宮口幸治著『境界知能 存在の気づかれない人たち』を読んだ。
境界知能、って最近よく聞くようになったね。
最近、というのはこの数年のこと。
俺自身は院生時代、そういう方面の勉強をしていた。LDとか、MMR(マイルド メンタル リターデーション 軽度知的おくれ)など。
俺が勉強していたのはもう、20年くらい前になる。
そっから考えると、世間一般に知られるようになったんだなぁという感はあるか。
宮口氏の本は、『ケーキの切れない非行少年たち』など、何冊か読んだ。
だから、いくつかのエピソードは以前読んだ記憶がある。
ある境界知能の女性の話。
本書ではK被告とされていた、この女性は就職面接のために東京へ行き、空港のトイレで子どもを産み、殺害して捨てる。
身勝手、場当たり的な犯行として実刑判決がくだったという。
トイレで出産し、その子を殺した後、カフェに入り、アップルパイとチョコレートスムージーを食べ、「頑張っている自分へのご褒美」としてインスタにアップしているという。
どんな身勝手で、心ない人物かと思うところだけど、著者は彼女の知能に着目する。
彼女のIQは74で、知的障害とまではいえないまでも、境界知能にあったという。
著者によれば、突発的、かつ場当たり的、姑息で一時しのぎの強引な行動という、裁判所で提示されたK被告の問題行動そのものに、知的な障害があることを示す根拠がある、としている。
著者の言葉をたどれば、たしかに、あとでぜったいにたいへんなことになるでしょ、とわかっていることを、なにもしながったあげくに、最悪の形で招いてしまったというのは、知的な障害の根拠となるのかもしれない。
考えるなぁ。
というのは、以前、俺自身が似たような場面に遭遇したことがあるからだ。
彼の、ともすれば身勝手で、一方で被害妄想か?というほどにネガティブにふれた行動は、最初は、メンタルを病んだ?と思ったものだった。
俺としてはニュートラルに接したつもりだったけど、彼がどうとらえていたかはわからない。
職場として、彼の行動に困るところがあったのもまた、事実なのだ。
その後、彼は10年以上勤めた職場を去ることになった。
当時すでにメンタルか発達の問題を考えたことはあったんだけど、本書を読むに境界知能だったのかもしれない、という面も考えざるをえなかった。
学校で発達や知能について勉強し、現場経験を積んできたともいえるとは思うんだけど・・・現実に、判断しなければならない場面に遭遇すると難しい。
管理職としては、ご本人だけではなく、職場全体のことも考えなくてはいけないわけだしね。
職場的には、こうならざるをえなかった、というところに落ち着いたとは思っているんだけど、なかなか難しい。いまだに悩むところはあるかな。
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