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2009年02月24日13:05

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免疫増強栄養法(イムノ・ニュートリション)

 週刊ポストの2月13日号、101ページ「あなたを癒す医心伝身 148回」に、ちょっと興味深い記事が載っていたので紹介します。

 148回目のコラムのタイトルは『消化器がんの感染予防に免疫増強栄養法』となっています。胃、食道、大腸など消化器系のがんは、術後の感染症による合併症をどうやって防ぐかがひとつのテーマとなるのですが、従来は感染症予防のために抗生剤が用いられるのが常識となっていました。

 抗生物質の乱用によって引き起こされた耐性菌の出現もしばしば医療関係ニュースの大きな話題となりますが、ようやく医療臨床現場でも、抗生剤ではなく、しかるべき栄養素を患者に投与することで、上記の問題を解決しようとする医者が現れてきたのは嬉しい兆しのひとつです。

 記事によると、手術の5日前〜1週間、免疫経腸栄養剤を服用することで術後感染の減少が確認されたとあります。

 抗生剤ではなく、栄養素などを適切に用いることで、免疫機能を高め、感染症を予防するという考え方は「イムノ・ニュートリション(免疫増強栄養法)」と呼ばれ、欧米を中心に徐々に認知され、広まりつつあるとのこと。

 記事のなかでは消化器がんの手術にこうした栄養療法を取り入れている帝京大学医学部付属病院外科の福島亮治教授の次のようなコメントが掲載されています。

 「栄養と免疫は密接に関連しており、栄養不良が続くと全身のリンパ組織が萎縮して機能しにくくなります。また、外科手術後は体力や免疫が落ちるので、細菌などに対する防衛機能が弱くなり、感染症が起こりやすくなります。そこで、免疫を高める特別な栄養素を体内に多量に摂り入れることで免疫機能を活性化し、感染症予防や入院日数減少などを目指すのが、免疫増強栄養法です」

 具体的には、アルギニン、オメガ3系脂肪酸、グルタミン、核酸などをいわゆる所要量の3〜10倍配合したものが1989年にアメリカで発売されおり、日本では同様のものを2002年にライセンスされたものが4種類ほど出ているようです。患者は1日1,000ccを3〜4回に分けて使用するとのこと……

 手術前には経口摂取し、術後は、腸に管で直接栄養剤を補給するようですが、このときも静脈からではなく、小腸を経由させるところも大きなポイントです。この免疫増強栄養剤は、食品扱いなので保険適用はされず、1000ccが2000円以内で、病院の売店や通販で入手できるようです。おそらく今後は、こうした栄養補給剤のバリエーションが様々あらわれ、用途によって使い分けられるようになることでしょう。

 なお、上記栄養素のうち、特にグルタミンは重要なので、また後日詳しく日記で紹介したいと思うのですが、ぼくが学び実践している分子整合栄養医学的見地の臨床応用の一断面を垣間見ることができたようで、とても嬉しいニュースでした。

 小腸粘膜とグルタミン
 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1187102416&owner_id=64170
 
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