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2025年12月16日07:13

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小噺0546 蟻酸

だしぬけに化学の話です。下図は水に電気を流して水素と酸素を生成する電気分解を模式化したものです。学校で習いましたよね。

https://images.app.goo.gl/PVz7ovAXhZbXmqPT9

これと逆のこと、即ち水素と酸素をくっ付けて水を作ると、その過程で電気も生まれます(本稿0391【水素発電】参照)。燃焼を伴わない(二酸化炭素を出さない)クリーンエネルギーです。
空気中に約21%含まれている酸素はいいとして、水素は僅か0.00005%しかありません。取り出すのはタイヘンです。でもアンモニアには75%も含まれているので、コイツから抽出しようという試みが(本稿0436【アンモニア】)。でもアンモニアはそれ自体生成するのがすこぶるタイヘンです。
「ほんなら蟻酸から」と。1960年代に蟻酸(ぎさん。アリが分泌する強酸性の無色透明の臭い液体)から水素を生成する方法が見出だされましたから。

https://share.google/images/c3iSx3eHILwbQjPM3

アンモニアからよりも水素は作りやすいのですが、それでも元の蟻酸を200℃以上に加熱しなければなりません。これ、高エネルギーを必要として本末転倒です。加熱(燃焼)によって二酸化炭素を排出しますし。おまけに一酸化炭素も出る始末。
ということで実用化は断念されました。

でも地道に研究を続ける人がいたらしく、2008年にヨーロッパで一酸化炭素を副生しない方法が見つかり、そして翌2009年には日本で加熱温度が60℃に低められました。
さらに日本の大学と一般企業の共同研究の成果として、2025年7月終盤に窒化炭素を用いた人工光合成触媒を利用して、二酸化炭素から蟻酸を生成することに成功したことが報じられました。

二酸化炭素から蟻酸→水素。これはエネルギーを得るのに二酸化炭素を出さない(どころか消費する)画期的な手段です。先に述べたように60℃加熱で済むのなら、本稿0476【水素帆船】などと併用すれば水素というクリーンなエネルギー源が普及する日が近いかも。
電力会社は火力発電も原子力発電もせずに水素発電を主流にし(+水力・風力などの自然エネルギー発電)、水素を燃料とするクルマ(排気管からは水しか出ません)が身近になるかも(2025年6月1日現在、全国に151ヶ所しかない水素ステーションが増える?)。

https://share.google/images/Bxdvd3fqPQ6aBbqdl
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