私が小学校低学年で、姉と庭先で迎え火をしたお盆の夜のことだ。
眠っているとベッドが揺れ、目が覚めた。左側に何か見える。
赤ちゃん用のよだれかけだ。
ブルーのバイアステープで縁取られ、水色の象さんの刺繍がしてある。
顔は暗く見えないが、ベッドの転落防止策をしっかり握っている両手が見えた。
同時にお母さんどこ?と聞こえてきた。
とても怖くて目をつぶり、これば夢だ、夢だと繰り返した。
数年後、兄の死産を理解した。
20歳過ぎたころ、夢を見た。
顔は暗く見えないが、紺のスーツに、赤、青、白の斜めストライプのネクタイをしていた。兄だろうか?あちらでも成長するのか?
20代後半、目の前で知り合いがおぼれた。パニックになった。体力が持たない。
岩場まで5〜10m。誰もいるはずがないのに助けてと叫んだ。大きい声が出ない。
彼女の瞳が大きく開いたままで、瞬きしなくなった。どうしよう。
男の人が突然海側から現れ、あっという間に彼女を岩場にあげ、心臓マッサージと人工呼吸をした。救急車に乗り病院へ向かい事なきを得た。
病院を出てから、彼の名刺を預かった事と、彼の足が一本しかないことを知った。
後日改めて、お礼をするために彼のお宅に行かせてもらった。
あの日助けがなければ、知り合いをなくし、私も気がふれていたに違いないからだ。
私自身も助けてもらったのだ。
彼は、体育の教師をしていたが、雨の日にバイクで事故に遭い足を片方失ってしまった。
がしかし、彼は前向きで、スキーもすれば水泳もし、水上救助の指導員でもあった。
教えることはあっても、実践したのはあれが初めてです。あの日は、たまたま泳いでいました。と微笑みながら話してくれた。
彼の人命救助は、表彰され新聞にも載った、と見せてくれた。
カラーの写真だった。
紺のスーツに、赤、青、白の斜めストライプのネクタイをしていた。
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