再生と書いてそのまんま。
「組織をもう一度作る」医療のこと。
一番よくある再生医療は「骨髄移植」。
白血病は、骨髄の造血細胞ががん化するので
ほっとくと正常な細胞がいなくなってしまう。
だからまず、抗がん剤やら放射線治療やらで体内の骨髄を全部殺してしまう。
で、健康な骨髄細胞(健康なドナーから)を移植するわけ。
このとき移植されるのは「骨髄そのもの」じゃなく
「造血幹細胞」を含む骨髄液。
骨髄(たいていは脊椎の骨髄)に針を刺して中身を吸い上げると
血球(赤血球だの白血球だの血小板だの)のもとになる幹細胞が
骨髄液といっしょに引けてくる。
これを点滴で患者の血管内に入れるわけ。
え?骨髄の中じゃないの??
そう、血管内に点滴するんです。
はいった造血幹細胞は血流にのって全身を駆け巡るわけですが、
たまたま骨髄の近くに行きますと、骨髄のほうから
「こっちですよー」と呼ぶ声がする。
炎症系のサイトカインさんたちの呼び声ですな。
「ここにきて増殖、造血してくださーい」という声にひかれて
造血幹細胞さんたちは骨髄内腔に集まり、増殖、造血を始める。
で、めでたしめでたし、ってわけ。
え?血管を流れているものがどうして骨髄に入れるの?
血管の壁に穴でも開いてるの??
免疫系の細胞は血管壁を通過する能力がある。
この能力を使って血管内から骨髄内腔に移動する。
この能力を持つのは主に免疫系の細胞だけどがん細胞も。
「映画、はたらく細胞」でもそういう描写がありましたっけ。
幹細胞というと普通は何の細胞にも分化できるんだが、
たとえば「造血幹細胞」は分化方向が「造血細胞」に向かっているので
骨髄に生着すればすぐに造血細胞になって造血開始してくれる。
同じような話で、
たとえば脂肪細胞系幹細胞なら脂肪細胞に分化する。
これを「おっぱいが小さい」と悩んでるお方の乳房に注射すると
あら不思議、脂肪が増えてふっくらおっぱいに変身!
だから美容整形で使われるわけ。
ただし、造血幹細胞は骨髄穿刺で入手できるけど、
脂肪細胞系幹細胞は、脂肪組織の中にわずかしかない。
本人さまの脂肪組織から幹細胞を取り出してある程度の数まで培養する。
この手順に大変に手間とお金がかかる。
専門の施設と器具、専門家が必要。
だから患者の支払いが高額になる。
骨髄移植もそうなんだけど、移植した細胞が組織に生着するとは限らない。
白血病骨髄移植で移植された細胞が生着しないとすぐに「命にかかわる」んだけど、
おっぱいが大きくならなくても死なないので、
「移植の効果には個人差が大きい」という説明が必ずある。
さらに言えば、移植された細胞が将来的に異常細胞(がん細胞)になってしまうこともある。
幹細胞って基本的にはどんな細胞にもなることができるからね。
ゆえに、骨髄移植でもおっぱいに脂肪幹細胞移植でも、
数年にわたり経過観察が必要。
「移植しました、生着しました、終わり」ではないのだ。
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