白猫の心震える芸能秘話
「日本が嫌なら出て行け!」
2012年1月。ある深夜のテレビ番組で、マツコ・デラックスが放ったこの一言が、今も静かに語り継がれている。
舞台は、日本・韓国・中国の3か国がそれぞれのお国自慢を披露するバラエティ番組だった。
その日、議題にのぼったのは「世界に誇れる芸能人」。
韓国側の出演者たちは、胸を張った。
K-POPはアメリカのビルボードに食い込み、90組以上が日本デビューを果たしている、と。
そしてこう言い切った。
「日本の芸能界は草野球、韓国の芸能界はプロ野球だ」。
言葉には、棘があった。
マツコは、黙っていなかった。
「K-POPって、アメリカのパクリにしか見えないのよ」
「アメリカで評価されることが、そんなに全てなの?」。
スタジオの空気が、ひりついた。
韓国側はさらに押し込む。
EUでもアメリカでも評価されている、日本はその水準にすら達していない、と。
そのときだった。
マツコが、一気にまくし立てた。
「あんたたちのことも受け入れるじゃないの? 世界の文化を!
これだけ懐の深い国が、どこにあるんだよ。嫌だったら出ていけ!」
乱暴な言葉だ。決して上品ではない。
けれど、その中には、妙に胸を突く何かがあった。
日本は、K-POPを拒まなかった。
それどころか、夢中になって迎え入れた。
テレビをつければ彼らが歌い、街にはその音楽が流れていた。
洋楽も、韓流ドラマも、海の向こうのものを、この国はいつだって素直に楽しんできた。
マツコが言いたかったのは、たぶん、とてもシンプルなことだ。
どっちが上か下か、そんな話じゃない。
好きなものは好き、受け入れたいものは受け入れる。
それができる国って、けっこう素敵じゃないか、と。
勝ち負けの土俵に乗せられかけたとき、彼女はその土俵ごと、ぽんと放り出した。
思えば、マツコという人はいつもそうだ。
場の空気に流されない。
偉い人にも、人気者にも、ひるまない。
筋が通らないと思えば、相手が誰だろうと、はっきり「おかしい」と言う。
その代わり、良いものには素直に「良い」と言う。
好き嫌いを、自分の言葉でちゃんと語れる人だ。
だからこの一言も、計算された名言なんかじゃない。
きっと、思ったことがそのまま口から出ただけ。
でも、だからこそ響く。
飾らない人の、飾らない言葉は、ときどき、
どんな美辞麗句よりまっすぐ胸に届く。
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