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2009年04月29日21:46

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強者の経済

オープンプライスと表示される商品が増えてきた。

オープンプライスとは
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メーカー(販売元)が卸値(出荷価格)だけを提示し、標準卸売価格(希望卸売価格)や標準小売価格(希望小売価格)を設定せず、流通各段階の業者が自らの判断で自由に価格決定を行う方式をオープンプライス(オープン価格)といいます。逆に、メーカーが標準卸売価格や標準小売価格を設定する方式は、建値制と呼ばれます。
 消費者の立場では、例えば新発売された商品がオープンプライスである場合、比較参照するものがなく、価格についての判断が難しくなります。販売店の店頭価格を平均した実勢価格や実売価格から検討することになります。価格情報を探索するコストが増えますが、一方で、販売店間の公正な競争が促される結果、価格が安くなるというメリットも考えられます。
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と言うことだが、これはもう一つの近年の傾向、価格差別化と表裏一体の関係にある。

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価格差別化とは、価格設定能力のある(ある程度のマーケット・パワーまたは独占力を有している)企業が、市場において複数の消費者が存在することが分かっている場合に、製品・サービスを、コスト差に基づいたものでない2種類以上の価格差で販売することです。このような価格設定により、企業は自らの利潤を最大化することが可能となります。
価格差別化には、顧客セグメント別、製品形態別、イメージ別、場所別、時期別といったタイプがあります。
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オープンプライスは小売店がメーカーから独立して価格決定するのであり、価格差別はメーカーのコントロールなのだから違うものと言うかもしれないが、大局的に見れば市場動向が価格を決定するということで同じようなものと言っていいだろう。小売店でもメーカーでもなく、最終的にはそれを買う人間が価格を決定するのであり、買い手の状況によって変動するという点で同一と言える。
どちらも価格に敏感な相手にはより安く、そうでない相手にはなるべく高く売る体制と言えるかもしれない。

つまり価値は、統一的なものでなく「変動する」ものだということだ。同じ商品、サービスであろうと同じ価格とは限らない。購入の際、自分が出した金額がそのものの値段だ。
統制経済でない限りそれが自然な姿と言えるのかもしれない。


しかし、その状況は今後ますます「社会格差」を広げていくだろう。

まず、なんといっても情報弱者は不利だ。情報を持ち行動に移せる人間ばかりが得をするようになる。
次に田舎では販売店の数も少ないので小売段階での競争が働かない。定価がなければいくらでも高い値段が付けられる。いわゆる「観光地値段」みたいなものが「地方値段」として成立してしまう点で不利だ。
そういったことから、田舎に暮らすネット環境にもない第一次産業従事の老人などというのは、不利この上ない。
ただでさえ労働対価の低い地方で、さらに薄利多売が成立しないため、ものの値段も高値安定し、生活レベルはますます下がることになるだろう。

数十万円の羽毛布団を売りつけられたり、火災報知器の設置で高額な費用を払わせられたりするのも、たいていそういう田舎の情報弱者だ。
情報力の非対称性に依拠した経済活動という点で見れば、オープンプライスや価格差別は、詐欺行為とたいして変わるものではないと言えるかもしれない。

本来、オープンプライスや価格差別といった変動価格は、低所得者層も購買層に取り込むべく安価設定に向かうはずだが、現実にはそうした対象は価格に対して敏感ではないとして切り捨てられる傾向にある。安くしたところで他と比較すらしないのだから意味がない。一つの例として、電話料金などは既に取り込んでいる購買層に対して、さらに安くなるプランを積極的に開示しようとはしていない。価格に敏感でなく比較もしない者は高いままでも払うのだ。そして、払わないような連中は安定購買層として期待出来ず、取り込むほどの価値もないと見なされる。



それでもまだ、営利企業は競合相手があったり市場拡大のため、そうした切り捨てのハードルは高いのだが、顧客に選択の余地がなく利潤を追求しない行政サービスなどでは、そうした対象は露骨に切り捨てられる。
役所仕事は申請主義だから、申し出ない者にまでリーチアウトすることはない。むしろ、なるべく複雑不可解な制度にして利用させないようにしているきらいさえある。


例えばこのたびの高速道路料金割引の件。割引の仕組みが複雑過ぎて、前もって確認していなければわかるものではない。さらにETC助成金だってたいしてアナウスされていないし、機器の無料配布にいたっては地方はなく首都高でしかやっていない。(これはクレジットカード加入が条件で、カード会社自体は全国展開でやっているみたいだが)

自ら情報にアクセス出来ない人間は相手にしない態度だ。

休日千円均一というのも、一見地方在住者に手厚い価格差別ととられがちだが、実際にターゲットにしているのは、むしろ都市生活者の方だろう。
地方の人間が土日に上京して遊ぼうと思っても、都市圏の割引は少ない。近場の移動で使うのでは千円は割安とは言えず、平日の割引は同じく少ない。
ゆえに得を享受するのは、あるいは購買ターゲットは、明らかに土日に地方に遊びに行く都市圏の生活者と言える。

もともと景気対策として採用された政策なのだから、国民に等しく得をさせようなんて気持ちはこれっぽっちもなく、金を持っている人間にたくさん無駄遣いをして貰うのが目的だ。
地方の貧乏人などは眼中にないのだろう。


先日テレビで三宅久之が、流動資金を増やすには金持ちのタンス預金を放出させなければならない。そのためには相続税の無税化などの金持ち優遇策をとらなければならないと力説していた。貧乏人に金を出せったって、無いものは出てこないんだから、と。
それは当座的には正論だが、長い目で見れば格差を広げ、結局は偏った経済社会を生み出すだろう。
M1でもM2でもM3でもない活用されないお金としての死蔵金(タンス預金)をいかに吐き出させるかより、循環資金の流動速度を上げる方がよっぽどマネーサプライとしては効率的だと思うのだが、格差を広げる結果になってもそっちの方がいいというのは、何だか金持ち側の勝手な論理にしか思えない。


どうも世の中が強者の側の論理ばかりで動き出しているような気がする。

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