1)前回帝王切開
帝王切開のあとは必ず「帝王切開」とする。
これが安全管理。
筋肉でできた袋である子宮を切って赤ん坊を出すのだが、
筋肉を切った傷跡は「筋肉」には戻らない。
「結合組織」という人間の傷を治す組織(接着剤みたいなもん)でくっつく。
傷ができて数十年すると、周囲から筋肉組織が伸びて来て
「入れ替わる」こともないとは言えないが、個人差が大きい。
何年経っても細胞が入れ替わらないこともある。
何が問題か?
筋肉は伸び縮みする組織だが、結合組織はそうではない。
妊娠しているあいだは赤ん坊といっしょに子宮壁は「ゆっくり伸びる」が
赤ん坊を娩出する陣痛のときは「急激に収縮する」ので、ついていけない。
かくして傷跡に穴があく、子宮破裂という。
なんとかぎりぎり破裂を免れることもあるが、
前回帝王切開のお方の分娩後に子宮の傷を触ってみると
(穴が空いてないか触って確かめる)かなり壁が薄くなっているのがわかる。
イメージ的には「和紙1枚」な感じ。
それでもやぶれなきゃ問題はないけど、万が一破れた(子宮破裂した)場合、
お母さんの命には問題なし、赤ん坊はたいてい助からない。
命は助かっても重い障害が残り、手厚い介護が必要になる。
お産は「母子とも無事に終了」しなければならない。
だから帝王切開のあとは帝王切開をする。
あーちなみに、子供はどうなってもいいから下から産みたい、と
産む人間自身が思うのは個人の自由だと思う。
万が一何かあったとき死ぬまで自分を責めることになるだけだからね。
何事もなく産めたらラッキー!よかったですね、と笑いながら言う。
皮肉じゃないよ、こころからおめでとうが言える。
結果が無事ならどうでもいいの。「危険な可能性」が許せないだけ。
2)帝王切開後の妊娠
切った傷が治る時間が必要。
何が正解か実験で調べるわけにはいかないが、
「前回帝王切開のあと1年はあける」のが産婦人科医としての常識。
ただし、高齢など条件によっては「最低半年はあける」などバリエーションはある。
ちなみに傷の治りが悪い場合、陣痛がくる前の子宮破裂があり得る。
3)妊娠高血圧症候群
少し前までは「妊娠中毒症」と言った。
多彩な症状がある疾患だが、「高血圧」が一番の問題なのでこの病名になった。
妊娠だけが原因。妊娠が終われば治ることが多いが、
妊娠終了後も高血圧が持続したり、腎機能障害が残ったりもする。
妊娠中の高血圧で脳出血を起こすこともあるし、
高血圧眼底、と言って目の血管に循環障害が起き、分娩後に視力低下することもある。
妊娠すればいつ起きるかは不明だが、
前回妊娠でこの疾患になった場合、前回より早い時期に起きることが多い。
しかも前回より重症になることも多い。
この記事になったお方はおそらく、前回発症した週数あたりで入院し、
母体と赤ん坊の状態を細かく観察し、ちょっとでも「これは‥」な予測がたてば
たとえ赤ん坊がどれほど小さかろうとすぐに帝王切開をすることになるだろう。
3)年子問題。
今現在が妊娠初期なら分娩予定日は2027年1月後半から2月前半になる。
前回分娩が2025年12月なので「年子」にはならない。
佐々木は批判されるのにこの人は?みたいなコメントあったので一応書いておく。
ただ「帝王切開後の傷の治癒に1年」という考え方からいくと、
12月にお産したあと半年で妊娠成立するのは、ちょっと早いかなー。
‥もちろん個人の印象です。
追記;
ちょっと昔の話だが、アメリカで「帝王切開後の経膣分娩」を推奨した時代がある。
アメリカはご存知の通り医療費が高額。
下から産むお産と比べて帝王切開はかなりの高額。
保険で支払われる場合が多いが、保険会社が大損をするという意味。
そこで「帝王切開後に普通に分娩させてみよう」と思いつき、実行してしまうのは
さすがアメリカ!という印象である。
結果的に、帝王切開後の経膣分娩において
「150ぶんの1」の確率で重篤な事態が発生し、
最初から帝王切開分娩を選ぶより医療費がかかることがわかった。
そこでアメリカは推奨をやめた。
「母子の命が安全でない」から推奨をやめたのではない、というあたりが、
さすがアメリカ!という印象である。
34歳元芸人妻、第3子妊娠発表「前回妊娠高血圧症候群で帝王切開をしているため…」
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=8&from=diary&id=8853944
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