「舟を編む」の石井裕也監督が、韓国人スタッフ&キャストとともにオール韓国ロケで撮りあげた作品。ひとり息子の学を持つ青木剛は妻を病気で亡くし、疎遠になっていた兄が暮らすソウルへ渡る。兄からは「韓国で仕事がある」と言われていたのだが、剛の期待とは違い、兄はその日暮らしの貧しい生活を送っていた。剛はほとんど韓国語も話せないまま、怪しい化粧品の輸入販売を手伝い始める。一方、ソウルでタレント活動をするチェ・ソルは、市場のステージで誰も聴いていない歌を歌う仕事しかなく、所属事務所の社長と関係を持ちながら、仕事や家族との関係について心を悩ませていた。主人公・剛を池松壮亮、兄をオダギリジョーが演じる。そのほか、ソル役に「金子文子と朴烈」のチェ・ヒソなど、キャストやスタッフの多くは韓国人が務めている。(映画.comより)
<2021年7月4日 劇場鑑賞>
石井監督の作品は、多分今まで見てないと思います。今回田舎で珍しい映画が上映されていたのと、オタギリジョーに惹かれて鑑賞しました。映画は、必死に生きてるはずなんだけど、うまくいかない日々の営みと、それでもやっぱり皆生きていくしかないんだという事実。このへんが、うまく描かれていたと思います。
韓国独特の「強い家族観」つまり血の濃さですね、きれいに表現すれば”家族をなにより大切にする”、悪く言えば”関わり過ぎてて面倒くさい”、ここがしっかり描かれていて「変わらないんだなぁ」と思いました。当たり前か(笑)。
軽〜い感じのアホ兄貴(?)がオダギリジョー。物書きらしく、落ち着いた感じは出してるけど、その実あんまり賢くなさそうな弟が池松壮亮。過去に一つ、小説が少し当たっただけでぱっとしない作家ということになってます。妻も亡くして余程日本では行き詰っていたのでしょうね、「仕事なんかいくらでもある。小さい息子のための日本人学校も、ちゃんと見つけておいてやるから何の心配もいらない」などと言う、少し考えればそんなハズない言葉をうのみにして、すべてを引き払って兄のいる韓国にやって来ます。でも、タクシーの運転手さんの言ってることはまるでわからないし、兄がいるはずのアパートを訪ねれば見知らぬ男が出て来て、「誰なんだ!お前!何が目的だ!」と(韓国語で)喧嘩吹っ掛けられるし、でも韓国語全然わからないからひたすら日本語で「弟なんです」などとオロオロするばかり。小さな息子も連れてるんだから、最低限の会話くらい勉強してから行け!と思ったのは私だけでしょうか。
いいかげんな兄貴は「俺、そんなこと言ったっけ」「シャレだよ、シャレ」。韓国コスメを安く仕入れてネットで高く売って稼ぐとか、それがダメでも○○へ行けばワカメを売って商売ができるとか、「いい時は月に100万稼ぐんだ」とか、それは本当にそういうことがあったのかもしれないけれど、じゃなんでこんな小汚いアパートに住んでるのか、とか、なんでそこ疑問に思わないんだ、と思いました。私は3人姉弟の一番上だから気持ちがわからないだけで、案外弟くんの「兄貴信奉」って根強いものなのかもしれませんね。子供の頃は、なんでもできた兄なのかもしれません。
ともかく、そんな日本人兄弟と、現地の兄妹(兄・姉・妹の3人)の人生とが、ふとしたきっかけで交わるわけです。両親を亡くしているこの兄妹たちの真ん中の女の子は美人で(写真3枚目)、過去にはアイドルとして人気もあったみたいだけど、今は地方回りでショッピングモールで歌う歌手なんかに落ちぶれてます。例によって例のごとく、社長と寝ているわけですが、社長にとっては「女6」でしかないわけです。妹たちのために頑張らなければ、と必死に空回りしている兄と、公務員試験を落ち続けているらしい喘息持ちの妹。でも、公務員になることは、自分がうまくやれなかった姉の悲願でもあるわけで。皆がそれぞれ必死に生きているのだけれど、うまくいかずに罵り合ってしまったり。でも、家族だから、かばいあわなければならなかったり。そんな哀愁が描かれます。
何がどう解決するわけではありません。ただ「そんなもんだ」、そういう話です。個人的には、「韓国の女の子って、やっぱり上手に泣くよな」と思いました。もちろん、泣いている本人が美人だから絵になるだけかもしれませんが、私もこんなに上手に泣けたら、人生違ったかも、と少し思いました。ごめんなさい、そこが主題ではありません。悪しからず。
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