夕方の午後6時半。
父の病室に来ている。
昨日の段階で、
今日明日の可能性もある
と言われ、昨晩は弟が病室に泊まった。
通常、面会は朝の10時から。
お休みなので、来てみると弟は帰宅した後だった。
前後したあたりで、LINEが入り、持ち直したことや、一旦帰って母を連れてまた来るとのことが書かれていた。
自分がいられるので、少し休んでくれと返す。
病室にいると言っても、何もすることはない。父を視界に入れつつ、本を読んでいた。
途中、看護師さんが来て、痰を吸引してくれた。
昨日の様子は呼吸が浅く、苦しそうだったものだけど、今日、特に吸引してもらったあとは、普通の寝息に近く、ちょっとホッとした。
苦しげに浅い呼吸をしているのをみると、俺も息苦しくなってくるんだよね。
持ち直したと言っても、少し和らいだ印象があるくらい。
元気に退院して、という話ではない。
ときどき目を開けるので、
「お父さん」
「大丈夫?」
「苦しいとこ、ない?」
とか声をかける。
うん、と声を出しつつうなづくこともあるし、無反応のまま目をつむることもある。
こうやって、そのときがくるのを待っているのだろ。
俺に出来ることとしたら、たまにふっと手を持ち上げたときに。握り返すくらいだ。
あと30年か40年くらいしたら、俺もそうなっているのだろう。
今はただたんたんと、時が過ぎていくのをまつような気持ちだ。
無常感、とでもいうのかね。
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