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2016年11月27日08:37

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キューバ音楽との出会いの旅/ミゲール・マタモロスのソン

2002年8月17日に発行された「そんりさ」VOL.75に掲載された原稿です。
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偉大な作曲家でもあったミゲール・マタモロスの結成した「トリオ・マタモロス」が、ロレンソ・イエレスエロの「ロス・コンパドレス」と並ぶ、キューバの生んだ最高のヴオーカル・グループであるということは、中村とうようさんの『なんだかんだでルンバにマンボ』(ミュージック・マガジン増刊号、一九九二年)を読んで、知っていた。
そのトリオ・マタモロスがサンティアゴ・デ・クーバで誕生したのは、一九二五年のことである。メンバーはミゲール・マタモロスとシロ・ロドリゲス、ラファエール・クエートの三人で、一九六〇年にその活動を停止するまで、ずっと同じメンバーで活動を続けた。共に、ソンの興隆期を担ったセプテート・ナシオナールなどの名門グループが、随時、メンバーを入れ替えつつ、今日まで継承されてきたことを考えると、同メンバーによる、まれにみる息の長いグループである。
中村とうよう氏によれば、トリオ・マタモロスは結成当初はほとんどアマチュアの趣味の延長線のようなグループで、事実、ミゲールは運転手、ラファエールは市の衛生局職員、シロは鍛冶屋が、それぞれ本職であったという。ところが一九二八年に米国で出したレコードが売れ、それに伴いプロ意識に目覚め、演奏も急速にうまくなっていった。最初は三人だけで歌と演奏のすべてをこなしていたというが、三〇年代にはトランペットなどが、四〇年代末から五〇年代初めにかけてはピアノがそれに加わり、次第にコンフト(小編成のバンド)のスタイルをとっていくことになる。その後、ロス・コンパドレスの結成に加わることになるあのコンパイ・セグンドが、一クラリネット奏者として在籍していたこともまた、よく知られているエピソードである。
トリオ・マタモロスのCDには『永遠のトリオ・マタモロス』(BOM4001/2)などのベスト盤が数多くあるが、一九二八年の初レコーディングから一九三七年までの初期の録音を集めたのが、『LAGRIMAS NEGRAS』(NLN55024)だ。タイトルにもなっている名曲「LAGRIMAS NEGRAS(黒い涙)」をはじめ二〇曲入りで、技巧に走らない素朴な味わいが身上の、とても親しみの持てるアルバムである。
一九六〇年にその活動に終止符を打ったあとも、ミゲール・マタモロスは一九七一年までは生きていたというが、オリジナル・メンバー以外の編成で、トリオ・マタモロスが復活することはなかった。ただ、マタモロスの生んだ名曲の数々はその後も、多くのグループや歌手によって、今日まで歌い継がれてきた。
一九九九年に出た『DE CUBA SON MATAMOROS』(BisMusicCD192)は、そんな中の一枚であり、私のもっとも好きなマタモロスのカバー・アルバムである。同アルバムは本誌連載第五回で紹介した新生セプテート・ナシオナールのメンバーをメインに、ボレロ系の女性シンガーであるアイナス・ラブレウなどのゲスト・ヴォーカリストが加わって制作されたもので、なかでも「LAGRIMAS NEGRAS」はアイナス・ラブレウの若々しくも安定感のある歌声が最高で、セプテート・ナシオナールのメンバーとの掛け合いも息がピッタリ合い、オリジナル曲から新たな魅力を十分に引き出している。また、あっ、これこそセプテート・ナシオナールだなぁというサウンドも随所にあって、単なる名曲のカバーに終わらない秀作である。
最近、入手したファラ・マリーアの『LIBRE COMO GAVIOTA』(CDL11689)も、なかなか、いい。彼女もまたアイナス同様、ボレロ系の女性シンガーだが、このアルバムはマタモロスやセプテート・アバネーロの名曲をカバーしたものだ。

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