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2018年11月24日17:13

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「リプレーザ」没原稿で〜す

以下に収録するのは、「リプレーザ」で2頁穴埋め用につくって、結局のところ、没になったものです。残念なので、ここに載せておきます。



土方美雄の映画三昧



 諸般の事情で、急遽、二頁分、つくる必要が生じたので、書きましたぁ〜。全然、連載とかではないので、次号には続きません。

『きみの鳥はうたえる』(三宅唱監督作品、二〇一八年)

 一九九〇年に自死した佐藤泰志作品の映画化は、『海炭市叙景』『そこのみにて光輝く』『オーバー・フェンス』に続く四作目。今回は初期の代表作で、初めて芥川賞候補にもなった『きみの鳥はうたえる』。今回の本誌の特集の、タイトルにした作品。
 その原作を読んだのは、もうだいぶ昔のことだし、原作に忠実な映画化かどうかは、原作そのものを、もう、ほぼ覚えていない上に、その作品が掲載された佐藤の作品集自体が、自室の本の山に埋もれてしまって、取り出すことも不可能だ。ただ、同作が書かれたのは一九七〇年代のことだけれども、映画は現代が舞台。それに、主人公らの住む町も、東京郊外の国立や国分寺から、佐藤の生まれ故郷である北海道、それも函館に移し替えられているので、原作に忠実な映画化でないことは、明々白々である。
 でも、映画がまとう雰囲気は、紛れもなく、佐藤の小説世界そのもの。
 函館の書店で働く、主人公の「僕」は、失業中の友人・静雄と共に、狭いアパートで共同生活を送っている。そこに、同じ職場で働き、僕とは肉体関係がある佐知子が頻繁に遊びに来るようになり、男二人と女一人の、危うい人間関係が始まるという、佐藤作品ではよくあるパターンの、青春小説である。
 「僕」には柄本佑、静夫には染谷将太、佐知子には石橋静河というキャスティング。
 自分の感情を、なかなか、表に出さない僕に対し、いらだつ佐知子の気持ちは、次第に、優しい静雄へと移っていき、そして、ついに、ある日、佐知子は僕に、静雄とつき合うことにすると、宣言する。それに対し、僕はどう答えるのか・・という物語。その後の三人の関係がどうなってしまうのか、映画は一切、語らない。静かで、残酷、破局を孕んだ、ヒリヒリするような、青春ストーリィである。
 必ずしも、成功したとはいえない佐藤の作家人生だが、よき後継者たちを生んで、世代を超えて今も、確実に、光輝いている。
 新宿武蔵野館で、観た。

『五〇〇ページの夢の束』(ベン・リューイン監督作品、二〇一七年)

 とにかく、東京近郊で上映しているのは、新宿ピカデリーか、横浜黄金町の「ジャック&ベティ」の、たった二館のみ。出来れば、大好きなジャック&ベティで観たかったが、時間的な関係で、やむなく、新宿ピカデリーへ。
 主人公の二一歳のウェンディは、自閉症で、唯一の肉親である姉と離れて、自立支援ホームで暮らし、昼はアルバイトをしながら、大好きな「スター・トレック」の公募脚本を書き上げた。しかし、自閉症の彼女は、久しぶりにホームを訪ねてきた姉と口喧嘩になり、思わず、精神の均衡を失い、寝込んでしまう。そして、目覚めた時、郵送では公募脚本の締め切りに間に合わないことに気づき、直接、ロサンゼルスのパナマウント・スタジオに届けようという、文字通り、一大決意する。
 でも、ホームとバイト先を往復するだけしか出来ないというか、したことがない彼女にとって、LAまでのバスに乗ることは、とても大変。しかも、カバンの中に、彼女の後をついてきた愛犬を隠してバスに乗ったことがバレて、乗ったバスを、途中で降ろされてしまう。果たして、彼女は無事に、LAへ辿り着けるのか?といったストーリィの、ロード・ムービーである。
 主人公のウェンディを演じるのは、かつて、名子役として一時代を築いたダコタ・ファニング。最近、ほとんど、その姿を見ていないなぁ・・と思っていたら、『オーシャンズ8』に、現在、二四歳とは思えない、疲れ切った容貌の彼女が出ていて、ちょっと、ショックだった。しかし、久々の主演作の本作では、自閉症の女性をリアルに演じて、その芝居のうまさは、以前と、まったく変わっていないなぁ・・と、一安心。
 この手のハートフルな映画は、実は私は苦手だが、ダコタ・ファニングの今を見たいという気持ちが、それを上回った。結果として、観て、よかった。決して、いい人ばかりではない現実と、そんな中を、何故、彼女が必死に、LAを目指したのか、それがわかった時の感動。とても、いい映画です、本当に。多くの人に、是非、観ていただきたいが、それにしても、東京近郊ではたった二館の上映とは・・ね。

 ということで、ちょうど、二頁分になったので、ここまで。
(ひじかた・よしお/編集長)

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