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2026年08月16日17:04

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日本人が失ったもの

鈴木広宣

日本人が失ったもの

〜なぜ「美味しいもの」が最高の幸せになったのか?〜
「日本人は、世界一の食いしん坊なのか?」
そんな興味深い調査があります。

2019年に実施されたTENGA Global Self-Pleasure Reportでは、世界18か国・約13,000人を対象に、「あなたが最も快い(Pleasurable)と感じる瞬間は何ですか?」というアンケートを行いました。
その結果、日本人の1位は…
「美味しいものを食べること」
欧米諸国では、
パートナーとの時間
ハグやスキンシップ
愛する人との触れ合い
が上位を占める中、日本だけが「食」を選びました。
もちろん、「日本人はSEXが嫌い」という意味ではありません。
「人生で最も幸福を感じる瞬間」として、多くの日本人が「美味しい食事」を選んだという結果です。

私はこの結果を見て、ある仮説を考えました。
日本人は、本当に昔からスキンシップが少なかったのでしょうか?
私はむしろ逆だと思います。
昭和初期以前の日本には、
今よりもずっと自然なスキンシップ文化がありました。
赤ちゃんはおんぶ。
夜は家族みんなで川の字。
銭湯では親が子どもの背中を流す。
おばあちゃんがおんぶし、おじいちゃんの膝で遊び、肩たたきや膝枕も日常。
それは欧米のような「ハグ文化」ではありません。
でも、体温 呼吸 匂い 揺れ 温もりを毎日の生活の中で自然に共有していました。
つまり、触れ合いは”特別な行為”ではなく、暮らしそのものだった。

戦後、日本は急激に変わった
戦後から高度経済成長期にかけて、日本は急速に豊かになりました。
・都市化
・核家族化
・洋風住宅
・個室化
・ベッド生活
・共働き
・長時間労働
生活は大きく便利になりました。
しかし、その一方で、昔は当たり前だった
・おんぶ
・添い寝
・三世代同居
・銭湯文化
・地域での子育て
は少しずつ姿を消していきました。

核家族化が変えたもの
特に大きいのが、核家族化です。
昔は、赤ちゃんは母親だけではなく、祖父母にも抱かれ、兄弟とも遊び、近所のおばちゃんにも頭を撫でられる。
一日に何十回も自然な身体接触がありました。
しかし現在は、父は仕事。
母はワンオペ。
祖父母は遠方。
兄弟も少ない。
そして今では、一人暮らし、未婚、少子化、独居高齢者も増えています。
つまり、人生全体で人と触れる時間そのものが減っている可能性があります。

中途半端な欧米化だったのかもしれない
ここで面白いのは、日本は戦後、欧米化したと言われます。
確かに、家は洋風。
ベッド。
パン食。
スーツ。
生活様式は大きく変わりました。
でも、欧米のようにハグをする キスをする 手をつなぐ
そんな愛情表現は、日本にはあまり根付きませんでした。
つまり、
日本の昔ながらの触れ合いは減った。
しかし、欧米型のスキンシップ文化は十分には増えなかった。
その結果、触れ合いだけが減ってしまった…
そんな見方もできます。

だから「食」が幸福になったのでは?
もちろん、これは現時点では仮説です。
しかし、人は触れ合うことでオキシトシン セロトニン ドーパミンなどが分泌され、安心感や幸福感が高まることが知られています。
最近では、赤ちゃんの背中を優しくさするだけで落ち着きやすくなることも研究で報告されています。
もし、昔は人との触れ合いから得ていた幸福感が減ったとしたら…
その代わりとして、美味しい食事 コーヒー スイーツ お酒などが、心を満たす役割を担うようになった可能性は十分考えられます。

豊かになった日本。
でも、豊かさと引き換えに、人の温もりは少しずつ失われたのかもしれません。
便利になった。
自由になった。
プライバシーも増えた。
それは素晴らしいことです。
でも、便利さでは代えられないものがあります。
人の手。
人の温もり。
安心して誰かに触れられる時間。
そして、誰かに触れること。
これからの時代は、「便利さ」を増やすだけではなく、意識して触れ合いを取り戻すことも、健康や幸福を考えるうえで大切なのかもしれません。

食べることは幸せ。
でも、誰と食べるか。
誰と笑うか。
誰と触れ合うか。
その積み重ねこそが、本当の幸福度を左右するのではないでしょうか。
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