1984年。アップル社取締役スティーブ・ジョブズは、社の看板製品Apple2に変わるコンピュータ〈Macintosh〉の発表会に臨もうとしていた。しかし直前になり、部下アンディから音声デモが機能しないと報告を受ける。ガレージ時代からの盟友ウォズからは「Apple2チームへの感謝の言葉を壇上で言え」と突き上げを喰らうし、愛人クリスアンは控え室に怒鳴り込んで、5歳の娘リサの養育費をもっと払えと迫ってくる。自分がアップル社に引き入れたCEOのスカリーが楽天的に祝福してくれるのが救いだったが……
1988年。Macintoshの販売戦略が大失敗したことによりアップルを去ったスティーブは、ネクスト社を立ち上げ、大学など教育機関をターゲットにした新型PCキューブを開発。その完成披露会に臨もうとしていた。不思議なことに、そのプレゼン前にスティーブの前に現れた者たちは四年前と同じ。いまや袂を分かち敵となったアンディ、ウォズ、スカリーらであった。小学四年生になったリサの姿もそこにある。
1998年。業績が最低にまで落ち込んだアップル社はネクストを買収し、スティーブは再び同社の取締役に復帰した。スカリーが進めていたPDA〈ニュートン〉の開発販売をストップさせ、新製品〈imac〉の完成に漕ぎ着けたスティーブ。その完成披露会にも、いつもの面々がやってくる。彼らとの口論のなかで、スティーブの変わった部分、変わらぬ部分が露わになっていく…
「スティーブ・ジョブズ」。ダニー・ボイルの新作です。彼の映画なんだからフツーの伝記映画のわけがないと思ったら、非常に不思議で斬新な切り口の作品でした。ジョブズの行った3つのプレゼンの前だけを描いた会話劇。そのなかで浮き彫りになる、ジョブズの傲慢さ・弱さ・そして父性。そんな彼を、時に応援し時に叱責しながら片時も側を離れない秘書ジョアンナの存在……娯楽性はまるでないし、真実と虚構の境界も曖昧なため、ジョブズやアップルに詳しい人からは批判される映画かも。むしろ、彼の伝記も読まず、macの歴史に興味ないスタンスの人のほうが、面白く観れるはず。ジョブズとジョアンナのやり取りだけでも、ずっと見ていたい気分にさせたのは、ファスベンダーとケイト・ウィンスレットの実力でしょうね。オススメはしないけど、映画ファンなら観ておくべき1本。
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