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2025年09月12日21:14

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緊迫化する中東情勢(14)第4章と最終第5章 相次ぐジャーナリストの死 9月9日の仲介国カタールの首都ドーハの爆破事件の詳細>

<緊迫化する中東情勢(14)ガザ地区で悪化する人道状況 ジャーナリストの死>

 前回 第13回 2025年7月22日付け ガザ地区の窮状 進まぬ休戦交渉 民間人の被害 https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1990382384&owner_id=32437106

 第14回 第1章 イエメンから奮戦する親イラン組織フーシー派
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1990672681&owner_id=32437106

 第14回 第2章 停戦交渉頓挫 新たな物資の補給方法 
 第14回 第3章 パレスチナを国家承認する動きが活発化する。
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1990681965&owner_id=32437106


 第4章は、イスラエル軍(IDF)が、ハマスの協力者と決め付けて意図的に狙っているジャーナリストの殺害疑惑について追求する。

 最終第5章は、9月9日に起きたIDFによるハマスの幹部を狙ったドーハの住宅街での爆破事件に迫っていく。

     



     第4章 続く軍事作戦 ジャーナリストの声を封じる
 
関連日記 第7回 第1章第1章 朝日新聞の通信員マンスール氏が、死亡する より
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1989759873&owner_id=32437106

IDFは、モサドから得た情報を駆使して、ターゲットを搾り出し、ピンポイント攻撃をする。民間人か、病院関係者か、ハマスの戦闘員か、正しく区別はついていない。8月10日、パレスチナ自治区ガザ北部のガザ市にあるシファ病院付近をドローン(無人機)で攻撃した。中東の衛星テレビ局アル・ジャジーラによると、同局の記者ら5人を含む計7人が殺害された。

写真=8月11日、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸ラマッラで、死亡したアル・ジャジーラの記者の写真を手に抗議デモに参加するジャーナリストら=AP
フォト 


アル・ジャジーラによると、犠牲者にはガザの惨状を伝えてきた記者アナス・シャリフ氏(28)やカメラマンを含む。病院の前に設置していたテントが爆撃され、死亡したのである。
 IDFは10日、大筋でシャリフ氏を狙った攻撃を認めた。ただし、民間人の無差別殺害を禁じる「国際法」には抵触していないと訴えた。ハマスの小隊長でロケット弾攻撃の指導者だったと殺害行為を正当化する。


 IDFの主張に対して、アル・ジャジーラは真っ向から反論した。「ガザの制圧と占領を暴く声を封じ込めようとする試みである」と痛烈に非難する。ガザ当局によると、2023年10月に戦闘が始まって以降、IDFに殺害された記者は237人に達した。


 詳細 記者殺害について 読売オンライン 2025年8月12日午前9時45分
https://www.yomiuri.co.jp/world/20250812-OYT1T50009/

 ガザの惨劇を伝えるジャーナリストの声を徹底して封じることにより、軍事作戦の中身について、都合の良いように世界へ発信する。イスラエル政府の言い分によれば、あくまでも敵はハマスの戦闘員である。相次ぐ病院関係者やジャーナリストの死亡者について、ハマスの関係者と主張する。8月7日に、戦時内閣を率いるベンヤミン・ネタニアフ首相は、ガザ・シティの包囲計画を国会で了承したと明かした。IDFは、民間人の支援をしながら、ハマスの戦闘員に狙いを絞った軍事作戦を進めると、他国へ理解を求める。戦闘終結についての条件もあげた。

(1) ハマスの武装解除、
(2) 生存者・遺体を含む全ての人質の返還、
(3) ガザ地区の非武装化、
(4) イスラエルによるガザ地区の安全保障管理、
(5) ハマスでもパレスチナ自治政府でもない代替の文民政府の設置

イスラエルは、事実上ガザ地区全域の占領計画へ向けて邁進する。

 詳細 ガザ・シティの包囲作戦や停戦の条件について BBC NEWS JAPAN 2025年8月8日付 https://www.bbc.com/japanese/articles/cj0y9ve97ngo

 8月25日に、南部のハンユニスにあるナセル病院にて、IDFの攻撃があった。ガザの保健当局によると、記者5人を含む少なくとも20人が死亡した。SNSにアップされた映像によると、病院建物の非常階段の5階から砲撃を受けた。。直ちに救助員が駆けつけ、けが人に対して応急措置を施す。一連の様子を全てジャーナリストが動画に記録していた。そのジャーナリストを狙っていたかのように、2度目の攻撃が繰り出されたのである。ロイター通信やAP通信、中東の衛星テレビ局アル・ジャジーラとそれぞれ契約するカメラマンら5人のほか、医療従事者や救急隊員が死亡した。イスラエル紙ハアレツは26日、同国陸軍の作戦状況について話した。ターゲットは、IDFの動向を監視するカメラである。戦車を使って、2度砲撃して破壊したと説明した。軍の報道官は、1度目の砲撃で救出に入った医療従事者やカメラマンが犠牲になったことについて、「標的にしていない」ときっぱりと否定した。首相府は「悲劇的な不測の事態は遺憾だ」との声明を出した。8月10日にガザ・シティのシファ病院では、ジャーナリストをハマスの関係者と決め付けたうえで、標的にしたことを大筋で認めている。8月25日に米国のトランプ大統領が、「気にいらない。こんなことは見たくない」とホワイトハイスの報道陣に気持ちを吐露したことを踏まえて、意図的なジャーナリスト殺害疑惑を否定した。

写真=ナセル病院の攻撃で犠牲になったジャーナリスト達 詳細 読売オンライン 2025年8月26日19時38分付
https://www.yomiuri.co.jp/world/20250826-OYT1T50133/
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8月25日に、サウジアラビアのジッダで開催されたイスラム協力機構(OIC)加盟国外相理事会第21回臨時会合の上級準備会議においても、ガザ情勢について協議された。ガザでの紛争についてユダヤ人国家イスラエルによるジェノサイドだと糾弾する。パレスチナのもう一つのヨルダン川西岸地区でも勧める入植地拡大についても、抗議の声をあげた。停戦の実現、IDFのガザからの撤退、ガザの避難民をサポートしていく方向で一致した。


詳細イスラム協力機構の会議 https://una-oic.org/ja/general-secretariat/2025/08/24/%d8%a7%d9%86%d8%b9%d9%82%d8%a7%d8%af-%d8%a7%d9%84%d8%a7%d8%ac%d8%aa%d9%85%d8%a7%d8%b9-%d8%a7%d9%84%d8%aa%d8%ad%d8%b6%d9%8a%d8%b1%d9%8a-%d9%84%d9%84%d8%af%d9%88%d8%b1%d8%a9-%d8%a7%d9%84%d8%a7%d8%b3/

 



 第5章 進むガザシティの占領計画。ドーハでの爆破事件により、アメリカから非難される

 関連日記 第8回 2025年5月15日 第2章 病院の被害 停戦交渉へ より
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1989971573&owner_id=32437106

 イスラエルの占領政策は、イスラム諸国の圧力に屈しない。ガザシティ包囲計画を遂行するため、9月5日と6日、2日連続で高層ビルを破壊した。IDFは、6日に倒壊したビルには、ハマスの司令部があったと、軍事作戦を正当化した。地元ガザ地区のメディアによると、少なくとも20人が死亡した。損壊した建物は、2023年10月7日の軍事衝突以降、地区内で7割に上ると報じている。IDFは、国際社会に対して、住民に配慮をしているように示すため、6日に中部ハンユニスに人道区域を設けたと明らかにした。民間人には、医療物資や水や食料を提供すると、表明した。
ネタニアフ首相は8日、ガザ市内において2日間で50棟の建物を破壊したと、軍事作戦の進捗状況を語った。すでに9月4日時点でガザシティの4割を軍事制圧したと誇示していた。

詳細 9月5日と6日のビル爆破について テレ朝ニュース 
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000451434.html

詳細 ネタニアフ首相の発言 NHK NEWS WEB 2025年9月9日12時41分付
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250909/k10014917421000.html

IDFの包囲作戦は、停戦交渉において、交戦勢力のハマスに自らの要求を押し通すことにある。ハマスの幹部が生活拠点を構えるカタールの首都ドーハでは、停戦交渉が再開されている。仲介交渉の責任者であるカタールのムハンマド・ビン・サーニ首相は、9月8日
米国の停戦案を受け入れるようにハマスの幹部に働きかけたことを明かした。消息筋が米CNNの前で答えた。

 米国を通じたイスラエルの停戦案は、初日に人質の生存者を解放し、遺体を引き渡す内容である。停戦期間は60日、人質10人と遺体18人を返還する。人質の安否は正確に分からないものの、48人が残っているとみられている。代わりにイスラエルは「数千人」のパレスチナ人受刑者を釈放する。およそ2ヶ月の休戦期間を経て、2025年3月18日に戦闘再開後の停戦交渉においても、イスラエルは、ハマスに武装解除を要求していた。ハマスは自らの身を守るためにも受け入れがたい内容だった。詰めの協議が続いていく。
 


 詳細 停戦交渉について CNN.co.jp 2025年9月9日16時41分付
https://www.cnn.co.jp/world/35237758.html

 停戦へ向けて動き出していく中で、突如水を差すような出来事が起こった。9月9日に、ドーハの住宅街で爆発音が轟いた。中東の衛星テレビ、アル・ジャジーラによると、壁に囲まれたハマスの関連施設とみられる広大な建物の一部は黒焦げになり、煙が立ち上った。現場近くにはフィリピンやイラクなど各国大使館のほか、複数の学校や給油所も存在する。ひとたび狙いを外せば、広範囲にわたって火事が起こり、民間人の命やインフラ被害が拡大していた。

写真=9月9日、カタールの首都ドーハで一部黒焦げになった建物(出展:ロイター通信)掲載元 詳細記事 THE SANKEI SHINBUN 2025年9月10日午前6時33分付
https://www.sankei.com/article/20250910-SELHGPYC2FJOZFFVPRSMTYZ2JQ/
フォト

関係筋によると、一連の攻撃で、現在ハマスのトップとみられるハリル・ハイヤ氏の息子を含めて、5人が死亡したとのことである。他治安当局者一人を含め、あわせて6人が命を落とした。関係筋は、ハリル・ハイヤ氏は、助かったと報告した。

 国際非難を浴びる中、ネタニアフ首相は9月10日動画メッセージを公開する。カタールを真の仲裁者とみなさず、テロリストをかくまっていると指弾した。テロリストとは、ハマスの幹部をさしている。2年間仲介外交に奔走したムハンマド・ビン・サーニ首相は、「ネタニヤフ首相の無謀で無責任な行動を終わらせる」と警告を発した。CNNのテレビインタビューでは、対抗措置を検討すると表明した。

 詳細 ネタニアフ首相の動画メッセージとムハンマド首相の発言
NHK NEWS WEB 2025年9月11日20時32分 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250911/k10014920351000.html

9月11日に、IDFによるカタールへの主権侵害を受けて、国連の安全保障理事会が開かれた。イスラエルに肩を持つアメリカも他国と歩調を合わる。カタールへの連帯を表明する報道機関向けの声明を出した。理事国は、引き続きカタールが、エジプトとアメリカと緊密に連携をとりながら、仲介外交を続けることを支持した。

続いて行われた緊急会合において、出席者のカタールのムハンマド首相が言葉を述べる。声明に加わった国々に謝意を示したうえで、イスラエルに対して、「地域の安定を激しく損ない武力によって地域の再編を図っている」と痛烈に非難した。

写真=9月11日国連安全保障理事会で演説に望むムハンマド首相 (出展:国連)掲載元 VIETNAM 2025年9月12日 https://www.vietnam.vn/ja/hoi-dong-bao-an-lhq-len-an-vu-israel-tan-cong-vao-qatar
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アメリカのシェイ国連臨時大使は、「アメリカと協力して平和の仲介に取り組んでいるカタールに対する一方的な攻撃は、イスラエルやアメリカの目標を前進させない」と、ドーハの住宅街でのピンポイント攻撃については非難した。一方当のイスラエルのダノン大使は、「ガザにもテヘランにもドーハにも、テロリストに安全な場所はない」と主張するものの、各国大使から厳しい目で見られていた。アメリカからもそっぽを向かれ、2023年10月7日以降、初めて国連で孤立した。イスラエルの軍事作戦は、正当防衛の範囲を逸脱している。一方的にウクライナへ侵攻するロシアとは対照的に、経済制裁は限定的で、軍事作戦は維持されていた。アメリカの行方しだいで、軍事面でも経済面でも大きく左右される。

詳細 国連安全保障理事会 NHK NEWS WEB 2025年9月12日午前9時3分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250912/k10014920431000.html


続く12日、国連総会(193か国)において、イスラエルと将来のパレスチナ国家が共存する「2国家解決」を支持する「ニューヨーク宣言」を賛成多数で採択した。日本や英仏など欧州諸国など142か国が賛成、反対が米国やイスラエルなど10か国、棄権が12か国である。アメリカは、イスラエルのカタール攻撃には非難声明に加わった。ただし、イスラエルの主権を尊重し、アラブ人との共存には否定した。

 詳細 9月12日の国連総会 2025年9月13日午前1時2分 読売オンラインより
https://www.yomiuri.co.jp/world/20250913-OYT1T50015/


アメリカは、イスラエルを軍事や経済面でも支えるものの、停戦交渉の仲介国であるカタールでの局所的な爆撃については、同調していない。ニューヨークの国連安保理総会に出席したカタールのムハンマド首相は、12日に現地でトランプ大統領と会談した。合わせて、カタールの外務省は、X(旧ツィッター)を通じて、バンス副大統領とルビオ国務長官と会談した様子を公開する。中身については伏せられていた。カタールは、そもそもイスラエルと国交はなく、仲介外交を展開する国の方針の上で、引き受けている。1996年頃から2009年にかけてドーハにイスラエルの貿易事務所と通商代表部があり、正式な外交関係はないにしろ、一定程度関係を深めていた。イスラエル側からみても、国内に中東最大の米軍基地があるカタール政府に信頼を寄せていたのである。明らかにハマスの交渉団を狙い撃ちにした空爆は、カタールとのパイプを断ち切る行為だった。

 カタールとイスラエルの関係について 国際ニュースナビ 2023年10月31日付
https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/qa/2023/10/31/35499.html

 写真=2025年9月13日午前7時27分付 カタール外務省 公式Xより 左側からムハンマド首相、バンス副大統領 ルビオ国務長官
https://x.com/MofaQatar_EN/status/1966629858567421993/photo/2
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アメリカが、IDFのカタールへの攻撃への非難声明に加わっても、ガザでの停戦の道筋はまったく見えない。IDFはジェノサイド疑惑を消すため、意図的にジャーナリストを狙っているとの見方は隠せない。今ガザ地区で起きている事実を正確に伝えるため、ジャーナリストは身の危険を犯してまで、情報発信する。イスラエル国内でも、停戦をして、人質解放を求める声はやまない。今の戦時内閣を率いるネタニアフ首相は、連立政権を維持するべく、強硬派である6議席(他に重要閣僚1議席プラス、実質7議席)を持つユダの力の政策を受け入れる。ガザでの実効支配地域を広げ、いずれはユダヤ人の入植地を拡大する。イエメンでは、ガザ地区で活動するハマスに連帯を示すフーシー派が奮戦し、紅海の通航権が脅かされた。ガザ地区での戦闘終結は見通しがつかないまま、一夏を越えた。


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