〓“ダブルダッチ” のオナジミのギャグです。「ラジバンダリ」。こりゃ、実在の姓です。ネパール人の姓。
राजभण्डारी
rājbhaṇḍārī [ ɾadzbʱʌɳɖaɾi ]
[ ラヅばンダリ ] ラズバンダリ
〓アクセントの位置は、アッシにはわかりません。rājbhaṇḍārī という転写形は、デーヴァナーガリーで示されている長母音をそのままラテン文字に置き換えたものです。現代ネパール語には、母音の長短の区別がありませんので、そのように文字で書かれている、というに過ぎません。日本語で言えば、歴史的かなづかいで、「おうぎ」 を 「あふぎ」 と書いている、というのと同じようなことです。
〓もっとも、ā は現代語の [ a ] となり、a は現代語の [ ʌ ] (ヒンディー語の [ ə ]) になる、という 「長短の区別が、音の質の区別に置き換わっている」 場合があります。
〓この 「ラズバンダリ」 という単語は、おそらく、ヒンディー語から借用したものでしょう。というのも、ネパール語の語彙に、後半の造語要素である bhaṇḍārī が見当たらないからです。
भण्डारी bhaṇḍārī [ バンダーリー ]
というのは、インド各地で見られる姓 (インド人の姓は、欧米人・日本人が考える姓と少し異なる概念であり、また、インド国内でも、地域・民族・宗教などで、その質が異なる) です。
〓たとえば、ムンバイの 「バンダーリー」 はブラーミン (バラモン) に属する氏族ですが、パンジャブではシク教徒にも見られ、また、パンジャブのヒンドゥー教徒の場合はクシャトリアに属する氏族だそうです。
〓この単語をサンスクリットに探しても見つかりません。なぜなら、サンスクリットの単語が、大いに短縮されたものだからです。もとの語形は、
भाण्डागारिक bhāṇḍāgārika [ ばーンダーガーリカ ]
です。その構成は、
भाण्ड bāṇḍa [ ばーンダ ] 容器、皿、箱。商品。財産。
आगार āgāra [ アーガーラ ] 住居、家。
इक -ika [ 〜イカ ] <接尾辞> ギリシャ語 -ικα、ラテン語 -ica に相当する
↓
「商品の家の者」 → 「倉庫の管理人、商店主」
「財産の家の者」 → 「管財人、財務官」
です。
〓この単語がヒンディー語からの借用であろう、というのは、この 「バーンダーガーリカ」 の短縮形が、ネパール語とヒンディー語で、偶然、同じ 「バンダーリー」 になるとは考えにくいからです。
〓「バンダーリー」 がインド各地に見られる姓 (氏族名) であることは、すでに書いたとおりですが、これに raj- の前接した語形は、ネパール独特の姓 (氏族名) であるようです。この raj- が何かと言えば、
राज rāja [ ラーヂャ ] 王
という単語なのです。よって、
राजभण्डारी rājabhaṇḍārī [ ラーヂャばンダーリー ]
という単語は、「王の財政官」 という意味になります。「大蔵官僚」 という感じなんでしょうか。おそらく、位の高い氏族名なんでしょう。
〓プラークリット (民衆語) では、語末の -a が脱落するので、rāja は rāj となります。だから、「ラージバンダーリー」 です。
〓これを長母音表記抜きでラテン文字表記すると、Rajbhandari となり、それを日本人あたりが読むと、「ラジバンダリ」 となるわけです。
〓「ジュニタ」 という女子名は、インドにわずかに見られます。
जुनिता Junitā 「ジュニター」
जुनीता Junītā 「ジュニーター」
〓どうも、この綴りに相当する、あるいは類似するヒンディー語、ネパール語、サンスクリット語彙は見当たらず、どうやら、
Juan [ ほ ' アン ] 「フアン」。“ヨハネ” のスペイン語形
↓
Juanita [ ほア ' ニータ ] 「フアニータ」。その女性形
↓
Junita [ ヂュ ' ニータ ] 「ジュニータ」。英語の借用形
↓
Junitā, Junītā [ ヂュニター、ヂュニーター ] ヒンディー語の借用形
という線が強そうです。
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