財界ピラミッドが依存する電力マネーの公金を1基新設すれば4000億円とも言われる莫大な建設費が動く原発には、炉心メーカーの東芝、三菱重工、日立を筆頭に、プラント設備には鹿島、大成、清水を筆頭としたスーパーゼネコンがそろって食い込み、立地対策費などを原資とするインフラ整備では地方ゼネコンが潤ってきました。
現在、国内では2030年までに14基の増設が計画されていますが、それを受注するのは、こうした日本の高度経済成長を支えた重厚長大型大企業、公共事業で肥大化してきたゼネコンを頂点とする財界ピラミッドです。
しかし、国内における財界ピラミッドの足場は、日本が抱えた構造的な不況と低成長の時代を迎えてやせ細る一方です。清水建設のように新興国に現地法人を設立する動きはありますが、大手であっても淘汰を免れない時代に置かれています。
また、炉心メーカーの東芝は、世界の半導体シェアを台湾、韓国などのメーカーに奪われて久しい。リーマンショック後、巨額の赤字を計上した日立、設備の不振に喘ぐ三菱重工、こうしたなか、未曾有の福島第一原発の事故は起こったのです。
原発推進は古いビジネスモデルを延命させるだけです。現在、財界は経団連を筆頭に原発の再稼動、さらに推進を声高に叫んでいます。それに異論を唱えているのは、ソフトバンク・孫正義社長や楽天の三木谷浩史会長を中心とする新興の経営者たちです。
総括原価方式で徴収される電気料金収入を約束された電力会社の原発事業は、公共事業と同様の取りっぱぐれがないビジネスです。ゆえに、そうした高度経済成長期にありがちだったビジネスの旨みが忘れられない財界は、原発推進を叫んでいるのです。
福島原発の事故で降ってわいた数兆円とも言われる廃炉ビジネスに名乗りを上げているのも、東芝や日立を筆頭とした、同じ顔ぶれの企業です。経団連の会長は、「原発に一定程度依存しないと (電力不足で)国内産業がどんどん海外に逃げ、雇用が守られず、経済成長が落ちる」と公言しましたが、電力不足を本心から危惧しているのかどうか。
原発事業を核とした電力のカネは、高度経済成長を忘れられない斜陽産業の延命に注入されるだけではないか。この後ろ向きのカネの動きを止め、もっと将来性のある新たなビジネスへ投資し、雇用の不振を回復させることが、実は今、最も求められている経営ビジョンではないのでしょうか。
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