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2026年04月16日05:14

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マイクロ波による内膜アブレーション

「子宮筋腫」や子宮にできる内膜症である「子宮腺筋症」という疾患では
「過多月経」が一番の問題になる。
月経量がどんどん増えて命に関わるほどの貧血になってしまう。
‥しかも全く貧血症状(めまい立ちくらみ動悸など)がおきないので
本人は病院に受診せず、ある日突然たおれて心肺停止、もあり得る。
けっこう怖い病気。
ただし「女性ホルモン依存性疾患」なので閉経すれば治ってしまう。

閉経までをどうやってしのぐか?が治療になる
まずは低用量ピル、月経量が減るので貧血にはなりにくくなる。
たまに効果のない人もいるし、45歳以上で喫煙者の場合は血栓症リスクが上がる。

次にディナゲスト(ジェネリックはジエノゲスト)という一種の黄体ホルモン剤。
内服しているとだんだん子宮が充血しにくくなって出血量が減り、貧血になりにくくなる。
ただし投与開始3年以内は不正出血がだらだら続くので患者さんにはいやだろうな。
うまくいけば全く出血しなくなり、しかも女性ホルモンは止めないので更年期症状は出ない。
閉経まで投薬を維持すればよい。
ただしこれもかえって出血量が増えてしまう人がいるし、
女性ホルモンを止めないので子宮はどんどんでかくなっていく。
でかい子宮が他臓器を圧迫して症状が出ることがある。

女性ホルモンを止める薬を使うのが一番簡単。
でも女性ホルモンって女性の体をかなり強力に守っているのでね。
止めると骨粗しょう症がすごい勢いで進行して骨痛や骨折がおきやすい。
コレステロールも上がる、血圧上昇することもある。
種々の副作用を考えて、最長6ヶ月しか使えないので
「子宮が大きすぎて手術が難しい」場合などに6ヶ月限定で行うのが普通。

上のみっつの治療は「ホルモン方面」からのアプローチだが、
子宮に直接アプローチする方法もいくつかあって、その中の一つが
「マイクロ波による子宮内膜アブレーション」である。
子宮内にマイクロ波を出す棒のような器具を装着して
子宮内膜を焼いてしまう。
月経ってのは子宮内膜が子宮からはがれることなのだから
内膜を焼いてしまえばホルモンがいくら出ても月経はこなくなる。
子宮口からの操作なのでいわゆる「開腹手術」ではないから入院期間も短い。

‥ただしこの治療はあまり主流ではない。
子宮内の状態を見ながら処置するわけではない(見えない)ので
マイクロ波の量の調節が難しい。
焼き方が足りなければ症状は改善しないし、
じっくり焼いてしまうと内膜の下の筋肉まで焼けてしまう。
焼けた筋肉は再生しないので、術後しばらくすると子宮に穴があく。
子宮からの炎症が広がって腹膜炎を起こして大変なことになる。

子宮に穴が開くのみならず腸にまで損傷がおきた、という記事であるが
普通はそんなことは起きない。
可能性があるのは、子宮腺筋症が原因で子宮周囲に腸が癒着しており、
マイクロ波で子宮筋が焼けたとき、腸まで連続で焼けてしまった、ってやつ。

この手術を受けるときは、いろいろな可能性について
しつこく説明されるはずなんだが、医者の説明が足りなかったのかな。
なにより、他の治療じゃなくこの方法、と選んだのは患者自身なので、
こういうことが起きる可能性は覚悟しなくちゃならなかったんだけどな。

「こどもが産めなくなった」っていう患者インタビューが報道されているが、
手術時47歳ではそもそも妊娠は非常に困難、っていう話とは別に
「子宮内膜アブレーションを受けると妊娠できなくなる」のが当たり前で
(受精卵を包んで育てる子宮内膜を焼いてしまうのでね)
妊娠したい希望のある患者には絶対行わない手術なんですけど。

いろんな意味で患者の言い分と判決に「?」な報道である。

ひとつだけはっきりしてるのは、これで日本全国の産婦人科では
マイクロ波アブレーションを行わなくなる、ということだ。
症例を選んで行えば非常によい結果が得られるはずなんだが、
残念である。

追記;
ここに書いたどの治療も、「妊娠を希望しない」場合しか行えない。

追記2;
誤解してる人が多い(そういうコメントある)らしいので書くけど、
女性ホルモンが低下して症状が出るのが「更年期障害」で
女性ホルモンは子宮でなく「卵巣」という別臓器から分泌されるので
子宮全摘しても「更年期」にも「更年期障害」にもならない。

追記3;
この記事では「子宮全摘の他に卵巣を切除」したとあるが、
よほど癒着がひどくて卵巣だけ残すと術後に大出血する可能性があったのだろう。

追記4;
手術が2016年で提訴が2023年、ということは
術後に何度も病院がわ患者がわの話し合いが持たれたけど
患者がわが納得せず提訴に至った、ってことだろうね。
子宮筋まで焼けてしまったのは確かに手術としてはまずいけど、
その可能性もきちんと説明されていたはずなので、
病院からの「見舞金」としては100〜300万円が上限なのではないか。
患者がわがその金額に納得できず4600万請求となったと思われる。
判決は1600万、3千万減額されている。
それにしても理不尽な金額であるので、病院がわは控訴するだろう。



■“医療ミス”で子宮の摘出を余儀なくされたとして病院側を訴えた女性(57)の裁判 病院側に約1600万円の支払い命じる 横浜地裁
(TBS NEWS DIG - 04月15日 16:58)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=266&from=diary&id=8749377
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