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2017年07月09日16:18

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渡辺和子・小さなことに大きな愛をこめて



渡辺和子「面倒だから、しよう」(幻冬舎)より。


「愛は溢れゆく」といわれます。

一人の長距離トラックの運転手が自分の体験を新聞に投書していました。
「その日、自分は夜っぴて運転し続けて、もう少しで目的に到着するはずでした。朝の七時頃でしょうか、目の前を一人の小学生が、黄色い旗を手にして横断歩道を渡り始めたのです」

運転士は疲れもあってでしょう。いまいましく思い、急ブレーキをかけてトラックを止めました。ところが、その小学生は渡り終えた時、高い運転台を見上げて、運転手に軽く頭を下げ、「あありがとう」といったのだそうです。

「私は恥ずかしかった。そして決心したのです。これからは横断歩道の前では徐行しよう。そして、もし道を渡る人がいたら、渡り終わるまで待ち、笑顔で見送ろう」。

ほほえみ、優しさ、愛は、このようにつながってゆき、溢れてゆくのです。運転手に笑顔で見送られた人は、嬉しくなって、多分、言葉も、態度も、その日一日優しくなったことでしょう。

マザー・テレサがいわれました。
「自分がしていることは、一滴の水のように小さなことかもしれないが、この一滴なしに大海は成り立たないのですよ」。
さらに、
「自分は、いわゆる偉大なことはできないが、小さなことの一つひとつに、大きな愛をこめることはできます」。

小学生の笑顔と、「ありがとう」の一言は、それ自体は小さな行いです。しかし、それが次の人につながっていって、相手の心を優しくし、その優しさが溢れていって、社会に、家庭に、平和を作り出してゆくのではないでしょうか。



★渡辺和子 :ノートルダム清心学園理事長。 昭和2年生まれ。教育総監・渡辺錠太郎氏の次女、9歳の時に2.26事件で父を目の前で殺害される。18歳でキリスト教の洗礼を受け、アメリカでの修練ののち、36歳という若さで岡山のノートルダム清心女子大学学長に就任。長年にわたり教壇に立ち、学生の心を支え指導する。
昭和59年にマザー・テレサが来日した際には通訳を務めるなど多方面で活躍。著作も多数。

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