台湾ニューシネマをけん引したワン・トン監督による「台湾近代史3部作」の第1作。日本による植民地政策下で理不尽な境遇に置かれた農民たちの生きざまを、田んぼに立つ案山子の視点からユーモアたっぷりに描き出す。
日本統治時代末期、太平洋戦争下の台湾。農村で暮らす小作人の兄弟アファとコウヅエは、夫を戦争で亡くして精神を病んだ妹や耳の遠い母親とともに貧しい暮らしを送っていた。ある日、遠方から地主がやって来て、田畑を製糖会社に売り払うと兄弟に言い渡す。さらに追い打ちをかけるように、一家の唯一の財産である牛が日本人に徴用されてしまう。翌日、村は米軍の空襲を受け、兄弟の畑に1発の不発弾が残される。兄弟と村の巡査は上官から褒美をせしめるべく、その不発弾を隣町の駐在所へ届けることにするが……。
日本では、「台湾巨匠傑作選2024 台湾映画の傑物ワン・トン(王童)監督と台湾ニューシネマの監督たち」(24年7月20日〜、新宿K’s cinemaほか)にてデジタルリマスター版で劇場初公開。(映画.comより)
<2025年11月2日 劇場鑑賞>
和歌山のミニシアターで「ワン・トン監督特集」をやってました。私がごく若い頃に”台湾ブーム”があって、「ウェディング・バンケット」とか「青春神話」とか、いろいろ日本で公開されたと思うのですが、私がその頃見た台湾映画の中にワン・トン監督作品は、なかったように思います。今回初めて聞きました。私が無知なだけかもしれませんが。
さて、舞台は太平洋戦争下の台湾。冒頭から日本語が飛び交い、「あぁ、日本の領土だったのだな」って感じでした。現地の人は現地語でしゃべっているのですが、子供たちは「夕焼け小焼けで日が暮れて〜〜♪」の歌を歌っていました。私が記憶している子供のころに歌った歌と、助詞が一つ違っていたような記憶です。「夕焼け小焼けに・・・」と歌ってたのかな。ともかく「あれ?ちょっと違う」とは思いました。話の筋に関係ありませんが。
貧しい村は、若い男たちは戦争に駆り出され、女と子供ばかりです。主人公の兄弟は目が悪いので兵役を逃れています。それは彼らの母親の策略でもあるのですが。戦時中は物がなく、土地も痩せているので、働けど働けど貧しいばかりです。とうとう大切な牛まで取られてしまいました。そんな中、なにかの金属を拾った子供が学校の先生に届け出ると、褒美がもらえました。村のみんなが「そうなのか」と思っていたところ、田んぼの中に不発弾発見。しばらく観察していましたが、何も起きない。ちょっと触ってもどうもなく、爆発する様子もありません。すわ、こんな金属の塊を届け出たら、たくさんの褒美がもらえるに違いないと喜んだ村人たちは、巡査も巻き込んで隣町の駐在所へと向かいます。しかし、これが結構な距離。不発弾も重く、いろいろな難儀に直面しながらがんばって運びます。そんな話をメインに、夫を失い気が触れた(主人公たちの)妹や、やたら子供作る賢くない弟の日常など、悲喜こもごもを織り込みながら、その時代の田舎暮らしを描写します。
<ここからネタバレ>
結局、駐在さんには「そ、そんな危険なものをなぜ持ってくるんだ。早く捨てろ!」と𠮟られます。そして岸壁から海に投げ捨てた途端、不発弾は大爆発。大量の魚が死んで浮き上がります。大量の魚を持って帰ってきた兄弟と巡査に、華やかな服や化粧品を期待していた女性たちはすすり泣き。おなか一杯魚を食べれた子供たちは「お母さん、どうして泣いてるの」と無邪気に問いかけます。そうしてその日も日が暮れ、子供たちの「夕焼け小焼け」の歌声が響くのでした。
<ネタバレ終わり>
なんか、おもしろかったです。私も”金属をもっていけば褒美がもらえる”ことは疑わずに見ていました。でも、よく考えると危険ですよね。えっさ、ほっさと運んで行くうち振動も与えるのに。後から身震いしたのでした。案山子はあんまり関係なかったと思います(笑)。
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