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2022年01月15日17:43

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最近、考えたこと。Part0199-2

{記事が長すぎて10000字以内に収まらなかったので分割、そして続き}

(3)スタートアップを生み出し、規模を拡大する環境の整備

成長戦略が成功するためには、イノベーションの担い手であるスタートアップを徹底支援し、新たなビジネス、産業の創出を進める必要がある。

我が国のスタートアップの数は近年増加傾向にあるが、企業年齢0-2年の企業が企業全体に占める割合は13.9%にとどまり、米国(20.5%)、英国(22.4%)、フランス(22.8%)に比べて低い。

また、我が国の上場企業は、ソニーや本田技研工業など1945-1954年に設立された企業が119社と最多である一方、米国の上場企業は、アマゾンやフェイスブックなど1995-2004年に設立された企業が124社と最多である。

さらに、我が国では成長するスタートアップが少なく、ユニコーン(時価総額10億ドル超の未公開企業)の数は、2021年3月1日現在、米国274社、中国123社、欧州67社であるのに対して、日本は4社にとどまる。

このように、我が国では、イノベーションの担い手であるスタートアップの数は依然として低い水準にとどまっており、成長するスタートアップは極めて少ない。日本の将来を築いていくためには、終戦直後に続く第二の起業ブームを起こす必要があり、スタートアップの創出・成長発展のための環境整備に取り組む必要がある。

例えば、我が国の場合、VC・CVC投資やエンジェル投資の規模が米国等と比べて非常に小さい。また、米国では、スタートアップの足元の利益ではなく、将来の成長性を見込んで多額の投資が集まるのに対し、日本では短期的に利益を出すことが求められるため、スタートアップが成長投資を行うことが難しい状況にある。

スタートアップの創出・成長発展に向けて、挑戦が奨励される社会環境の整備、兼業・副業の促進等による人材の流動化、新SBIR制度の着実な運用によるスタートアップからの政府調達、雇用を増やすスタートアップに対する政策金融による融資、SPAC(特別買収目的会社)制度の検討等による新たな上場環境の整備、大企業とスタートアップとの取引関係の適正化等を総合的に進める。

(4)新規株式公開(IPO)プロセス及びSPAC(特別買収目的会社)制度の検討

日本の上場の仕組みは、新たなチャレンジを起こそうとする起業家にとって優しい制度とは言えない。日本の上場の仕組みでは、スタートアップではなく証券会社の顧客がもうける構造になっており、スタートアップに十分な資金が回っていないとの指摘がある。

具体的には、新規株式公開(IPO)については、諸外国と比べて、起業家が株を売る価格(公開価格)を上場初日に市場で成立する株価(初値)が大きく上回り、起業家の資金調達額が少ない。

そうした現状を踏まえ、IPO時の公開価格設定プロセスについて、公正取引委員会において実態把握を進める。また、日本証券業協会において、スタートアップの持続的な成長に資するよう、実需を反映するための公開価格設定の在り方や、よりスタートアップの意向に沿った株式の配分の在り方などについて検討を進め、本年内をめどに中間的な取りまとめを行う。

また、諸外国で導入されているSPAC制度についても、買収時にスタートアップと投資家が合意して価格を決めるため、お互いに納得した価格で上場できる仕組みであり、現在の上場の問題を解決する上でも意味があると考えられる一方、投資家保護が必要である。

このため、東京証券取引所において、上場時の基準や開示の在り方、買収に反対した場合等の一般投資家への資金の返還、買収先企業の開示など、投資家保護策等の観点からSPACを導入した場合に必要な制度整備について、諸外国の状況も踏まえ、具体的に検討を進め、論点を整理した上で、結論を得る。

(5)大企業とのオープンイノベーションの支援

大企業とのオープンイノベーションを促進する税制措置について、スタートアップ企業の株式取得を通じて連携を深める取組が増えるよう、対象となる株式の範囲の拡充を検討し、本年末の来年度税制改正において結論を得る。

また、大企業とスタートアップの人材マッチングの支援を実施する。

(6)公正な競争を進めるための競争政策の強化

新しい資本主義を進めていくためには、地方の中堅・中小企業、下請け企業、スタートアップを含めて、豊かな中間層を生み出していくことが重要となる。欧米では、競争当局から他の政府機関等に対し、唱導(アドボカシー;提言)が活発に行われ、公正な競争環境の整備が着実に進められている。我が国でも、専門性の高い外部人材も活用しつつ、スタートアップ・中小企業の取引の適正化や通信等のデジタル市場・電力等のエネルギー市場といったインフラ分野などをはじめとして、公正取引委員会による唱導機能の実効性を強化する。

専門的な知見の向上など質的な充実と併せ、組織・人員の抜本的な拡充など量的な充実を図ることにより、公正取引委員会の体制を重点的かつ計画的に強化する。

(7)デジタル広告市場の透明化・公正化の推進

デジタル市場を支える重要なインフラであるデジタル広告に関して、市場が寡占化する中でプラットフォーム事業者による一方的なルール変更や、広告の閲覧数の水増しによる広告費の虚偽請求など様々な課題が指摘されている。こうした状況を踏まえ、デジタルプラットフォーム取引透明化法の対象にデジタル広告市場を追加し、大規模なプラットフォーム事業者に対して、ルール変更の際に内容や理由を事前に開示することや、広告費の不正取得のリスクに関する説明の徹底を求めるなど、透明化・公正化のための制度整備を行う。

3.地方を活性化し、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」の起動

新しい資本主義は、地方からスタートする。過疎化や高齢化といった地方の課題にデジタルを実装することで解決する「デジタル田園都市国家構想」を起動する。

(1)テレワーク・ドローン宅配・自動配送などデジタルの地方からの実装

地方の課題を解決するため、地方からデジタルの実装を進める。

電子商取引が拡大する一方で、ドライバーの数は減少を続けている。さらに、ウィズコロナの中、高齢者などの利用者、ドライバーの安全を確保する観点からも、非接触型の自動配送サービスを実現することが重要である。

低速・小型の自動配送ロボットは、現行制度(道路運送車両法、道路交通法)には位置付けられていないが、自動配送サービスを早期に実現するため、道路運送車両には該当しないこととした上で、 配送サービスの提供エリアや事業者の連絡先等について事前の届け出を求め、安全管理義務に違反した場合には行政機関が措置を行えることとし、機体の安全性・信頼性の向上が図られるよう、産業界における自主基準や認証の仕組みの検討を促すこと等を前提に、次期通常国会に関連法案を提出する。

あわせて、高齢者の移動手段の確保や運転手の不足に直面する地方では、人を運ぶ自動運転による移動サービスが期待されるが、現行法では一般的な制度は規定されていない。このため、申請されたサービスの提供地域・区間を前提として、自動運転システムの性能、遠隔監視や緊急時の対応等を確認した上で、自動運転移動サービスを認める新たな制度を創設し、次期通常国会に関連法案を提出することを検討する。

また、物流や保安、防災など様々な分野においてドローンを活用できる環境を整備する。具体的には、機体の安全性を認証する制度や操縦者の技能を証明する制度等の詳細な制度設計を進め、来年度中にドローンの有人地帯での目視外飛行(レベル4)を可能とする。

「デジタル田園都市国家構想」の具体化に向け、デジタルを活用した地域の自主的な取り組みを応援するための交付金を大規模に展開する。デジタルを活用した地域における課題解決や魅力向上の好事例を創出し、そうした取り組みの横展開を図る。

テレワークを更に推進するため、サテライトオフィスの整備や運営、そこに進出する企業による地域活性化に向けた事業の支援などの地方自治体の取り組みを支援する。

(2)地域金融機関を含めた地域の中小企業のDXの面的・一体的な推進

地域金融機関が、面的・一体的に地域の中小企業のDXを推進するため、改正銀行法に基づき、子会社を設立する等により、地域の中小企業のDXを支援する業務を展開する。これにより、地域金融機関が各地域における官民連携の面的なDXの推進の取り組みに積極的に参加することを促す。

また、DX専門人材を地域金融機関に対してあっせんするスキームを設ける等、地域金融機関の支援能力の向上を推進する。こうした一定の能力や体制を整備した地域金融機関が中小企業に対し支援を行うことを推進する。

(3)いわゆる6G(ビヨンド5G)の推進

次世代の通信インフラであるいわゆる6G(ビヨンド5G)について、2030年ごろの導入を見据えて、研究開発を推進する。このため、現在使われている電気通信技術に代えて、ネットワークから端末まで全てに光通信技術を活用することにより、基幹ネットワークにおける現在の100倍の通信速度とネットワーク全体における現在の100分の1の超低消費電力を同時に実現する革新的な技術を今後5年程度で確立することを目指して、ネットワーク技術やコンピューティング技術に関する研究開発を支援する。

(4)教育のICT環境の整備

一人一台のIT端末の配備に加え、学校における通信環境の安定化の支援や、大型スクリーン等のオンライン教育推進機器の整備など、新たな学びの環境の整備(ギガスクール構想)を推進する。

その環境を生かし、先端的教育ソフトウェアを導入して、児童生徒一人ひとりの状況に応じた個別最適な学びの充実など、学びの転換に取り組む学校を支援する。

(5)デジタル田園都市国家構想実現会議とデジタル臨調の設置

地方からデジタルの実装を進め、新たな変革の波を起こし、地方と都市の差を縮めていくことで、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」の実現に向け、デジタル田園都市国家構想実現会議を開催する。

デジタル改革、規制改革、行政改革を一体的に進めていくために、デジタル臨時行政調査会を開催する。

(6)地方活性化に向けた基盤づくりへの積極的投資

�’昔喊綮唆箸寮�長産業化の推進・家族農業や中山間地農業などが持つ多面的機能の維持

デジタル技術を用いたスマート農林水産業を生産現場で進め、若者にとっても魅力のある産業としていく。このため、技術の研究開発や生産現場での実証・経営改善効果の分析、スマート機械のシェアリングを通じたスマート農業産地の形成、農業高校でのスマート機械の導入、効率的な林業生産・流通に役立つ森林資源情報のデジタル化、漁業生産の基礎となる資源管理のためのデジタル技術を用いた漁獲情報の収集による資源の的確な評価などを支援する。

世界でも評価の高い日本の農林水産物・食品の2025年2兆円、2030年5兆円という輸出額目標の達成に向けて、商談会の開催、プロモーションの実施、オールジャパンとして活動する品目団体の活動、国内の輸出産地に対する専門家の派遣、輸出拡大に必要な加工・保管等の施設の整備などを支援する。

森林の若返りによるCO2の吸収拡大を通じて、カーボンニュートラルにも貢献していくため、伐採、利用、植栽の好循環に向け、路網の整備、国産材の加工施設の大規模化、成長の早いエリートツリーの苗木の生産施設の整備などを支援する。

国民全体が享受している、農業・農村の持つ国土保全等の多面的機能を維持していくため、農業用水路等を地域で共同作業により管理する取り組みや中山間地域での各集落の農地の利用や担い手についての将来像を策定した上で実施される持続的な農業生産活動への直接支払いを推進する。

�∨漂辧Ω査辧�国土強靱化のための5か年加速化対策の推進・豊かな田園都市国家を支える交通・物流インフラの整備

防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策に基づき、激甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策、予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策の加速、国土強靱化に関する施策を効率的に進めるためのデジタル化等の推進の各分野について、取り組みを推進する。

地方の産業を支え、物流効率化や地域交通の安定的確保に資する道路ネットワークや港湾の整備など、交通・物流インフラの整備を推進する。

��PPP/PFIの推進

空港、林業などPPP/PFI等の活用推進に向けた検討を行う。

空港分野では、PPP/PFI推進アクションプラン(令和3年改定版)に基づき、地方管理空港を含め、原則として全ての空港へのコンセッションの導入を促進することとしている。国が管理する空港について、コンセッションの取り組みを進め、すでに新千歳空港、福岡空港をはじめ9空港において民間事業者による運営を開始している。空港会社が管理する空港についても、関西国際空港においてコンセッションを実施している。今後、空港における機能強化の進捗や地域との関係等を踏まえつつ、更なるコンセッションの実施について検討していく。

林業分野では、樹木採取権制度に基づき、本年10月までにパイロット的に指定された10箇所について、来年1月頃から順次、樹木採取権を設定していく。また、より大規模なものも含めた来年度以降の樹木採取区の指定について、本年から実施しているマーケットサウンディング(市場調査)の結果を踏まえ、検討していく。

��2025年大阪・関西万博の準備の円滑化

新型コロナウイルス感染症を乗り越えた先の新たな社会を示すこととなる2025年大阪・関西万博の開催に必要な経費を確保するとともに、会期終了後の撤去費用を確保する。その際、建設主体が政府、外国政府、私企業など多岐にわたり、更にそれぞれの行政手続きも絡むことから、工事や技術実証等の進捗状況に応じた機動的・弾力的対応を可能とするよう措置する。

�ゴ儻�立国復活に向けた観光業支援

コロナ禍の影響を強く受けた観光産業では、ウィズコロナを前提とした旅行ニーズの変化やデジタル化に対応した事業再構築を支援していくことが重要となる。

旅館・ホテルでは、施設の価値を高めるため、団体客向けの大部屋から家族などの少人数が泊まる温泉付きの客室に改修することや、宴会場を個室の食事会場に改修することなどが考えられる。また、観光地でリモートワークしながら余暇も楽しむワーケーションの受け入れには、Wi-Fiやデスクなどの環境整備が必要となる。

こうした観光産業の事業再構築に向けた積極的な施設改修や、地域のバスや鉄道におけるキャッシュレス決済の導入等を支援する。

あわせて、GoToトラベルなどの消費喚起策については、感染状況を十分に踏まえつつ、ワクチン接種証明や陰性証明を活用して、より安全・安心を確保した制度に見直すとともに、週末の混雑回避の工夫や中小事業者への配慮についても検討し、再開に向けた準備を整える。

4.経済安全保障

安全保障と経済を横断する領域で様々な課題が顕在化している中で、戦略技術・物資の確保や技術流出の防止に向けた取り組みを進め、自律性の確保と優位性ひいては不可欠性の獲得を実現していく。このため、経済安全保障に係る施策を総合的・包括的に進める。

(1)我が国の自律性の確保、優位性ひいては不可欠性の獲得のための経済安全保障を推進するための法案の策定

我が国の経済安全保障を推進するための法案を策定する。

(2)戦略技術・物資の特定、技術の育成、技術流出の防止等に向けた取り組みの推進

本年中にシンクタンク機能の活動を開始し、重要技術の特定に資する調査分析を行う。

人工知能や量子など、先端的な重要技術を迅速かつ機動的に育てるため、国が経済安全保障上のニーズに基づき、研究開発のビジョンを設定した上で、その実現に必要な研究開発を複数年度にわたって支援する枠組みを設ける。

本年10月に対象業種を拡大した対内直接投資審査の執行体制、留学生・研究者等の受け入れ審査の体制、経済安全保障に係る情報収集・分析・集約・共有等に必要な体制など、経済安全保障の推進を図るための人員の拡充を図り、体制を強化する。

「みなし輸出」管理の対象の明確化(居住者への情報提供であっても、非居住者へ技術情報を提供することと事実上同一と考えられる場合には管理対象とするもの)について、意見募集の結果を検討した上で、早期の関連通達の改正、来年度前半からの実施を目指す。

大学・研究機関等における自律的な研究の健全性・公正性を高めるため、競争的資金の適正な執行に関する指針を本年内をめどに改定する。

特許の公開制度について、安全保障の観点から非公開化を行うための措置について検討し、必要な措置を講じる。

サプライチェーン上の重要技術・物資の生産・供給能力などの戦略的な国内産業基盤の確保を推進するため、主要国の動向も念頭に、中長期的な資金拠出等を確保する枠組みも含めた支援の在り方を検討し、早期の構築を目指す。

(3)デジタル社会の基盤となる先端半導体に関する国際共同開発支援と半導体工場の我が国への立地支援、国内拠点工場の刷新

日本は先端半導体の輸入依存度が高く、先端半導体の製造能力を有していない。最先端半導体の受託製造でトップシェアを誇る台湾企業の日本進出は、日本の半導体産業の不可欠性と自律性を向上し、安全保障に大きく寄与することが期待される。こうした先端半導体の国内立地の複数年度に渡る支援、必要な制度整備を早急に進め、強靱なサプライチェーンを構築する。

また、国際的に半導体が不足する中、マイコン、パワー半導体等について拠点となる国内半導体製造工場の刷新・増強のための設備投資を支援し、安定供給の確保、サプライチェーンの強靱化を図る。

あわせて、ポスト5Gやメガデータセンター向けの最先端半導体(微細化加工技術、光配線技術等)に関する国際連携による研究開発を支援する。

(4)次世代データセンターの地方分散・最適配置の推進

デジタルインフラの中核であるデータセンター(大量のコンピューターを設置し、インターネット接続サービスやデータの管理・運用サービスを提供する施設)の立地場所は、以下の点から重要である。

・データの伝送遅延に大きな影響がある。例えば、ユーザーが東京にいるとき、データセンターの立地がシンガポールの場合は0.069秒、札幌の場合は0.020秒、東京の場合は0.001秒となる。こうした伝送遅延は、自動運転の安全確保等において問題となる。

・災害に対する強靱性の観点では、国内における分散立地が必要となるが、現在は東京圏に6割が集中している。

・電気を大量に消費するため、再エネ電気の発電場所に近い立地が望ましい。

こうした課題に対応するため、新たな中核拠点の整備を目指し、東京圏への立地とのコスト差を埋めるための支援を行い、データセンターの地方分散・最適配置を図る。あわせて、分散立地した複数のデータセンターを効率的に活用するための技術開発を支援する。


��.分配戦略 〜 安心と成長を呼ぶ「人」への投資の強化

1.民間部門における中長期も含めた分配強化に向けた支援

(1)新しい資本主義を背景とした事業環境に応じた賃上げの機運醸成

我が国の労働分配率は、2010年代の経済成長に伴い低下傾向にあり、OECDによると、2019年の日本の労働分配率は50.1%であり、米国(52.8%)やドイツ(52.3%) などと比べて低い水準にある。

成長と分配の好循環を実現するための鍵は賃上げである。コロナ禍では、デジタルなどの分野の企業は収益を伸ばす一方、飲食・宿泊・文化芸術・エンターテイメントなどの業種は大きな影響を受けており、業種間で差が生じていることを認識しつつ、来春の労使交渉では、新しい資本主義の考え方に基づいて、労働分配率の向上に向けて、事業環境に応じた賃上げが行われるよう、政府、民間企業、労働団体がそれぞれの役割を果たしていくことが必要である。新しい資本主義実現会議では、月内に、具体的な取り組みについて議論することとする。

(2)男女間の賃金格差の解消

我が国の女性の労働市場は、結婚後に就業率が低下するM字カーブが存在すると言われてきたが、2010年代における女性の就業率の向上により、こうしたM字カーブは解消しつつある。

他方、女性の正規雇用率は、20代後半でピークを迎えたのち低下するL字カーブ型になっている。すなわち、出産・育児後の30代以降の就業が非正規雇用となる傾向が見てとれる。

全ての女性が活躍できる社会を実現し、男女間の賃金格差の解消を図るため、企業に短時間正社員の導入を推奨するとともに、勤務時間の分割・シフト制の普及を進める。また、保育の受け皿の整備や男性の育児休業の取得促進等を通じて、仕事と育児を両立しやすい環境を整備する。さらに、正規雇用と非正規雇用の同一労働同一賃金を徹底し、女性が多い非正規雇用労働者の待遇改善を推進する。

(3)労働分配率向上に向けて賃上げを行う企業に対する税制支援の強化

労働分配率の向上に向けて、賃上げに積極的な企業への税制措置について、

・新規雇用者ではなく、継続雇用者の1人当たり給与の増加を要件とすること、

・非正規雇用を含めて全雇用者の給与総額の増加を対象とすること、

・賃上げに積極的な企業に対する税額控除の率を引き上げること、

など、制度を抜本的に強化することを検討し、本年末の来年度税制改正において結論を得る。

なお、赤字の中小企業における賃上げも支援するため、補助金の要件として賃上げを考慮することを検討する。

(4)労働移動の円滑化と人的資本への投資の強化

新しい資本主義の考え方に立てば、企業が、長期的な視点に立って、株主だけではなく、従業員も取引先も恩恵を受けられるように経営を行うことが重要であり、共存共栄の企業社会を実現するための環境整備を進める必要がある。

一方、日本企業の人的投資(OJTを除くOFF-JTの研修費用)は、2010-2014年に対GDP比で0.1%にとどまり、米国(2.08%)やフランス(1.78%)など先進国に比べて低い水準にあり、また、近年低下傾向にある。

企業の人的投資を促進するため、金融審議会において、企業の人的資本への投資の取り組みなどの非財務情報について有価証券報告書の開示の充実に向けた検討を行うとともに、投資家や企業の意見を踏まえ、市場への影響を見極めた上で、適時開示を促進しつつ四半期開示を見直すことを検討する。

また、職業訓練やトライアル的な雇用、労働移動の支援などについて、人的資本への投資の支援を強化する3年間の施策パッケージを設け、民間の知恵を求める。具体的には、デジタルなど今後の成長が見込まれる分野における人材を育成するため、事業主が行う職業訓練を支援する。非正規雇用労働者の方々の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化や処遇改善を行う事業主に対して助成を行う。

さらに、業種によって業績や労働需要の回復の度合いが異なる中で、雇用の回復を実現し、多様な人材の能力を最大限に発揮するため、非正規雇用労働者の方々を対象とした再就職や転職に向けた無料の職業訓練の提供、求職者をトライアル的に雇用する事業主に対する助成、在籍型出向を行う際の出向に係る経費の助成等を通じて、産業構造転換に伴う失業なき労働移動の支援を強化する。

特に、中小企業については、労働者の労働生産性の向上を図るため、人材能力の開発に重点を置く。

多様で柔軟な働き方が拡大する中で、どんな働き方をしてもセーフティーネットが確保されるよう、働き方に中立的な社会保障や税制の整備を進め、勤労者皆保険の実現に向けて取り組む。

{論考が長すぎて10000字以内に収まらなかったので分割、最近、考えたこと。Part0199-3へ続く。}

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