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2026年07月31日07:10

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クルマ0543 チェーン・ギャング(GN)

ずいぶん前にGN(VITESSE=ビテスという高性能モデル)をアルミ板でスクラッチ・ビルドしたことを思い出しました(全長30cmほど)。


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実車はこんな↓感じ。思いきりデフォルメしました(細かい部分は作っていません)。


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それほど好きなGN、これまで本稿ではそのスペシャルを何例か見てきましたが、元になったGNそのものについて触れておりません。これはマズイ!ということで、chain gang(チェーン・ギャング=鎖に繋がれた囚人達)と呼ばれる、ギヤボックスもディファレンシャルも付いていないユニークなイギリスのサイクルカーを見ていこうと思います。

https://share.google/zW1xc61B8tbVHhInr

https://share.google/owGVvSQbmxj0KvvPr

リヤアクスルの駆動はチェーンによります。「チェーン・ギャング」と呼ばれる所以です。

https://share.google/I3SsjYOyBkvA0kojh

1887年にロンドン近郊で生まれたHenry Ronald Godfrey(ヘンリー・ロナルド・ゴドフリー)と1889年にイギリス領インド帝国で生を受けたArchibald Goodman Frazer-Nash(アーチボルド・グツドマン・フレイザー-ナッシュ)は、1905年にロンドンのフィンズベリー技術専門学校で出会い、共同でスポーツカーを作ろうと意気投合します。
数年間それぞれが基本的なスキルを身に付け、1909年にフレイザー-ナッシュ家の厩舎でJAPまたはプジョー製のV型2気筒エンジンを搭載した独特の駆動方式を持つクルマを作り始めました。GN(Godfreyの`G´とFrazer-Nashの`N´)の始まりです。

1910年、生産拠点をミドルセックス州ヘンドンに移してエンジンを自製するようになります。IOE(Intake Over Exhaust。吸気OHV・排気SV)なるバルブ機構を持つVツイン1087cc(ボア84×ストローク98mm)でした(約10馬力)。高性能モデルのビテス用のエンジンは同じ1087ccのVツインでしたが、OHV化されていて約35馬力を発揮しました。

下写真(1921年製)を見ると、吸気は中央のキャブレターからシリンダーヘッド上部に導かれ、排気はシリンダー横から出るIOEのバルブ配置がよくわかります。

https://share.google/lkUEBYKY4Fm9o3Qz7

自製の空冷VツインIOEエンジンを搭載する1914年製(登録番号GN1867)が2014年にアメリカのオークションに登場しました。

https://share.google/pm8WMHNrqKe6xOxTw

エンジンは10馬力しかありませんが、車重が僅か180kgしかないこのクルマは時速100km/hで走行できたと言います。コーナーリングも良く、当時よく見られた「一応走る」サイクルカーとは一線を画していたとか。

エンジン出力は4組のチェーン/スプロケットを介してリヤアクスルに伝えられます(下図は上がフロントです)。ドグという嵌合装置を使ってチェーン/スプロケットの組み合わせを替えることで変速します(一般的なギヤボックスはありません)。

https://share.google/EOQ7GnZAUQpRqTnVQ

このイラストを少し詳しく説明します。
エンジンのクランクシャフトに直結したプロペラシャフトの回転は中央のベベルギヤ(ディファレンシャルに見えますが単純なベベルギヤです)で90度向きを変えられ、小さなスプロケットが付いた横向きの一次シャフトが駆動されます。後方(図では下)のアクスルには大きなスプロケットが付いていて、一次シャフトの小さなスプロケットと組み合わされて減速します。この組み合わせを変えることがギヤチェンジになるわけです。

ところで、一次シャフトのすぐ右後方に、ギヤで逆回転する短いシャフトがあります。リバース・シャフトです(よって前進3段+後進です)。
最初期には、リバース・シャフトがなく4段すべて前進とされた個体もありました(バックできません)。

GNは、1909年から1914年までに約200台作られました。第一次世界大戦を挟んで1919年に買収され(後述)、生産終了の1923年までに約1600台生産されました。
総生産台数は約1800台です(統計は見当たりません)。

1912年までは、空冷V2エンジンは横向き(クランクシャフトが車軸と平行)に搭載されていました。

https://share.google/7QYCymfbMK55m5Cta

1913年以降はエンジンは縦向き(クランクシャフトがクルマの前後方向)になります。

https://share.google/w0EVUAfGeLvNkyJ9i

また、1919年までは木製(以降はスチール)のシャシーフレームは、その名の通り単なる四角い枠(frame)です。フロント・リヤともアクスル(車軸)はフレームの外に飛び出しています。

https://share.google/7yveH2aHTxUGTYwQ6

フロントは、フレーム前端から片持リーフスプリングが突き出し、その先端にリジッドのフロントアクスルが固定されています(下側は木製の摺動式ショックアプソーバーです)。

https://share.google/wTadngeVMAo3AxPMY

リヤは、フレーム後端に取り付けられた片持リーフスプリングにスプロケットが付いた車軸が固定されています。

https://share.google/ZanL3pSEGsajLep31

床面は比較的高く、足元には何もありません(動力伝達機構は床下に納められています)。

https://share.google/ViVfbC4tjDfOTIWcw

幌を上げた姿はなかなかお目にかかれません。

https://share.google/oDRx7fKDulqNsolHM

1919年、業績が安定していたGNはフランスの自動車メーカーGrégoire(グレゴワール)のイギリス支社に買収され、拠点がワンズワースに移転します。
しかし、オースティン7やモーリス8なとの一般的なクルマが廉価に販売されるようになると、サイクルカーは全般的に下火となりGNも破産しました。救いの手が差しのべられたものの、水冷直列4気筒エンジン+ギヤボックス+ディファレンシャルを持つ普通のクルマになってしまい、昔年の魅力は消え失せました。
ゴドフリーもフレイザー-ナッシュも1922年に社を去り、生産は1923年に終了しました。

GNは今も大変人気があります。もともとオリジナリティが低いクルマ(オーナーが好きにいじった安価なサイクルカー)ですから、当時のコンポーネンツでカスタムするのはアリです。本稿で今まで何度か採り上げたGNベースのスペシャルがそういうクルマです。

下記もそういうスペシャルです。初期(1908年)モデルにJAP製の空冷V8航空機エンジン(4982cc)を押し込んだモンスター。

https://share.google/QLIwhBkbzDFHd5zhD

もうひとつ、デ・ハビランド社がタイガーモスという複葉機用に製造していた空冷直列4気筒エンジン(6124cc)を搭載する1921年のスペシャルを。アザミウマという昆虫を意味するThunderbug(サンダーバグ)というニックネームが付けられています。

https://youtube.com/watch?v=qTFYSNdtGKA&si=Fe6UP16XcxBGgmZQ

街中を結構なスピードで。フロントブレーキ付いてないのに!

https://share.google/ZbFj9qgvg6wG1qOK3
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