鈴木広宣
【ほとんど報道されていない『日本人のPFAS汚染』】

岡山では、検査した住民の87.4%が健康管理上の目安を超過。

岐阜では約8割。

東京・多摩、沖縄、愛知、兵庫でも、約半数が目安を超える調査結果。

大阪ではPFOA単体で596.6ng/mL。
これは海外の話ではありません。
岡山・大阪・兵庫・愛知・岐阜・東京・千葉・石川・沖縄――。
日本各地で実際に行われた、住民の「血液検査」の結果です。
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■平均151.5、最高743.1
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最も衝撃的なのが、岡山県吉備中央町です。
円城浄水場から高濃度のPFASが検出された問題を受け、町が住民709人を対象に公費で血液検査を実施。
測定した7種類のPFAS合計は、
◆平均……151.5ng/mL
◆最高……743.1ng/mL
◆20ng/mL以上……87.4%
米国科学・工学・医学アカデミーは、7種類のPFAS合計が20ng/mLを超えた場合、健康状態への注意や追加検査を検討する目安を示しています。
それと比較すると、

平均値で約7.6倍

最高値で約37.2倍

住民の約9人に8人が目安を超過
さらにPFOA単体でも最高718.8ng/mL。
初期の住民調査では、PFOAの平均値が環境省調査の全国平均の「約80倍」と報じられました。
これは「少し高かった」という話ではありません。
長期間にわたる、極めて大きな曝露が疑われる数値です。
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■大阪では最高596.6ng/mL
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大阪府では2023年、府内49会場で約1,190人の血液検査が行われました。
PFOAを長年扱ってきた化学工場がある摂津市や、隣接する大阪市東淀川区などで高い血中濃度が確認されています。
解析条件をそろえた集計では、
◆摂津市181人
・4種類合計平均……20.1ng/mL
・20ng/mL超……33%
◆大阪府459人
・4種類合計平均……19.2ng/mL
・20ng/mL超……28%
そして、PFOA単体の最高値は596.6ng/mL。
工場では2012年にPFOAの製造・使用を終了したとされています。
それでも、10年以上たってなお、周辺住民の血液から高濃度で検出されている。
製造をやめても、終わらない。
土壌や地下水に残り、飲み水などを通して人体へ入り続ける可能性がある。
これがPFASが、
【永遠の化学物質】
と呼ばれる理由です。
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■岐阜・各務原市では約8割
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岐阜県各務原市では、水道水源からPFASが検出されたことを受け、住民の血液検査が行われました。
住民131人の調査では、
◆4種類合計平均……56.0ng/mL
◆20ng/mL超……78.6%
平均値だけで20ng/mLの約2.8倍。
さらに、その後に行われた検査でも約9割が比較指標を超えたと報じられています。
各務原市の三井水源地では、水1L当たり99ngのPFOS・PFOAが検出されました。
国の暫定目標値50ng/Lの約2倍です。
浄化設備が導入され、水道水の濃度が下がったとしても、住民の体内に蓄積したPFASまで一瞬で消えるわけではありません。
血中濃度は、現在の水だけでなく、
【過去に何年その水を飲んできたか】
を映している可能性があります。
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■東京・多摩では約半数
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東京都多摩地域では、地下水源から高濃度のPFASが検出され、一部の井戸が取水停止になっています。
2022〜2023年に行われた住民調査では、国分寺・立川・府中・小平・国立・調布・西東京など、広い地域の住民が血液検査を受けました。
調査の集計条件によって650人、791人など人数表記が異なりますが、解析対象791人の報告では、
◆4種類合計平均……22.0ng/mL
◆20ng/mL超……46.1%
別の650人集計でも、
◆20ng/mL超……335人、約52%
つまり東京・多摩地域では、
【住民の約2人に1人が、測定した4種類だけで20ng/mLを超えていた】
ということです。
市別では国分寺市の4種類合計平均が44.9ng/mL、立川市が29.0ng/mL。
国分寺市では84人中27人、約32%がPFOSについてドイツのHBM-�兇鯆兇┐討い泙靴拭�
東京都内で起きているにもかかわらず、どれだけの都民がこの事実を知っているでしょうか?
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■沖縄・基地周辺では全国平均の14.3倍
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沖縄県では2022年、宜野湾市・北谷町・金武町など6市町村7地域の住民387人を検査。
環境省の2021年調査の全国平均と比較すると、
◆PFOS
・北谷町……約3.1倍
・宜野湾市喜友名……約2.8倍
◆PFHxS
・金武町……約14.3倍
・宜野湾市喜友名……約11.7倍
・北谷町……約11.6倍
さらに、
◆水道水をそのまま飲む人ほど高い傾向
◆年齢が上がるほど高い傾向
◆男性の方が高い傾向
も確認されています。
解析条件をそろえた329人の集計では、
・4種類合計平均……23.3ng/mL
・20ng/mL超……52.9%
沖縄でも、約2人に1人です。
普天間飛行場などの基地周辺では、PFASを含む泡消火剤の使用や漏出が問題視されてきました。
ただし血液検査だけで、米軍基地を唯一の汚染源と断定することはできません。
だからこそ、基地内を含めた徹底的な汚染源調査が必要なのです。
水は、基地のフェンスや行政区域で止まりません。
地下水として流れ、河川へ入り、浄水場を経由して家庭の蛇口につながります。
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■愛知でも約2人に1人
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愛知県豊山町・北名古屋市でも、住民54人の血液検査が行われました。
◆4種類合計平均……21.2ng/mL
◆20ng/mL超……46.3%
ここでも約2人に1人。
豊山配水場の井戸水から暫定目標値を超えるPFASが検出され、井戸の取水は停止されました。
行政が十分な人体調査を行わないため、住民団体が自分たちで血液検査に動いた事例です。
水を切り替えたから、問題終了――ではありません。
すでに飲んできた住民の身体を調べなければ、本当の曝露状況は分からないのです。
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■兵庫・明石市でも約半数
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兵庫県明石市では、明石川流域のPFAS汚染を受け、住民の血液検査が行われました。
初期調査9人では、
◆4種類合計平均……26.0ng/mL
◆20ng/mL超……33.3%
◆PFOSまたはPFOAがドイツの指標超……66.7%
さらに2024年、住民33人を追加調査。
◆4種類合計平均……22.9ng/mL
◆20ng/mL超……48.5%
ここでも、ほぼ2人に1人です。
まだ人数が少ないから安心なのではありません。
【人数が少な過ぎて、地域全体の実態を評価できない】
のです。
本来なら、行政が対象者を増やし、飲料水・居住歴・健康状態との関係を長期追跡するべきでしょう。
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■千葉・鎌ケ谷、石川・白山でも
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千葉県鎌ケ谷市では、暫定指針値を超えた井戸水を飲用していた住民を対象に、自治体が血液検査費用を助成。
採血できた9人全員からPFHxSが検出されています。
さらに2026年には、石川県白山市でも工場周辺の井戸水からPFASが検出され、指針値を超えた井戸水を飲んでいた住民31人の血液検査結果が公表されました。
岡山だけではない。
大阪だけでもない。
基地周辺だけでもない。
岡山、兵庫、大阪、愛知、岐阜、東京、千葉、石川、沖縄――。
検査した地域から、次々とPFASが見つかっています。
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■検査していない場所から異常値は出ない
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ここで注意が必要です。
これらの調査は、全国から無作為に選んだ人を同じ条件で検査したものではありません。
汚染が疑われる地域で、検査を希望した住民が中心です。
したがって、この結果だけで、
「日本人全体の半数が20ng/mLを超えている」
とは言えません。
しかし、もっと重大な問題があります。
日本には今も、
◆PFAS血中濃度の公的基準がない
◆全国統一の血液検査制度がない
◆汚染地域住民の長期健康追跡がない
◆検査対象となるPFASの種類も統一されていない
のです。
「安全が確認された」のではありません。
【全国的に調べていないから、日本人全体の汚染状況が分からない】
これが正確な現状です。
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■20ng/mLは“許容量”ではない
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米国科学・工学・医学アカデミーが示した20ng/mLは、
「ここまでは飲んでもよい」
「20以下なら絶対安全」
という許容量ではありません。
血液中の複数のPFASを合計し、健康状態への注意や追加検査を検討する目安です。
また、水道水のng/Lと血液のng/mLは意味も単位も異なるため、直接割って「何倍」と比較することはできません。
さらに米国アカデミーの目安は本来7種類の合計。
一部の国内調査は4種類しか測定していません。
つまり、4種類だけで20ng/mLを超えている人は、残りの物質を加えるとさらに高くなる可能性があります。
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■「見えない・匂わない・すぐ症状が出ない」
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PFASは、
・見えない
・匂わない
・味もほとんど分からない
・飲んでもすぐ症状が出るとは限らない
・体内から減るまで数年かかるものがある
だから厄介です。
PFAS曝露については海外の疫学研究などで、

ワクチン抗体反応の低下

コレステロール上昇

肝機能への影響

妊娠高血圧症候群

出生体重の低下

甲状腺機能への影響

腎臓がん

精巣がん
などとの関連が検討されています。
もちろん、
「PFASが検出された=必ず病気になる」
ではありません。
しかし、
「因果関係が完全に確定していない=安全」
でもありません。
健康被害が確定してから調べ始めるのでは、遅いのです。
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■日本人は安全なのではない
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いま必要なのは、パニックではありません。
◆全国規模の無作為な血液検査
◆汚染地域での公費検査
◆妊婦や子どもを含めた長期追跡
◆水・食品・職業歴との照合
◆汚染源の特定と情報公開
◆曝露を減らす具体的な対策
です。
検査しなければ、異常値は見つかりません。
健康調査をしなければ、病気との関連も永遠に「不明」のままです。
つまり――
【日本人にPFAS汚染がないのではない。全国的に調べていないだけ】
なのかもしれません。
日本各地で住民の血液から、これだけの数値が出ている。
それでもまだ、
「一部地域の問題」
「直ちに健康影響はない」
で終わらせますか?
私たちは毎日、水を飲みます。
だから今、日本が調べるべきなのは水道水だけではありません。
【その水を飲み続けてきた、日本人の血液です】
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