今は普通のクリニック開業をしているが、
かつては不妊症専門で体外受精も手掛けた。
最前線を離れて時間はたったが、今も勉強は続けている。
これが前置き。
不妊治療をやってたころ、いろいろな事情で治療お休みする患者がいた。
今みたいに補助金が出るとか保険きく時代じゃなかったので、
「しばらく一生懸命貯金」するために治療をお休みする、のが多かった。
治療でホルモン剤使うとあちこちバランスが崩れて具合悪くなる。
そういう体調不良をリセットする、という話もあった。
「妊娠するために夫婦やってる」みたいな感じになって、
お互いあまりいい雰囲気じゃなくなってきたので、夫婦関係を見つめなおしたい、
という理由も聞いた。
年齢的なもの、45歳すぎちゃったとかね。そういう人もいた。
そういう人たちの中に「治療を休んだとたんに妊娠」成立する場合が出る。
けっこうある。
もちろん自然排卵の自然妊娠で本人たちは大喜びで報告してくれる。
ワシらもほっとする。
いろいろな事情がこじれて治療中断している人が妊娠成立したら、
少なくても妊娠終了するまでその患者に会うことはない。
ついでに妊娠終了が「無事なお産」なら、子育てで忙しくなるので、
場合によっては二度と不妊外来にはいらっしゃらないのだ。
妊娠したいのに子供ができない、は病的な状態と言えないこともないが、
他の病気と違って治療法の決定打や定番がない。
悪化させて死ぬこともないが、どこで治療をギブアップするかも決まりはない。
患者さんにとってはつらいのではないか、と何度も考えた。
「不妊治療の特効薬は子供が欲しくなくなる薬!」と今も思っている。
話がずれた。
そういうわけで、自分たちの治療がうまくいかず、
治療やめたとたんに妊娠成立して、いかにも
「お前らヤブ医者」な結果でプライド傷つく?と思う人もいるだろうが、
本当に熱心に不妊治療をしている医者なら
たとえ自分の治療結果でなくても妊娠してくれれば、バンザイ、ハレルヤ、ハラショーである。
ただ、心の片隅では
1)治療でさんざんホルモン刺激した結果、子宮卵巣がやる気を出した
2)実は治療がいやだったのでやめたとたんストレスから解放されて自律神経が元気になった
のふたつあたりが「治療中断した時期の自然妊娠」の大きな理由ではないか、
つまりなんのかんの言ってもワシらの治療がある意味役立ったのではないか、
と思っている。
ちなみに、治療中断時期に妊娠成立、は「原因不明不妊」の方々限定である。
明らかに卵管や精子の管が詰まって通過しないとかの場合は、
治療を休んで精神状態や経済状態は改善しても、自然妊娠は望めない。
MAXのNANA、43歳での自然妊娠を回想「いったん治療をやめましょうと二人で思ったら…」
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=8&from=diary&id=8960503
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