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2026年01月16日07:25

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クルマ0515 史上初のレーシングカー(MERCEDES SIMPLEX)

先日、イギリスの友人から”Won't you buy a stunning Mercedes Simplex?”というメールが届きました。
もちろんお断りしましたが、なんでも生産1号車だそうで、irreplaceable heirloom(かけがいのない宝)だとか。こんな表現、聞いたことないなぁ。

メルセデス・シンプレックス(「シンプルで快適」の意)は1890年創業のDaimler Motoren Gesellschaft(ダイムラー自動車)が1902〜09年に生産した高級車です。

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このクルマに限らずダイムラーの生産車には創業直後からMercedes(メルセデス)という車名が冠されています。フランス・リビエラのニースでダイムラー車の販売代理店を経営していた、後にオーストリア=ハンガリー帝国の総領事を務めるEmil Jellinek(エミール・イェリネック)の娘の名前です。

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どのような理由で、会社設立の前年に産まれたばかり(1889年9月16日生)の他人の娘の名前を車名に使うことになったのか不明ですが、「メルセデス」という名称はダイムラー自動車がBenz & Cie.(ベンツ社)と合併してDaimler-Benz AG(ダイムラー・ベンツ株式会社)となった1926年以降も使われ続け、今や社名がMercedes Benz AG(メルセデス・ベンツ株式会社)にすらなっています。

さて、話をメルセデス・シンプレックスに戻しましょう。
ダイムラー創業者Gottlieb Daimler(ゴットリープ・ダイムラー)は1900年3月16日に没しますが、引き継いだ息子のPaul Daimler(パウル・ダイムラー)は、前出のエミール・イェリネックから新型車の設計を依頼されました。
それに応えるべく、ゴットリープ・ダイムラーの右腕だったチーフ・エンジニアのWilhelm Maybach(ウィルヘルム・マイバッハ)が設計したクルマがメルセデス・シンプレックスです。

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前後ともリーフスプリングで支えられたリジッドのアクスルを持つ梯子型シャシーのホイールベースは3540mmもあり、車重は1200〜1400kgでした(架装されたボディによって異なります)。
フロントに搭載されたエンジンは、1902〜09年の生産期間を通して水冷直列4気筒5315cc(課税馬力35・実馬力41.7hp)でした(35HP型)。加えて、1903〜04年はより大きなエンジン(9236cc、課税馬力60hp)を搭載するモデル(60HP型)も用意されました。

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いずれも4段ギヤボックスを介してリヤを駆動しました。

60HP型は超高級市販車という位置付けで王室や貴族が購入しました。だからでしょう、コンペティションへの参戦記録はほとんどありません。1903年の第4回ゴードン・ベネット・カップ(本稿0347)でCamille Jenatzy(カミーユ・ジェナジー)が優勝したことしか見つけられませんでした。

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しかし、35HP型にはおびただしいレース出場記録があり、前出のエミール・イェリネックも最初(1902年3月1日)に納入された車輌でニース・ラ・チュルビー・ ヒルクライムに出場、優勝しています。

だから35HP型を「史上初のレーシングカー」と考える人もいます。「世界初のスポーツカー」と言われる1911〜14年のイスパノ・スイザ・アルフォンソ13世国王(本稿0046)より前ですけどね。
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