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2026年05月06日22:35

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着物をダメにしようとした人々

成願 義夫

着物をダメにしようとした人々

この写真は2013年に中国のある会社へ視察に行った際に撮ったものです。
殺風景で広いだけの粗末な部屋で、若者たちがパソコンで何をしているのでしょうか?
なんと、着物のインクジェットプリント用データを作っていたのです。

この会社は、京都・室町のある問屋(兼メーカー)との合弁会社でした。
もちろん、写真に写っている若い彼らに着物の知識は一切なく、ひたすら言われた作業をこなしているだけです。
その問屋が資料を与え、指示のもとでパソコンを使ったトレース・コラージュ・アレンジをさせていたのです。
目的は、本格的な手描き友禅の着物のフェイクを、インクジェットプリントで染め上げることでした。
この会社は、着物の伝統破壊を平然と行っていたのです。

私はとても驚き、落胆し、怒りが込み上げてきました。
「日本人が、しかも室町の問屋がこんなことをしているのか!」
私は怒りと恥ずかしさで呆然とそこに立ち尽くしたのです。

「こんなことをしていたら、本当に着物はダメになる」そんな思いを胸に日本へ帰国して数年が経った頃、その会社の噂が私の耳に入ってきました。
これはまさに「因果応報」というべきでしょう。
その後、その会社は事実上倒産しました。
倒産原因は、「インクジェットプリンターを使ったフェイク商品を売っていたから」というような、単純なことではなく、経営理念の問題だったと思います。

日本人が長年培ってきた伝統と美意識、日本人にしか持ち得ない精神性、それらがあって初めて生まれる意匠があります。
そして、守るべき職人の技があり、継承されるべき文化があります。
特に着物の意匠はその最たるものだと思っています。
和装業界全体には自浄能力があり、美しい理念を持って経営をしている会社は必ず残ると信じています。

コンセプター 成願義夫
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