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2025年05月13日13:21

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産婦人科医は命を削ってお産をとる

勤務医だったころ、お産がとても好きだった。
陣痛がきた人を見守り、出血しただの陣痛が弱いのいきみができないの、
子宮口が堅くて開かないの胎児の心音がおかしいの、そういうのを
対処しつつ数日かけて夜も呼び出されて、無事に赤ん坊が産声を上げる、
その流れが好きだった。
生まれたてほやほやの赤ん坊に触れる特権もうれしかった。
お母さんがへろへろになりつつ「ありがとうございました」と言うと
うれしくていっしょに泣いた。

でもそれは、十分体力があった若いころの話。
だんだん呼びだしがつらくなり、夜中かけてお産とった翌日は目が張って痛く、
それが翌々日とかよく翌々日まで続くようになると、
「これはもうお産とるのは無理だな」と自分で思う。
個人の体力差があるのでいろいろだと思うが、自分は45歳のときだ。
お産をとらない外来のみ開業をした。

勤務はいつでもやめることができる。
でも個人で開業していたら、お産を急にやめることはできない。
ワシの某先輩は心筋梗塞でバイパス手術をやって半年休み
(その間は大学と地域中核病院が面倒をみてくれた)
退院したあとはお産の予約をとるのをやめ、1年でお産とらないクリニックになった。
バイパス手術のあとも半年はお産とってたんだから、命がけだったと思う。

別な先輩は、心筋梗塞の発作のあとで入院が決まっていて、
大学勤務の息子が帰宅して翌朝からバトンタッチ、というその夜に
お産を取り終えて分娩室後ろの椅子に座って、そのまま息絶えた。

そんなの見聞きしたら産婦人科医になりたい人間なんかいなくなるよ。
少なくても、個人で開業してお産とろうなんて思わない。
お産は確かにお金が入る、若いうちにお金をためて
十分たまったらお産をやめて自分を大事に外来だけのクリニックに切り替えて…
ってそんなにうまくいくものじゃない。

それでも分娩で入るお金が魅力的なら、自分の血肉を金に換える生き方も
あると思う。
分娩が保険診療になれば、お金は入らない。
だからそういう生き方は「なし」になる。
地域でお産をとる開業医などいなくなるだろう。
いわゆる大きい病院、地域中核病院に妊婦検診に通い、そこでお産すればいい。
ベルトコンベアのような冷たい扱いだの、
患者に寄り添わない機械のようなスタッフだの、
さんざん悪口言われてきた、その病院分娩しか残らない。

サンバの時代に戻るか?
家に呼んで天上から縄吊り下げてつかまって産むか?
それで途中で大出血したらどうするの?
生まれた赤ん坊が息してなかったらあきらめる?
そこまで覚悟あるならいいけど。

■「標準的な出産費用」の自己負担を無償化へ 保険適用は年末まで議論
(TBS NEWS DIG - 05月13日 12:12)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=266&from=diary&id=8310162
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