違和感を感じて目を覚ましたのは、昨日の深夜。
あとで時計をみたら、まだ11時をまわるかまわらないかくらいの時間だった。
俺、だいたい10時過ぎに寝ることが多いから、けっこうぐっすり寝たつもりだったんだけどね。
なんとなく、トイレに行こうと思い立ち、立ち上がる。
妻はまだ起きていたようで、妻の部屋の電気がついていたのと、洗面所の方の電気もつけっぱなしになっていた。
しょうがないな、と洗面所の方に向かい、浴室の電気もあわせて消す。
パタンと音がして、妻がトイレに入った様子がうかがわれた。
先を越されたか、と一旦、自室に入ることにする。
そこで急激におなかの具合がおかしくなってきた。
あれ?と思ったものの、さてどうしたものか。
こんなことなら、洗面所の電気なんか切らずにストレートにトイレに向かえばよかった、と後悔する。
妻に声をかけて、早く出てもらおうかと思ったあたりで、水を流す音がして妻が出てきた。
あわてて、中に入る。
その後、貧血で目がかすむような状況の中、下痢、さらには落ち着く間もなく嘔吐まで続き、かなりひどいことになった。
異変を感じて妻がトイレの外に立つ。
「大丈夫?」
声が聞こえてくるが、返事ができたのは体内のものをぜんぶ排出したんじゃないか、というくらいになってからだった。
「完全に食中毒やな。何がいかんかったんやろ」
夕食は、カニとしゃぶしゃぶだった。
とはいえ、カニはほとんど子どもたちが食べたし、俺は牛肉が主だった。火は妻が厳重に入れていたはずだ。
それに夕食のもので食中毒になるには、ちょっと時間が足りないそうな。
食べたもので食中毒を起こすまでには7、8時間か1日、場合によっては2日前のもので、ということもあるのだという。
食べて3、4時間というのは、ちょっと早いとのことだった。
ノロとか怖い感染性のものである可能性もあるため、こういうときの妻の行動はシビアだ。
トイレの外に、厳重にマスクと手袋、塩素系のハイターを持った妻が立っていた。
まぁ吐くだけはいたら落ち着いたので、清掃までぜんぶ自分でやったけど。妻の監視の下でね。
子どもたちにも同じ症状が出る可能性もあるので、野球の練習やバッティングセンターに行く予定はぜんぶキャンセル。子どもたちには悪い気がしたが、現実にあの苦しみを味わっているからなぁ。
あまり出ない方がいいというのは、実感を持って思う。
吐いて、もどして後始末した後は落ち着いた感じ。
朝食はおかゆにしてもらったものの、昼は子どもたちと同じうどんに天かすを入れていただいたし、その後、おなかの調子も悪くなかった。
妻は家族一同、吐しゃ物にまみれる未来を想像し、戦々恐々としていたようだけど、子どもたちの体調に異常はなかった。
やれやれ。
「あのときは、ほんまに死んだかと思ったわ」
あとで妻が言ったものだ。
さすがに、そこまでじゃないとは思うけど。
暑い時期はあれこれ傷みやすいというし、食べるものには気をつけないとね。
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