現代アーティストの渡辺篤さんによる「アイムヒアプロジェクト出版記念展覧会 まなざしについて」が、24日まで、黄金町の高架下スタジオ Site-Aギャラリーにて、開かれている。日ノ出町で京急線を下りて、高架線沿いを歩く。スタジオには、渡辺さんも在廊されていてて、挨拶。私のことを覚えていて下さっていて、少し、嬉しい。
このアイムヒアプロジェクトは、かつて、自らもひきこもりを経験した渡辺さんが、ネットでひきこもり生活を送る人に呼びかけて、その部屋の写真を送ってもらい、写真集(1000円)にして出版するという企画。同展は、その出版を記念してのもので、スタジオの壁に写真を貼り、その前にコンクリートボードの壁を建て、その一部を割って、その裂け目から写真を鑑賞するという仕組み。
ひきこもり期間を、決して、ムダな時間とは考えず、心の傷を癒やし、社会復帰を果たすために必要な時間だったと考えることが出来るようになるために・・という、渡辺さんの意図は、ひきこみ生活を体験したことがない私にも、よくわかる。しかも、本来は秘された部屋の写真を、コンクリートの裂け目から鑑賞することは、彼らをその部屋に追い込んだのは、あるいは、社会という名の私たち自身ではないか???という、観る者の側の覚悟をも、同時に問う仕組みでもある。見つめているのは、私たちであると同時に、部屋の住人たちの視線もまた、私たちに対し、向けられているのである。
会場を出たあと、購入した写真集を、近くのカフェで観た。その部屋のひとつに、「リプレーザ」の初代編集長である故小田原紀雄さんの遺稿集が、まるで遺影であるかのように、立てて飾られているのを観て、少なからぬショックを受けた。きっと、河合塾か、羽生の森教会での、小田原さんの教え子のひとりだった方から、投稿されたものだったのだろう。彼&彼らが、部屋を出るひとつのきっかけに、この展覧会がなってくれることを、心から祈りたい。
帰りに、黄金町アートブックセンターに寄って、古書を2冊、買った。BankARTスクールの校長である村田真さんのアートレビュー集「アートのみかた」(BankART1929)と、チェコの人形アニメ作家、ヤン・シュヴァンクマイエルの書いたテキストを集めた「ジュヴァンクマイエルの世界」(国書刊行会)の、2冊である。前者は、1999〜2009年までの、短いアートレビュー1646本を集めたもので、東京に戻る電車内で、ザッと目を通したが、村田さんがどのようなアートを評価し、あるいは評価しないのかかが、よくわかって、実に、面白い。
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