜本的な打開策は示せていない。



「TBSは今期の役員報酬カットの方針を固めていますが、それ以外となると“全力を挙げて視聴率の底上げを図る”などと漠然としています。テレ朝の“コンテンツライツビジネスの強化”も分かりづらいし、日テレが新方針に掲げた“商品力と利益体質の強化”は今さらの話。各局とも手詰まり状態なのです」(マスコミ関係者)






●それでも平均サラリーマンを上回る



 しかし、テレビ局が株主のために八方手を尽くしたかといえば、答えはNOだ。制作プロいじめの経費節減より効果的で、株主を納得させるプランがある。芸能評論家の肥留間正明氏が言う。



「民放各局は歴史的な危機を迎えているわけで、その対応も歴史的でドラスチックなものが必要です。といっても、小難しいことが求められているわけではなく、ベラボーな社員の給与水準を平均のサラリーマン並みに引き下げればいいだけ。それで赤字は埋まるし、下請けの制作プロをいじめる必要もありません」



 TVマンの給与は日本一、いや世界一か。たとえば、フジHDは連結で5125人の社員がいて、平均年収は1534万円。半減の767万円でも一般サラリーマンの年収より多いが、それでも393億円が浮く計算になる。年収1404万円の日テレも給料を半分にすれば231億円の削減が可能だ。



 株主総会が大荒れとなるかどうかは経営陣の決断次第だろう。



(日刊ゲンダイ2009年5月29日掲載)


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