私は子どもの頃から自分の見目が悪いと思っていた。理由はわからない。でも容姿の美醜という概念を認知した頃からもうすでにそうだった記憶がある。
ただ思い当たる節はある。小学校に入学してまだ間もない頃、隣の席の女子に私の鼻を気持ち悪いと揶揄されたことがある。具体的に私の鼻のどこがどう気持ち悪いのか、詳しく聞いていないのでわからない。が、確か当時の私の鼻はやや潰れた感じっぽかった記憶がある。今でこそ成長して全然面影もないくらい変わったが、多分それが理由で揶揄されたのだ。
そんなんガキみんなそうじゃねと思うが、特別変な鼻をしていたつもりもないのでそれぐらいしか思い浮かばない。それも日を変えて何回か言われた。これは私が容姿を貶された一番古い記憶である。
小学3年生になった時、二人の女子に自分の容姿を気持ち悪いと揶揄された。それにムッとした私が語気を強めに、どこが気持ち悪いんだよと聞くと、おどけた顔をして「えーと、こことー、こことー……」と言いながら、両手の指先で目やら鼻やら口やら自分の顔のパーツを一つずつ指さしてきたことを覚えている。要は私の全てのパーツが気持ち悪いと言っているのだ。
私はそれが本当に傷ついて、言い返すことも出来ず「もういい」って顔をそらすことしかできなかった。それをまた日を変えて同じことを何回も繰り返された。一番明確に容姿を貶された記憶がこれである。
ちなみに一度だけその女子にやり返したことがあったが、そしたら泣かれて先生を呼ばれ、こっちが悪いことにされた。さすがに納得いかないどころじゃなかったので、今まで自分がされたきたことを伝えて文句を言っても駄目だった。
それ以降、明確に容姿を貶されることはなかったが、多分それらのせいで、私は自分の容姿は劣っていると最初から諦めていたんじゃないかと思う。
中学二年生の時に、二人の男子にホビットと揶揄されていたこともある。当時はホビットが何なのかを知らなかったが、侮辱されていることだけは伝わった。
後で知ったが、ホビットは身長の低い男を揶揄するのによく使われる蔑称らしい。最低すぎるだろ。
ただ、やつらの口から発せられていたその言葉は、また別の意味をはらんでいたと思う。というのも私は普通に身長が高い方だからだ。少なくとも平均身長以上はある男子に対してチビなんて普通言わないだろう。
ホビットの見た目を見て察するに、当時の私はヒョロガリオタクだったので、そっちを揶揄する目的で言われていたのだと思っている。いや、当時はまだオタクではなかったのでただのヒョロガリである。
まあそれを言ってきた男子の片方は韓国人とのハーフで、身長が高い方だった私と比較しても頭一つ以上でかいフィジカルギフテッドだった。だからもしかしたら普通にチビの意味で言われていた可能性もある。
私の中で特に強く残っている容姿を侮辱された記憶がこの三つである。
ただ、最近は自分の容姿はそこまで悪くないと思うようになってきた。
まず大人になって食事量が増えた。おかげさまで肉付きが良くなり、ヒョロガリとは言わせない標準体型になった。
髪型や服装などの身だしなみにも気を遣うようになった。基本ツーブロセンターパートに無地のTシャツやタートルネックというクソ無難でシンプルなセンスだが、身だしなみに気を遣うという点においてはそれがベストだろう。どっか遊びに行くときは一応オシャレ用の服はある。
昔からそうだが、髪はちゃんとトリートメントを使っているし、スキンケアも毎日十分以上かけている。なのでそこらへんの男よりは美意識が高い自信がある。
ただ、私がそこまでやっている理由は、そこまでしないと一般男性の肌に遠く及ばないからである。私は人より肌が弱くて汚くなりやすい。だから皮膚科に定期的に通院してまでスキンケアに気を遣っている。
悲しいのが、それでもそこらへんの一般男性より肌が汚く、傍から見たら肌に気を遣っていないと思われそうなことだ。
せっかく容姿に関しては悪くないと思えるようになってきたのに、今度は肌のせいで相変わらず容姿に自信がないままである。
容姿に自信がある人間が羨ましい。おそらく私は一生、自分の容姿にコンプレックスを抱きながら生きていくのだろう。
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