最初にはっきり言います。
脚本が悪すぎる!
こんなもんがカンヌで評価されるのか?
単純に戦国ジャポニズムが珍しかっただけじゃないの??
‥ああそうか、原作を知らなきゃただの時代ものミステリーか‥
この物語の原作のメインテーマは「黒田官兵衛の覚醒」です。
信長に反旗を翻した村重を説得するべく有岡城に送り込まれた黒田官兵衛。
殺されず地下牢に幽閉された官兵衛は、信長の人質となった息子が殺されたと思い、
息子の復讐のために村重を心理操作して城を捨てさせ、有岡城は皆殺しになる。
(村重は悪運強くて生き延びましたが)
救出された官兵衛が幽閉時の傷を癒す温泉宿に竹中源助来訪。
(秀吉の家臣で官兵衛の盟友、竹中半兵衛のいとこで義理の弟)
「ご子息松壽丸どのの成敗を命じられたは、我が義兄にござった」
「何と‥」
「義兄は黒田の人質を切ることの非を上様に言上し、御勘気をこうむり‥」
「半兵衛殿はあれを庇ってくだされたか‥半兵衛殿であれば
「あれを苦しませることはなかったでござろう
「されば今日は、あれの最期をお聞かせ願えようか」
NHK大河「豊臣兄弟」をご覧の方々にはご承知の通り。
半兵衛は松壽丸を殺さずにかくまい、秀吉が許して官兵衛のもとに返させたのだ。
廊下で平伏していた「小さな武士」が顔を上げた瞬間、官兵衛は叫ぶ。
「松壽丸!」
寒い廊下で待たされたためか、松壽丸の頬は真っ赤であった。
療養の長い日々で官兵衛は
「悪因が悪果を生み、悪果が悪因を生じさせる」ことを思う。
殺しすぎる信長を嫌って謀反を起こした村重、
その村重に殺されなかったゆえに我が子が死んだと恨みを募らせ、
城を捨てさせ村重を卑怯者に貶めることを画策した官兵衛。
結果として有岡城の武将とその妻子親族、600人以上が殺された。
悪いのは信長か村重かそれともこの官兵衛か。
しかし悪因と悪果が巡るのはこの世の道理、抗う術はないのではないか、と。
松壽丸の無事を見て官兵衛は思わずこうつぶやく。
「半兵衛殿は一命を賭して善因を施されたか。
「これが憂き世に抗うすべと申されるか、半兵衛殿」
「悪因と悪果」がこの世の理だとしても、抗い抜け出す術はある。
優秀な軍師として名を馳せた官兵衛が「善因」に覚醒する物語。
そこがすごくよかった「黒牢城」なのに!!
映画の途中で「松壽丸が殺された」ことになり、
村重は城を捨てるが官兵衛の救出は描かれず、
もちろん原作のラストシーン、この物語の「画竜点睛」であるところの
官兵衛と松壽丸の再会シーンもどこにもない!
もしかして最後に挿入されてる?と勘ぐってタイトルバックまで見たのに!!
固い籠城の中で不可思議な変異が次々と起こり、地下牢の官兵衛が謎解きをする、
映画ではその面白さを描きたかったんだろうけど
「官兵衛の善因への覚醒」がすっぽ抜けたせいで
物語の面白さが半分ががた、いや70%くらい削られてしまいましたよ。
映画は原作通りに作るわけじゃない、というのはわかってるけど
いくらなんでも物語の背骨を抜いてしまうのはどうよ?
脚本家としてセンスがなさすぎ、黒沢清。
演技上手の俳優さんをそろえて、美術も衣装もかなり考慮されてるのに
もったいないぞ。
それを言うならその「豪華俳優」さんたちも
肝心なところで声が小さいというか滑舌が悪いというか、
セリフがよく聞こえなくて「字幕を出せ!」って言いそうになったけどね。
監督(これも黒沢清)、もっとちゃんと聞こえるセリフを言わせろよ!
自分の個人的な思い入れとしては、先日の大河で「半兵衛」役として
かくまっている松壽丸のことを豊臣兄弟にくれぐれもと託して死んでいく菅田将暉。
その同じ役者が今度は「官兵衛」として息子を涙ながらに抱きしめる、
そのシーンがすごく見たかったです。
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