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2026年06月26日16:12

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「ディグニティ」は「尊厳」のこと

こどもホスピスについて書いた本を読んだとき、
染色体異常で命が短いとわかっている赤ちゃんを箱根に旅行に連れていく、
というエピソードがあった。
ホスピススタッフがさまざまな医療機器を運び、医療的な援助をして
旅行は行くことができた。
朝、太陽が昇って部屋に朝日が差し込むときの写真が出ていた。
赤ちゃんは大きく目を見開き、背中を支えられたお座りの姿勢で
左右にぱっと手を広げていた。
「こんな素敵なものを初めて見た!」と思っていたに違いない。

この本に書いてある言葉で一番心に残っているのは
「死の瞬間までこどもは成長する」というもの。
だからホスピススタッフは全力でこどもの成長を応援する。
難病のこどもの旅行を手伝うのも仕事なのだ。

「ディグニティ」という漫画は、病人の旅行を支援する「旅行医」が主人公。
いろいろな種類の病気で余命宣告を受けた末期の患者さんたちが出てくる。
患者の希望をなるべくその通りにかなえた旅行のお手伝いをする、のが
旅行医の仕事である。

自分のことになるが、ワシには2人の弟がいて
下は内科医、真ん中は教師になった。
教師になった弟は小学校低学年で脳腫瘍が見つかり、
苦しい治療をしてなんとか学年を遅らせることなく復学した。
このときの経験で「病気や障害のある子の教育」を志して、
一時は病院付属の肢体不自由児の学校にも勤務した。
その弟は、子供のころの脳腫瘍治療の傷跡から悪性度の高い脳腫瘍を発症した。
はっきりわかったのが1月、36歳の誕生日を目前にして8月に死んだ。

手術のあと、いわゆる余命宣告(3か月)を受けて退院したとき
ワシは「お前のやりたいことなんでも手伝うから」と言った。
弟は「みんなで鍋料理食べたい」と言ったが、
術後は食欲が出ない状態だったのでその次の「みんなで旅行がしたい」を実行した。
最初は弟と奥さんと春には1年生になるひとり娘を連れて神戸へ。
「震災の跡が残っているなら見たい」と言われて
車いすを押して神戸港の片隅の、一個だけ残されている傾いたガス灯を見に行った。
ディナークルーズの観光船にも乗った。
その次は沖縄、末の弟が勤務先から沖縄の離島に転勤するかも、という話があったので、
末の弟一家(弟、奥さん、4人のこども)とウチの父母も連れていった。
その次は温泉、自分が行った温泉の話を昔したのを覚えていて行きたがった。
ここも12人の団体ででかけたが、夜に弟がけいれん発作を起こし、
救急車で2時間かけて手術した病院に運んだ。
その次はまた12人で九州、霧島温泉。
末の弟と父親が助けて露天風呂にも入った。
帰宅したあと弟が「次は四国でうどんね」と言ったのを覚えている。
その後、大きな発作を起こし、2度目の手術をしたが
病巣が拡大してどうにもならず、意識が戻らないまま亡くなった。

自分が医者でなかったらできない旅行だったと思っている。
行った先々での車いすや駅や空港での一時休憩所の確保、
宿泊先での救急対応の心づもりや弟の食事内容の打ち合わせ。
医局で学会参加時に宿や食事の手配をする係だった経験も役立った。
苦労はしてみるもんだな。

長くなったが、このときと同じことをしているのがこの漫画の主人公。
だから読んでいて泣けた。
死んでいく人も人間だから、やりたいことも行きたい場所も会いたい人もいる。
病院にずっといれば生きている時間は伸ばせるかもしれないが、
やりたいことはできない、行きたい場所に行けない、会いたい人に会えない。
生きているだけでいいのか?
…ワシは「違う」と思う。

連載打ち切りになると聞いてとても残念だ。
すごく先が読みたいのに。
どうにかならんもんか。
コミックスの売れ行きが悪いって?
そりゃ世間さまに見る目がないからだ。
みなさん、ご家族が病気になったことがないのかな?
病気のご家族にきちんと向き合った人が多くないんだろうか?

参考;「こどもホスピス」について書いた日記

https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1983883029&owner_id=8729247


医療漫画、売上げ不振で打ち切り決定を漫画家が報告「未来が覆る可能性は捨てず…」
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=8&from=diary&id=8841101
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